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第22話 修行

「がっかりってどういうことだ!」


「そのままの意味だよ、鍵の勇者として君はまだまだ実力が足りない」

 リミットはやれやれといった感じで言い放つ。


複数遠隔施錠マルチリモートロックすら知らないとはね」


「マルチ……なんだそれは?」


「複数体を相手にするとき必ず必要になってくる鍵魔法の奥義さ」


「奥義……?」

 俺はリミットの言葉を繰り返した。


「君には修行が必要だ。ジョウ・ローレット、鍵魔法の奥義を教えてやろう。私のことは師匠と呼ぶがいい」

 リミットは言う。


「ちょっと、待ってよ。あなたが勝手に決めないで! それよりここは鍵の一族の村なんでしょう、他の村人はどうしたの?」

 アリシアが尋ねる。


「他の鍵の一族の村人はもういない。ここには私一人だけだ」

 

「なんで……」


「鍵の一族は魔王を封印することが出来る一族だ、魔王に狙われやすいこの村からはみんな離れて行って散り散りになっていった」


 リミットは続けた。

「私は一人、この村に残り封印をして鍵の勇者の訪問を待ち続けていた」


 そして指差す。

「ジョウ・ローレット、S級冒険者の私が鍵魔法の全てを教えてやろう」


「……S級冒険者!? それが本当なら伝説的存在だぞ」


「どう思おうが、君の勝手だ。それより修行を受けるのかい、受けないのかいジョウ君」


「……わかりました。リミットさん……いや、師匠、修行をお願いいたします」

 俺は頭を下げて言った。


「ちょっとジョウ君、いいの、こんな得体の知れない人に教わるなんて」

 アリシアが心配して言った。


「いいんだ、アリシア。正直、俺も鍵の勇者として力が足りないことはわかっているんだ」

 俺は拳を握りしめた。


「強くなれるのなら、どんな厳しい修行も受けてやる!」


「いいね、君はきっと強くなれるよ」

 リミットは笑って言った。




 翌日から修行が始まった。

 午前は剣術、午後は鍵魔法の基本。


 驚いたことに、リミットの剣の腕はアリシアとひけをとらない実力だった。

 確かに自分でS級冒険者と言うだけのことはある。


 木の棒でリミットと剣技の修行をする。

「思ったより、剣筋がいい。いままでD級の冒険者に収まっていたのは良い先生がいなかったからかもしれない」

 リミット……師匠はそう言っていた。


 鍵魔法の授業は、鍵魔法の基本からだった。

 師匠によるとキィ……鍵の一族の姫の力は加速器ブースターだと言う。


 中でもマスターキィソードの力は膨大なものらしい。

 だが、消耗も激しいのでここぞというときにしか使えない。


 だからまずは、通常の鍵魔法の力をレベルアップすることに専念した。


「鍵魔法の基本は、強くイメージすることと集中力だ」

 リミット師匠は言う。


「そして、両手から力を解き放つこと。右手だけや利き手でない左手では効力が落ちる。まあ右手に剣を持っている場合、左手から力を放つことは仕方ないが」


 師匠は大きな木のそばに立ち、その幹に蹴りを入れた。


「さあ、この落ち葉を遠隔施錠リモートロックしてみなさい」


 俺はとっさに落ちてくる木の葉の一つ一つに高速で目をやり両手を前に出し開いた手を握って唱えた。


複数遠隔施錠マルチリモートロック!!」


 手から閃光が複数に分かれて飛び落ち葉の三枚が同時に動きが止まる。

「やった!複数遠隔施錠マルチリモートロックが出来た!」


「いいね、そしてその状態をなるべく長く維持することだ」

 リミット師匠は言う。


 ――集中が切れる。


 三枚の木の葉は空中に止まっていたが、しばらくして下に落ちていった。


「ふむ、基本はできるがまだまだだな。鍵の魔法はまだまだこんなもんじゃない」

 師匠はそれを見て言い放つ。


 ……そうして俺はそれから毎日修行を続けたのだった。

・面白い!


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