本当の力は誰も知らないコンタクト
ダンジョンの部分ぐだぐだな話が続いて申し訳ないです。
「コンタクト?」
魔法文明ばかりが進化した冬夜の国ではまだコンタクト何てものは知れ渡っていなかった。
「まぁ取り敢えず目に入れてみろ」
言われ、冬夜が目に入れようとする。
「うーんと、こうかな?確か前世で見た事があったんだけど」
新たなコアを作った前世で冬夜はコンタクトを見たことがあるらしく、意外にも目に入れるのに抵抗はなく、すんなり入れていた。
「おい、冬夜ー!戻ったぞー!」
そんなときウルフの声が聞こえた。
「部屋の中に居るよ」
すると、ウルフが壁の穴から入り、身体中傷だらけの僕を見て言った。
「1人で階層主に挑んだみたいな格好してんな...」
笑いながら言われた。
雑魚にでもやられたのかと思っているらしい。
「なにを笑っている、この小僧は俺との賭けに乗って見事、階層主を倒し、賭けに勝ったのだ、笑うことでは無い」
笑ったウルフを見てグランドタイガーが言った。
「なにぃ!?階層主を倒したのか?...それは笑って済まない...冬夜、ヒールしてやるから来い」
言われ、冬夜がウルフの方へ行った。
「ヒール」
「傷が凄いから少し時間かかるぞ」
「うん、ありがとうウルフ」
三分程でヒールは終わった。
「だがな、1人で階層主に挑むなんて自殺行為だ...今後そんな事を俺無しでするなよ...」
少し怒ったようにウルフが言った。
まぁ当然の事だろう、冬夜とウルフは前世で...
「所でよ、階層主倒したんならなんかアイテム入手出来たんじゃねえか?」
「あ、うん、この、コンタ...」
コンタクトと言おうとした瞬間ウルフが部屋中に響き渡るくらいの声を上げた。
「おまえ、こりゃ、キング系のゴーレムからしか入手不可能なレアアイテムだぞ!?しかも、キング系ゴーレムは普通のゴーレムのクリスタルから1000分の一の確率でしか現れない上に、このクイッカーコンタクトはそのゴーレムから認められなければ入手不可能な世界でも数える程しかないレアアイテム中のレアアイテムだぞ!?一体どうやって...」
本当にどうしてか分からない様子のウルフに冬夜がここまでの経緯などを話した。
「はぁ、まさか、バウンドレインでお前と相性の悪いファイアキングゴーレムを倒すとはな...キングゴーレムもお前を認めざるおえなかったようだな...」
冬夜は逆にウルフがコンタクトの事やゴーレムの事を知っていることに驚いた。
「ウルフはよく色んなことを知っているね...」
「まぁな、所でそれ、もう片方付けないのか?」
冬夜はウルフに言われもう片方も付けた。
「うわぁ!?」
冬夜が先程のウルフの様に声を上げた。
「なにか、色々な物が見える...グランドタイガーの魔力値や、ウルフの剣の硬さが???になってたり色んな情報が...」
驚いていると、ウルフにコンタクトの事を教えてもらった。
このコンタクトは相手を分析し、勝手にシュミレーションをして、弱点や、動く方向を出してくれるらしい。
あとの細かい説明は後にすると言われたけど。
「少しコンタクトの情報聞くだけで凄い事は伝わってきたよ」
「だが、このコンタクトの本当の力を引き出した人間はまだいないから謎が多い...」
「まぁ、コンタクトの事はこの辺にしておいて小僧、お前との約束通り、│神体強化を俺から作られたマントと手袋の装着時に付与してやろう」
「うん...」
「己の覚悟を我に見す時、我が│技の加護を授けよう、我らの体はひとつとなり共に戦う者となろう!」
その瞬間、冬夜の体が紫色に光出した。
「ん?なにも変化は無いけど」
「まぁ戦って見れば分かるだろうが、一応能力だけ教えてやる。│神体強化はレベルが1上がるごとに魔法威力が1.5倍される」
それを聞き、冬夜とウルフは黙り込んでしまった。
しばらく沈黙が続きウルフが言った。
「そんな事が出来るとは...」
驚きのあまりか、ウルフの声がかすれるように小さかった。
「冬夜、軽く魔法打ってみろ!」
うん、と冬夜は頷き、魔法を放った。
「コールドストーム!」
冬夜は氷魔法でも下級ランク魔法を放った。
普段の冬夜なら少し強めの冷たい風が吹くぐらいだが...
「す、凄い...」
そんな言葉が冬夜からこぼれた。
そう、今冬夜が放った魔法は「コールドストーム」だが、威力的に言えば貴族が放つ上級魔法、「吹雪」と、同等のレベルか、それ以上だった。
「あぁ、凄いな」
ウルフが言った。
「でも、グランドタイガー、これ、普段は発動したくないんだけど...できるかい?」
「あぁ、大丈夫だ」
「よく言った冬夜、使い続ければお前は強くなるが、成長に少しかける部分が出るからな」
ウルフが褒めるように言った。
「そうだね、でも、一つだけ試していいかい?」
「なんだ?」
冬夜は何かを試したいらしい。
「リーフ?居るかい?」
冬夜が会話からずっと外れていたリーフに声をかける。
「居るよー風...じゃなくて氷の弾丸ならいつでも撃てるよ」
「ありがとう」
ソード・オブ・キングダムで作り出した刀を振ると...
一瞬何かが風を纏い、飛んで行くが、早くて何が起きたかはよく分からない。
今度は縦と横に何度も振る。
すると、部屋の壁がどんどんと崩れてゆく。
これは、氷の弾丸の射出力が早くなったために、リーフの弾丸が、見えなくなったらしく、壁にいくつもの切れ目が入り、崩れたようだ。
「すごいや、でもこの辺でいいや、リーフありがとう」
「うん、じゃあ僕は寝るねー」
寝るんだ、と思いながら冬夜はうん、と、返事を返す。
「グランドタイガーも、じゃあ、効果を外してくれるかい?」
「了解だ...あとな、小僧さっきからグランドタイガーと呼んでいるが、俺にはガリアって名前があるからそっちで呼んでくれ」
「分かったよ」
「ういよ」
冬夜とウルフが返事をする。
この後、三人は今日はこれ以上先に進むのは危険と判断し、1階層の雑魚モンスターだけを倒していた。
「フリーズ!」
1階層には冬夜と相性が良いスライムばかりだった。
スライムは体を氷らせられると動きが止まる。
その間に剣で倒す。
これを何度も繰り返していた。
「まさか、お前がソード・オブ・キングダムを使えるようになってるとは...一日もたたずにな...」
「なんて言うか、決意を示したら使えた見たいな感じなんだ」
そんな話をしながら次々にスライムを倒す。
冬夜のレベルも上がっていった。
「おい、冬夜ありゃ2階層への階段だ、場所を把握しておけば次来る時楽だな」
「そうだね、覚えておこうか...」
と、冬夜が言った瞬間だった...
「クリスタ?...」
「あれ?冬夜くん?あ、やっぱり冬夜くんだ」
「う、うん」
こんな所でクリスタに会うとは思わず、冬夜は驚いていた...そして、クリスタは学校での服装と違い、その事の方が冬夜は驚いたらしい。雰囲気がまるっきり違うのだ。
学校では普通の女の子らしい服装だったが、今は違う。
軽量化のためか、全身黒の服で、無駄な部分が少なく、動きやすさの為か短めのスカートを履いている。
「その服は...?」
「これ?これは│暗殺者のバトルドレスだよ?動きやすくて軽いし僕はこれ好きなんだよね」
│暗殺者のバトルドレスなのか...と、冬夜はクリスタのその、雰囲気が少し変わったクールさ、とバトルドレスで引き立てられた白い肌、白い髪に見惚れていた。
「ん?どうかした?冬夜くん?」
ボーッとしている冬夜を見て、おーいと、手を目の前で小刻みに手を振るが、冬夜の反応が無い...
「こりゃダメだな」
まぁ、確かに見惚れてしまうのは分かるがな、とウルフも思っていた。
「ハッ!...あ、ごめん」
合間をおいて冬夜が意識を戻す。
「大丈夫?」
クリスタが聞いてきた。
「う、うん大丈夫...気にしないで」
「分かった、ならさ、早めに集まれた事だし試合に向けてコンビネーションを高められるように練習しよっか」
「そうだね」
「ならさっさと、外に出るぞ、スライムのドロップアイテムも集まっただろうしよ」
ウルフが言った。
「ドロップアイテムなんて出たかい?」
スライムを倒しても何も出なかったので冬夜は聞いた。
「あぁ、それはなコードパットに分子データとして記録され、ギルドでアイテムに変換できる。キングゴーレムのコンタクトの様にかなりのレアアイテムなら自分の手元にそのままくるがな。」
説明を聞き、冬夜へぇーと頷いた。
そして、そのまま皆で外に出た...
そろそろ、試合へ行けるかと思います。




