第31話 聖なる光
アリシアやステラ達、そして俺の方に魔物共は近づいてくる。
しかし、キィを人質にとられた今、何もすることはできない。
ゴブリンやホブゴブリン共は
「ゲシャアアアアアアッ!」
と不気味で下卑た声を立てアリシアとステラに近づいている。
俺の前にはオーガが二体立ちふさがっている。
絶体絶命だ。
「マスター……、構わず……やっつけて!」
キィが苦しそうに叫ぶ。
「キィ!!」
そう言った俺たちにまさに魔物共が近づいたその時。
キィの体が強烈な光につつまれた。
たまらず、オーガはキィをつかむ腕を緩める。
「今だ! 遠隔施錠!!」
俺はその隙を逃さずキィを抱いたオーガに左手で遠隔施錠をかける。
途端に、オーガの動きが止まる。
「グルル、しまった……!」
オーガは唸る。
キィから放出された聖なる光は消えていく。
アリシアとステラにまさに襲い掛かろうとしていたゴブリンやホブゴブリン共は戸惑っている。
「よくもやってくれたわね、絶対許さないんだから!」
アリシアは剣を構える。
「おうおう、人質とは汚い作戦やな。あたいも許さへんで!」
ステラは杖を構える。
俺たちの反撃が始まった。
アリシアは近づいていたゴブリン共はアリシアの剣の前に肉塊と化していく。
ステラは
「電撃」
を使いオーガ共にダメージを与えていく。
俺は走って右手の剣をキィを抱えたオーガの腕に切り伏せる。
「グギャアアアアアッ!!」
汚い声を出してオーガはよろける。
キィはその腕からすべり落ちる。
そこをゴブリン共をかき分けてきたアリシアが、オーガを切り刻む。
「グオオオオオッ、バカな……!」
村長に化けていたオーガは崩れ去る。
俺はキィを抱きとめる。
あとは掃討戦だった。
アリシアの剣とステラの魔法、そして俺の鍵の力の前に敵は全滅した。
「やった……」
魔物どもの死骸を前に俺達は安堵する。
「でも、さっきのキィちゃんの光、なんだったのかしら?」
アリシアが疑問を口にする。
「聖なる光やったな、あの光のおかげで隙ができたんや」
キィが言う。
「にぃさまが助けてくれた……」
そう言ってポケットから鍵を取り出す。
それはシュリセルが消えたときに残された鍵だった。
「そうか、この鍵が光って……シュリセル師匠が助けてくれたんだ」
俺たちは、その場で師匠に感謝した。
アザミ村に戻って事情を説明すると村人は村長が入れ替わっていたことに驚いていたが、魔物どもを掃討したことを伝えると皆、感謝してくれた。
そうして俺達はアザミ村を後にするのだった。
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