第34話 対決、クリップ
その夜、俺は街はずれの遺跡に一人で向かった。
もちろんステラやキィに反対されたが、アリシアを助けるためだと説得した。
そこではクリップが俺を来るのを待ち構えていた。
全身に黒い鎧を纏い剣と盾を持った姿だ。
「よく逃げずに来たな、まあもっともアリシアの命がかかっているからな」
クリップはあざ笑うように言う。
「アリシアの呪いを解け!」
俺は剣を抜き、右手に持ち言う。
「呪いはこの邪竜のダガーにはめ込まれている石を破壊すれば解ける、もっともそんなことはさせんがな」
クリップは腰に邪竜のダガーをしまった。
「どうしておまえがそんなものを持っているんだ!」
俺は問いただす。
「クククッ、俺は魔王軍四天王の一人、アクアドラゴンのリュウセイ様に認められてな。このダガーを与えられたのだ」
「四天王だって!? おまえ魔王軍に魂を売り渡したのか」
「おまえに復讐できればそんなことはどうでもいい。俺はさらなる力を得たのだ、さあ殺してやる! ジョウ・ローレット」
クリップは剣を抜き正面に構えた。
俺は左手を前に出し唱える。
「遠隔施錠!」
光は相手の足めがけて飛んでいく。
「こしゃくな、鍵魔法か!」
クリップの足は固定される。
しかし、それ以上のことは左手一本で今の俺のレベルではできなかった。
腐っても、王家の近衛隊長を務めていたA級ランクの戦士だけある。
「どうした、俺は動けないぞ!かかってこい」
俺は右手に剣を持ち走って相手に向かっていく。
クリップは足が固定されたまま動けない、しかし、上段からの剣に余裕といった表情で盾で対応する。
そのまま盾で俺を吹っ飛ばす。
相手の足の遠隔施錠は解ける。
走ってクリップは向かってくる、しかし、俺も前の俺じゃない。
相手の剣を、すんでのところでかわす。
「くっ……やるようになったな!だが」
俺はクリップの剣を自分の剣で受け止めるが、その衝撃ではじき飛ばされ後ろの遺跡の壁にぶつかる。
剣が右手から離れる。
「まだ俺の方が実力的に上だな」
余裕を見せるクリップだったが。
俺は両手を使って唱える。
「まだだ……遠隔施錠!」
一瞬の隙をついて俺はクリップに遠隔施錠を仕掛ける。
光がクリップを襲い、クリップの動きは止まる。
「これでどうだっ……」
俺は光を強引に右に振り、クリップを吹き飛ばす。
クリップはたまらず遺跡の壁に叩きつけられる。
両手を使った全力の遠隔施錠だ。
俺は剣を拾い、クリップの元へと走る。
クリップは今の衝撃でかなりのダメージを負ったようだ、起き上がれないでいる。
俺は剣を、相手の首筋に向け突き付けた。
「俺はアリシアのためにも負けるわけにはいかないんだ! さあ、邪竜のダガーを渡せ」
「くっ……てめぇ、やりやがったな」
クリップは呻く。
その瞬間だった。
俺をどこからか光の渦が襲った。
「ぐはっ……!」
たまらず、俺は倒れる。
これは暗黒魔法……か?
俺は邪悪な気配に振り向く。
そこに現れたのは頭に竜の角を生やしたローブに身を包んだ男だった。
魔法はその男の杖から放たれたものだった。
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