第18話 その頃のスライドのパーティ(2)
一方、その頃スライドのパーティは。
「なんだ、この開かずの扉の迷宮は?罠だらけじゃねえか」
スライドが吐き捨てる。
「どうやら鍵がある扉が正解だったみたいだな」
戦士のエドガーが答える。
「チ……正解がわかるまで余計な手間を食ったな、鍵を外したはいいものの人食い箱に襲われるはついてねーぜ!」
「なんとか倒したが、かなりダメージを食らったな、おいミレイ治してくれ」
エドガーが僧侶のミレイに傷の回復を求める。
「あたしの魔法力も無限じゃないんだよ。もう少し考えて戦いな」
ミレイが回復魔法をかけながら言う。
「しかし、この隠し扉が最後の難関みたいだな。おい、モラド、まだ開かねえのか?」
「お待ちください、ただの鍵じゃなく魔法も解除しなきゃあならねえみたいで」
「くそっ、遅いな。そんな鍵、ジョウなら一発で……」
言いかけてスライドは慌てて言葉を止める。
……ジョウならば、こんな鍵はものの数秒で開けていたはず、いや、違うこの開かずの扉の迷宮の鍵が特別強力なだけだ。
スライドは思い直す。
「とにかく早くしてくれ、モラド!」
スライドが急かした。
「へい、あ、今開きました!」
「ようやくか、この奥にお宝があるに違いないぞい」
魔法使いのメルビルが扉を見て言う。
「よし、行くぞ!」
スライドが号令をかけた。
――スライド達は隠し扉を開け、広場に出る。
そのときミレイが振り返り気づく。
「扉が消えた!」
「なんだと!」
スライドはその言葉に扉の方を見る、入ってきた扉はもうない。
突如、ウーウーという警告音のようなものが鳴る。
魔法陣が現れ、下から何かがせりあがってくる。
「ゴーレム!? 四体も! しかも一体は……」
エドガーが叫ぶ。
「アイアンゴーレムじゃねえか!?」
スライドは慌てて言う。
「冗談じゃねえ、あんなの相手にしてたらいくつ命があっても足りねえ!ここは転移石でずらかるぞ!」
スライドがパーティに向けて提案した。
「転移石か、しかし勿体ないのう……」
メルビルが逡巡する。
「言ってる場合か! 命が一番大事だ!! 行くぞ、転移!!!」
何の反応もない。
「ん、どうした。転移! 転移!! 転移!!」
スライドが焦って転移石を振り回す。
「まさか偽物?」
ミレイが驚いた表情で言う。
「いや、転移石無効化エリアじゃ!」
メルビルが叫ぶ。
「なんてこった、ん、待てよ。モラド、奥に扉があるじゃねえか、あそこに逃げ込むぞ! 鍵を開けろ!!」
スライドが奥の方を指した。
「へい、がってんだ!」
モラドは素早い動きでゴーレムをかわし、奥の扉にはりついた。
――しかし。
「スライドの旦那! 鍵が開きません~!!」
モラドはそう言った瞬間、ゴーレムの腕に弾き飛ばされた。
宙を舞い、地に落ちたモラドは失神する。
「おい、モラド! どうした?」
スライドが声をかけるが反応はない。
そうこうしているうちにアイアンゴーレム達はスライド達の元へ迫ってくる。
「どひえええええぇぇぇぇぇぇ!!」
スライド達の悲鳴が迷宮内に響き渡った。
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