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31.じれじれスライム

 ボク達は順調に足を進め、なんとダンジョンの5階まで来ていた。

 町を出てからもう3日目かな。


 一匹だった時は1階でぷるぷるしてたのに……数の力ってすごい!

 クリス達だって、この前は1階であたふたしてたのにね。

 2回目で慣れたっていうのもあるんだろうけど、やっぱり身軽になったのが大きかったりして?

 ボクのおかげだねー、うふふん♪


 フェリもクリスに貸してもらった短剣で、ちょいちょいモンスターに攻撃してる。

 引っ込み思案なフェリだけど戦いは意外と上手いみたいで、クリスに褒められてた。

 ほんと、フェリちゃんってば高スペックぅ!


 でもこれで、みんなのレベルも結構上がったんじゃないかな。もちろんボクもね!

 しかもボクはモンスターのお肉でも強くなれるから、伸び率はきっとナンバーワンだねっ♪


 さっきから体がムズムズしてきてるのも、成長の証でしょ~。

 もしかして、新しいスキルの予兆……とか?

 でも”吸収”の時みたいに、具体的に何がしたいーって感じでもないんだよね。

 なんだろう……何のムズムズかなぁ?

 ま、何が出るかのお楽しみってのもいいよね!


「そろそろモンスターも強くなってきたし、この階が限界だな」


「そうね。マップを見てもほとんど探索し尽くしたみたいだし、そろそろ戻る?」


「まだ食料なんかはあるだろ。ここでしばらく()もるのもアリだぜ」


 確かに、ボクの異次元収納の中にはまだ5日分ぐらいの食料が入ってる。

 クリスは迷ってるみたいだけど、ここでレベル上げするのもアリだよね。


「フェリ、君はどう思う?」


「えっ、ぼ、ぼく……?」


「あぁ、君もパーティーのメンバーだ。意見を聞きたいな」


「ぼ、ぼくは……」


 まさか自分に振られると思っていなかったのか、フェリがビックリあたふたしてる。

 フェリちゃんがんば! パーティーに溶け込むチャンスだ!


「ぼくは……どっちでも、大丈夫、です……」


「……そうか」


 あぁ~ん残念! んもう、じれったいなぁ!

 でも、不安そうにボクを抱きしめるフェリに発破をかけるのもなぁ……。

 もう少し様子を見るしかないか。


「とりあえず、今日はどこかで休もうか。セシリア、良さそうなところはあるか?」


「えーっとね、割と近い所に湧き水のある小部屋があるよ。そこが良いと思う」


「じゃあ、そこにしよう」


 移動を再開して、みんなで小部屋を目指す。


 マップがあると楽でいいな~。一度通った道ならどこに何があるかも分かるもんね。

 ボクも手があれば描いたのになぁ。


 そんなことをフェリの腕の中でふんわりと考えていたら……


「――坊主、避けろッ!」


「えっ……?!」


「危ない!!」


 ――ガギィンッ! ガシャンッ!


 な、なに?!


 突然、フェリの腕から投げ出されたボク。

 慌てて振り返ると、クリスに(かば)われてへたり込むフェリの姿が見えた。


 そしてクリスと対峙しているのは……ソルジャースケルトンだ!

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