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第37話 村長の過去

「本当よ、このジョウ君が鍵の力を持つ勇者、キィちゃんが鍵の一族の姫よ!」

 アリシアが代わりに紹介してくれる。


「キィ姫も一緒に……確かに鍵の勇者としての条件は揃っています、しかし」

 村長は俺をまじまじと見る。


「ジョウと言いいましたね。実力を試させてもらってもいいですか?」


「え、どういうことですか?」


「鍵の勇者としての力を見せてもらいたいのです」


 そう言うとニーナは村長に抵抗する。

「村長、このお方たちは私が危ないところを救ってくれました。不思議な鍵の力も本当です」


「私のこの目で見ないと信用できません」

 村長は家を出ると村のはずれの空き地にやってきた。

 すると村長は呪文を唱え始めた。


 ……まずい。

 

「アリシア、キィを連れて離れてくれ!」


「大丈夫なの?」


「ああ、大丈夫だ!」

 アリシアはキィを連れて離れていく。

 そう答えたもの村長の意図が掴めない。


「ファイヤーアロー!」

 村長が持つスタッフから炎の矢の呪文が放たれた俺はすんでのところでかわす。

 

「どうしました、鍵魔法を使わないのですか?」

 村長は次の呪文の詠唱に入った。


「言われなくても!遠隔施錠リモートロック!」

 光は村長に降り注ぎ村長の動きは停止した。


 ……かに見えたが、呪文詠唱は続いていた。

「ファイヤーアロー!ファイヤーアロー!!」


 炎の矢が降り注ぐ。

 俺はすんでのところでかわし続ける。


「それが限界ですか!」


 俺は炎の矢をかわし続けていたが、ふとある可能性に気づく。


「ファイヤーアロー!」

 何回目かのファイヤーアローだったが、俺はその炎に向けて唱える。


遠隔施錠リモートロック!」

 すると炎の矢は光に包まれ、停止した。

 前に、水を遠隔施錠リモートロックできたことを思い出した。

 これはその応用だ。


 すると村長は満足げに言った。

「魔法も遠隔施錠リモートロックできるとは。鍵の勇者として最低限の力は持っているようですね」


 そう言って、呪文詠唱をやめる。炎の矢は消え去った。


「試すようなことをしてすみません。私は今の鍵の勇者の実力を知りたかったのです」


「今の……?」

 俺はその言葉を疑問に思う。


「私はエリーヌ、昔の鍵の勇者パーティの一員です」

 そう村長は明かしたのだった。


「昔のって、三百年前の……」

 今度はこちらが驚く番だった。


「ああ、大賢者シュリセルと共に戦った仲間です。村の者でも一部のものしか知らない事実ですが」


「そんな……村長が、昔の鍵の勇者パーティの一員やて?」

 ステラも驚きで目を丸くしていた。


 エルフは長命だから三百年前のことを知っていてもおかしくはない、

 でもまさか、鍵の勇者パーティの一員だったなんて。




 その夜、エリーヌ村長は昔の話をしてくれた。

 昔の鍵の勇者の力は今の俺よりも強大だったこと。

 魔王を封印するためには鍵の一族の姫の力が必要だったこと。

 ただ、キィが記憶を失っていることを知ると途端に口を閉ざした。


「三百年前の戦いで確かに私たちは魔王を封印しました、しかしそれは不十分なものでした。」

 エリーヌ村長は言う。


「今度こそ、魔王を完全に封印するのです、期待していますよ鍵の勇者ジョウよ、そして鍵の姫キィよ」

 そう激励してくれた。


「ミーナよ、これも何かの縁かもしれない。引退した私の代わりに鍵の勇者をお助けするのです」

 ステラにエリーヌ村長は話しかける。


「今のあたいはステラや。それに言われんでもそーするつもりや!」

 とそっぽを向いて返事をする。


「鍵の一族は各地に散らばっています、その者を尋ねるのが良いでしょう」

 そう言ってエリーヌ村長とニーナは次の日、俺達を送り出してくれた。

 

 こうして俺達は北への旅を続けるのだった。

・面白い!


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