24.電波スライム
天使の涙って、もっと美しいモノじゃないのかなぁ、おかしいなぁ。
しかし、このダメっぷり天使にどうフォローすべきか……。
えーと……んーと……。
…………。
よし、スルーしよう!
『フェリ、この人はリーリオ。こう見えても天使なんだって!』
『……?』
あれ、天使を知らない?
それともリーリオがあんまりにもあんまりすぎて、天使だと思えないのかな?
『えっとね、今はこんなだけど、ボクが目覚めた時から色々お世話になってるんだよ。良い人だよー』
「……どこ?」
『えっ、ここに映ってる人だよ! 遠くにいるから、こうやって話してるんだ』
「映って……?」
あれ?! もしかしてこれってボクにしか見えないの?!
『リーリオ、起きて起きて! リーリオの姿とか声って、ボクにしか見えないし聞こえないの?』
泣き崩れていたリーリオは、それでもちゃんと答えてくれた。
『そうです……これは言わば、私とニイムさん専用のホットラインですから……』
えー! そうだったんだ!
知らなかったから、ついフェリにも紹介しちゃったよぉ。
これじゃあボクのあだ名がデンパになっちゃうよ!
『リーリオはフェリに話しかけたりはできないの?』
『私は基本的に地上の者と話はできません。ニイムさんは特別ですから』
『そっかぁ……なら仕方ないね』
『それにニイムさんとの通信も、ニイムさんから呼ばれないと開きませんからね。これも以前お話した制約の一部です』
『えっ、そうだったの?!』
それは初耳だ!
てっきり、ストーカーだから自分からは話しかけないのかと思ってた。
『そうなんです。だから私はニイムさんに呼ばれるのをいつもいつもいつも心待ちにしていてーー』
『ごめん、フェリ! リーリオはボクにしか見えないんだって』
「そうなの……? 残念、だね」
『うん……ちゃんと紹介したかったんだけど、ごめんね』
「ううん、気にしないで。天使のリーリオ、さん、覚えたよ」
さすがのフェリちゃん、安定のよい子!
リーリオよりも天使のようだね!
『くっ……仲良しウラヤマシイ……』
『んもー、変なところで妬かないの! フェリが寝た後でまたいっぱいお話してあげるから、ちょっと待ってて!』
『はいっ♪』
瞬時に機嫌を回復したリーリオは、ふつりと消えた。
『ごめんねフェリ~、騒々しくて』
「う、ううん。仲、良いんだね……」
『まぁね、ボクが目覚めた時から……いや、もっと前なのかな? とにかく、ずっと一緒にいるからね!』
「そっか……うらやましい、な」
……詳しい事情は聞いてないけど、フェリにはお父さんもお母さんもいない。
「ずっと一緒に」だなんて、そりゃ羨ましいよね……。
ボクだって、最初にリーリオがいてくれなかったら……。
『……大丈夫だよフェリ、今はボクが一緒にいるよ! それに、これからもっと友達を増やしていこうよ!』
「……うん。ありがとう、ニイム」
うんうん、美少年は笑顔が一番だよ。
これなら友達だって百人超え間違いなしさ!
よーし、明日からの冒険者生活、がんばるぞ!
フェリのためにも、ボクのためにも、ね!




