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天気少女

作者: 飛沫

  私はちょっと変わっていると思う。

  実は、天気を思い通りに変えることができるのだ。昔は皆自由にやっているものだと思っていた。だから、それが私だけと知ったときは驚いたし、怖くもあった。今ではもう慣れたけど。

  このことを知っているのは母だけだ。誰にも言うなと言われている。もちろんそうしているし、説明しようにも言葉ではうまく表せない。ただなんとなく、思った通りの天気になってしまうのだ。

  そんな私の密かな仕事は、天気でムードを醸し出すことだった。

 

  明日、中学校で学級会議なるものが開かれる。最近クラスの雰囲気が乱れていることに関する話し合いらしいが、正直皆面倒だったし効果的な解決策を思い付きそうもなかった。ここは私の出番。盛り上げてやろうじゃないか。


  朝。こんな日はどんよりとした曇りがいいだろう。学級会議が開かれるのは五時間目、それに向け、徐々に外は暗く、雲も重く垂れ込めていく。

  話し合いが始まるのと同時に小雨が振りだした。雨音はうるさすぎず、沈黙の合間に聞こえてくる程度が良いだろう。

  誰も意見を言わない。少人数ずつグループになり、各グループで1つは意見を出すことになった。

  雨足は強くなっていたが、皆が案を捻り出しているうちにやがて雨は上がった。

  あるグループがそれなりに良さそうな案を出す。雲の隙間から光が差し込み、教室を明るく照らした。

  全員で賛成の意を込め拍手を送る。顔を出した太陽が濡れた草葉にキラキラと反射した。

  無事時間内に会議が終わり、やっと終わったと皆が元気に出ていった外は快晴、清々しい青空が広がっていた。


  我ながらなかなか上手く天気を操ったと思うが、どうなのだろう。正解が分からないのが難しいところだが、私はこれからも、できる限りムードを演出していくつもりだ。

  ドラマを見ていると、絶妙なタイミングで雨が降ったり、風が吹いたりしている。きっと私のような人達が、努力しているのだろう。私も、もっともっと上手く天気を操れるようになりたい。


  帰り道、歩道橋の上を歩く男女のクラスメイト2人を見付けた。

  虹をかけてあげたのは、もちろん私のサービスだ。

ご意見、ご感想等お待ちしています!

どんなことでも構いません。今後の参考にさせていただきます。

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