第33話 邪竜の呪い
「おまえは、クリップ!」
叫ぶと同時に、アリシアが急に倒れる。
俺はアリシアを気遣う。
「アリシア、大丈夫か!?」
アリシアは倒れこんでいた。顔が熱っぽく赤くなっていた。
「大した傷じゃないはずなのに、どうして、まさか……毒?」
「いいや、呪いだ。この邪竜のダガーで切りつけたものは呪いを受けるんだ」
「呪い、だって……?」
俺はクリップを睨みつけた。
「遠隔施錠……!」
「おっと、そうはさせねえ」
クリップは俺の首をつかみ持ち上げた。
「ジョウ……てめぇのせいで俺は近衛兵の隊長をクビになっちまった」
首をしめる力を強める。
「しかもアリシアは俺が先に目をつけてたんだ、だが俺のものにならないなら殺す。おまえも一緒にな」
そこに外からステラが飛び込んで来た。中の異変に気付いたらしい。
「なんや、お前? 二人に何をしたんや!」
「魔法使いか、こんな狭い店の中で魔法を使うつもりか?」
ステラはしまったという顔になる。
「この呪いは俺にしか解けない。 ジョウ、ここで殺してやってもいいがそれでは俺のプライドが許さねぇ」
クリップは俺の首を上にあげて話す。
「今夜、街はずれの遺跡に来い。一人でな。来なければ明日にはアリシアは死ぬ」
クリップは俺を床に叩きつけた。
一瞬、息が出来なくなった。
「キィとかいうガキの力を使えなければおまえはただの雑兵だ。嫌って程、格の違いってやつを教えてやる」
そう言ってクリップは扉を開けズンズンと出ていった。
「どういうことや!」
ステラが俺に聞く。
「アリシアが、呪いにやられた……」
俺はけほっと咳をしながら言う。
「なんやて!?」
ステラが大急ぎでアリシアの様子を見る。
腕に紋章が浮かび出ていた。
「これは邪竜の呪い……、あかん、ベッドに連れてくで!」
キィは何が起こったのかわからないといった感じだった。
「マスター、アリシア、大丈夫なの?」
「大丈夫だ、俺一人でなんとかする」
俺は決意を込めて言った。
アリシアは近くの宿屋のベッドに運んだ。
苦しそうに息をしている。
右肩の傷には痣が現れていた。
ステラの話によるとこの呪いは、ステラの魔法でも解除することが出来ないと言う。
「やっかいな呪いや、しかしなんで奴はそんな邪竜のダガーなんて持ってたんや」
「わからない、大丈夫なのかアリシアは?」
「この痣が薄くなって消えると、痣に生命力を吸われて死に至るんや」
「そんな!大丈夫か、アリシア!!」
俺はアリシアに懸命に話しかける。
「ジョウ君、ごめんね……迷惑かけちゃって……私は大丈夫……うっ」
苦しそうにアリシアが呻く。
「アリシア、絶対に助ける。君を死なせはしない!」
俺はアリシアの手を握って誓った。
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