第15話 禁書庫
――――ブレイブ王城の禁書庫は、城の地下奥深くにあった。
華やかな王の間とは違い、地下は薄暗く日の光が差し込まない空間だった。
魔法の灯りだけが、地下通路を照らしていた。
禁書庫とやらはその通路を奥に行ったところにあった。
荘厳な装飾がなされた扉がドンと構えている。
「この扉のようね、ジョウ君、お願いできる?」
「わかった」
俺は両手を扉にやる。
「施錠解除!」
パッと一瞬大きく光った後、カチャリと音がして、あっさり扉は開いた。
中は埃だらけの空間だった。
頑丈な本棚が床に立って列をなしている。
「すごい本の数だな」
俺はそれを見て驚く。
「この中から鍵の伝承の本を見つけるのは一苦労ね」
アリシアがやれやれといった感じで言った。
そのとき、キィが呟いた。
「マスター、こっち……」
キィが本棚の奥に向かって何かに導かれるように歩いていく。
止まったかと思えば、キィは一冊の本を手にしていた。
「これは……」
「鍵のついた本みたいね」
本の外側には鍵がついていた。
当然、することは一つだ。
「施錠解除!」
その瞬間、本は光に包まれ鍵は開いた。
中に記されていた文は古代魔法文明の文字みたいだ。
アリシアはなんとか読めるみたいだった。驚くべきことにキィにもその文字が読めるらしい。
アリシアは頁をめくり、呟いた。
「これは……」
その本の内容は驚くべきことだった。
「なに、禁書庫を開けた……じゃと!」
開かずの間だった禁書庫を開けたということはすぐに王にも伝わったようだった。
俺たちは再び王の前にいた。
「どうやら、そちは本物の鍵の勇者のようじゃのう。そして鍵の一族……、名前は何という」
俺に近づき、肩をつかみ王は言う。
「俺は……、いえ私はジョウ・ローレットと言います、こちらはキィ」
「そうか、そうか。そなたたちを正式に鍵の勇者と認めることとしよう」
勇者としての称号。それは名誉あるものだった。
正式に勇者として名乗ることが出来るのは王に認められたものだけだ。
もっともスライドのように自分で勇者を名乗るものも後を絶えない。
「お待ちください!」
――そのときだった。
クリップと呼ばれたアリシアに話しかけた先ほどの貴族が王の間に立っていた。
アリシアは言う。
「無礼でしょう、突然現れて」
「王には非礼をお詫びします、ですがその男は鍵の勇者などではありえません」
「何?」
「部下に急いで調べさせました、ジョウ・ローレット、貴様はS級、A級どころかD級の冒険者であろう!」
クリップは俺を指差し言った。
「……勇者は魔王を封印できる力を持つもの、強くあらねばなりません!」
「うむ、それが本当ならば確かに勇者とは呼べんな……」
「いえ、ジョウ君は確かに封印を解きました!」
アリシアが抵抗する。
「ふん、ならば鍵の勇者であることを証明してもらうしかないな……」
クリップがクククと声に出して笑う。
「私と勝負しろ、ジョウ・ローレット!!」
その声は王の間に響き渡った。
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