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第2話 アリシアとの出会い

「も、もちろん本当さ」

 唐突な問いに俺は慌てて答える。


 事実だ、間違ってない。


「ふーん、じゃあここでテストしてもいい?」


「テスト……?」


 小男はローブをまさぐり、懐から何か取り出した。

「この宝箱を開けてみてよ」


「宝箱?」

 彼の思ったより白い両手には銀色に光る小さな宝箱があった。


「どんな鍵でも開けられるんでしょ?」

 いたずらっ子のような声で彼は言う。


「もちろんさ」

 唐突なことに少し驚いたが、俺はテストとやらを受けることに決めた。

 なぜなら俺にとっては朝飯前のことだったからだ。


 右手をその小さな宝箱の鍵の部分に当てる。

施錠解除アンロック!」


 右手が一瞬光った。


 次にカチャという音とともに、宝箱がパカッと開く。

 中には青色に鈍く光る宝石のようなものがあった。


「すっごーい!!期待以上だわ!」

 突然、甲高い声が相手から発せられる。


「君、すごいね。道具も使わずに魔法錠を開けてしまうなんて、しかも一瞬で!」


 ローブのフードを外して彼、いや彼女は心底感激したように言った。


「お……女?おまえ、女だったのか」

 ローブを外して現れたのは美しい金髪の少女の顔だった。

 年の頃は、俺と同じ17歳ぐらいに見えた。


「失礼ね、私はもとから女よ。女の一人旅はいろいろと面倒だからフードを目深に被って男のフリをしていただけ! でも、ほんとすごいわ、魔法錠を解除するってことは魔法を同時に解除する力があるってことかしら? それにしても期待以上よ!」

 最後のほうは独り言だった。


「……。」

 俺は呆気にとられていた。


「この転移石があれば、危険な迷宮ダンジョンからも一瞬で帰還できるわ。ああ、今日はついてる」

 宝箱から取り出した青く鈍く光る宝石を手にしながら少女は言う。


「転移石……? おまえはいったい何者なんだ?」

 そう言うと、やっと気づいたかのように少女はこちらを振り向いた。


「おまえとは失礼ね、あなたは?でしょ。まあ、いいけど。私はアリシア・マシナリーよ。君は?」


「俺は、ジョウ・ローレットだ」

 俺は名乗った。


「ジョウ・ローレットか。ジョウ君って呼んでいいかな?」


「いいけど……」


「ねえ、ジョウ君。これ、もしかして鍵を閉めることもできる?」


「え?ああ……」


 それぐらい容易いことだ。

 俺は宝箱に手をやる。


施錠ロック!」


 眩い光に宝箱は包まれる。

 カチャリ!


 と見えない鎖で縛られるように音がして宝箱の箱は閉まった。


 アリシアはその閉じた宝箱をこじあけようとした。

 しかし、当然開かない。


「ん――――!あ・か・な・い!やっぱりすごいねジョウ君の魔法!鍵を外すだけでなくて鍵をかけることもできるんだ!」


「まあね」

 褒められて悪い気はしない。


「ん――――――! ごめん、もう一度開けて!」


「え?やれやれ……施錠解除アンロック!」


 再度宝箱は光り、パカリと開いた。


 アリシアはもう一度、中の転移石を手に取り


「良かったー、また開かなくなったらどうしようかと思った」

と呟いた。


 だったら、わざわざ施錠ロックさせるなよと言おうとしたがやめた。


 アリシアが転移石を手に真剣な表情になっていたからだ。


「ねぇ、ジョウ君!」


「何だ?」


「私と一緒に来てくれない? あなたの力が必要なの」

 ……まっすぐに俺の瞳を見つめて彼女は言った。

・面白い!


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