黒の機械 2
「いやー冬夜くん最後に使ったのって...」
「うん、マスクの人が使ってた流儀を見様見真似で咄嗟に使ったんだ」
やはり冬夜があの流儀を使ったことに対してクリスタが聞いていた。
「見様見真似で出来るなんて才能だよ!」
クリスタが冬夜を見て目を輝かせている。
「あ、ありがとう...死ぬかと思ったけど...」
「でも、このゲーム機面白かったでしょ?」
ゲーム機...これがゲームなのだろうか、僕は戦闘訓練の為の機械にしか思えないけど...
「う、うん確かに面白いことが出来るね」
「でしょーこれもマスクの人が作ったんだよ」
あの人はなんでも出来るのだろうか...なんて思うほどに凄いな。
「おい、冬夜よ、でもリーフを使った事は反則くさかったぞ」
ウルフが後ろから言ってきた。
痛いところを突かれたな...
「そ、それは...」
と、冬夜が言い訳をしようとしたが...
「じゃあ次は僕がやるね、そこのスタートボタン押してもらっていいかな?」
クリスタが早くやりたという表情でクリスタが機械に入り込み言った。
「うん」
スタート!
クリスタは一人だとどんな戦い方をするんだろう。この前は一人でダンジョンの三回層から出てきたし、ウルフと戦っていた時もウルフの強さに同様していたが、どこか余裕にも見えた。僕より強いのは確かだと思う...
「お、出てきたな」
ウルフが機械の右上の画面を見ながら言った。
本当だ、クリスタはここから僕の事を見ていたんだ。だけど暗くて見えずらいな。
「今回クリスタが戦う戦場はほぼ暗闇の洞窟か...」
ウルフが言った。
「そうなのかい?でも画面では明るくて暗闇には見えないけど?」
画面では視界は悪いものの真っ暗って程でもない。
「そりゃこの機械がクリスタに見せる世界をこちら側の画面で映し出すんだから明るさを変えているだろうよ」
そうか、これは観賞用の画面だから明るくして見れるのか...やっぱこれはゲーム機なのかな?
冬夜は少しづつ真っ黒な機械がゲーム機なのではないかと思い込んできていた。
「あ、始まった」
クリスタの数メートル離れた所に冬夜の時同様に│縁が青色に光る武器が幾つも並んでいた。
クリスタはやっぱ僕と同じ剣を選ぶのかな?
そんな事を思いながらクリスタを見ていると選んだのは│鎌だった。
「お、鎌を選んだか...いい選択だな」
ウルフは関心気に言った。
「暗闇で視界が悪くほとんど何も見えない広い洞窟だ、仲間がいなけりゃ鎌を振り回していれば敵はだいぶ減る」
そうか...確かに...
あ、敵が出てきた。
冬夜がそう思うと画面の中の彼女は敵に囲まれていたが。
「よし、10秒で片付けちゃうよー」
クリスタがそう言うと彼女は最初に鎌を振り回し、一回転する。
1秒...
今の一振で敵が軽快し始めた。
すると、クリスタの頭上から何かが飛びかかる。
「見えてるよ!」
ジュキッ!という少し聴き心地の良い音を奏でながらソレを縦に切り裂いた。
「アイツ、暗視がかなり利くようだな...」
「そうだね...暗闇で戦っているようにはとても見えないな...」
あとは、何体残ってるかな...倒した数は数えてないし、気配が読み取れるのは一体だけだけど、他にもいるのは分かる...冬夜君ちゃんと見てくれてるかな...
あ、いた...
「もう使っちゃおうかな...」
彼女がそう言うと一瞬のうちに暗闇に光が現れ、冬夜が画面を見るとそこには最後の敵が斬られていた。
「一体今何が起こったんだ!?」
驚く冬夜を見てウルフが...
「役職スキルだな...」
「役職スキルは使えるんだ...」
さっき使えると知っていれば、と言うふうに少し肩を落とした冬夜が言った。
「そうみたいだ...だが、あんな│もの《スキル》俺は見た事ない...」
ふぅーっと機械から出てきたクリスタが疲れたように言う。
「凄かったよ!」
「ホント!?ありがとう!」
少し頬を赤らめ言った。
「ねね、そう言えば冬夜くん朝ごはん食べた?」
「いや、食べてないけど...」
冬夜は確かに何も食べてなく、お腹が空いている事に気がついた。
すると、グゥ〜っと気の抜けるような音がお腹から鳴った。
「じゃあ食堂行こうか」
クリスタは冬夜のお腹の音は敢えて気にせず、そう言った。
「そ、そうだね...」
投稿遅れました。




