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結晶英雄  作者: 彩秘 雨蛍
第1章 前世と復讐劇の始まり
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ダンジョンにて逃げは許されない

「最弱で1000倍だったんだね...じゃあ強い魔族は」


「あぁ、強い奴なら軽く1万倍程の強さはある...と言うか、存在が根本的に違ってくる事もあるから今のお前に直接手出しはしないだろう。まぁお前も強くなれば分かるだろうよ詳しく説明するのはそれからだ」


冬夜は知りたそうに顔を歪める...が、直ぐに元に戻す。


「そうだね、そんな事は後から分かればいいだろうし、今はひたすらに強くなろう」



そう言って冬夜とウルフは開いた扉から階段で降りてゆく。




:第2層


階段が長いため、ウルフと冬夜、たまにリーフも会話に加わり適当な話をしていた。


「そう言えばさ、ウルフ」


なんだ、という風にしてウルフは冬夜の方へ角度を変える。


「この今つけている手袋とマントって自我が宿っているんじゃなかった?今のところ動いたり話したり何もしないけど」


ウルフは忘れてたという風に言った。


「やべーな...忘れてたぜ...そいつ怒ってるかも知れねーな...あ、上の階層の魔物をから素材取るの忘れてたからちょいと行ってくるぜ、お前は先行ってろ、後から追いかける...」


「冬夜、あとは頼んだ...アンロック!」


「あ、ウルフ!」


言うとウルフは逃げるように階段を浮いた状態で猛スピードで上がって行った。


一体なにをそんなに...と思った瞬間だった。


「おい、小僧」


渋く何とも聴き心地の良い声が聞こえる。


「僕かい?」


冬夜は一切の驚きも見せず、返答する。


「あぁお前だ俺は貴様を認めん」


一体なんのことだと言いたげな冬夜は首をかしげる。


「忘れたとは言わせない、あの夜..背後から魔法を掛けられたかと思えばその後一瞬にして肉片にされた事を」


この時、冬夜は思い出したかのようにハッとした。


「えーと、グランドタイガーかな?」


「あぁそうだ、思い出したか...俺はあの屈辱を忘れん、そんな剣士の恥たる行為に負けるなんてことを許さない」


落ち着いた良い声だが、どこか威圧さを感じさせるその声に冬夜は少し動揺しながらも返事をする。


「僕はどうすれば...」


「うむ、俺より強い魔物を真正面からうち向い倒せたらお前を認め、俺の特殊スキル、│神体強化じんていきょうかを手袋とマントを付けている時に発動してやろう、マントと手袋で効果は二倍になる...」


神体強化?とはいったい...まぁその前に取り敢えず魔物を倒さないといけないんだよね...


「分かった、真っ向から勝負をして敵に勝てば良いんだね」


「そうだ、出来ればの話だが…やるなら、もう、敵は近い、このダンジョンとやらの階層主が目の前に居る、そいつを倒すならば申し分ない」


目の前は壁だったが、冬夜は壁の向こう側に居るものだと分かっているようだった...そして、剣を構えようとした時...


「あ、ウルフが居ないから剣が...」


「ウルフとはさっきのやつの事か...あの剣の奴は強い...見ているだけで力のオーラが伝わるほどだ、そんなやつは早々いない...だからアイツに頼らず、今回は自分だけで倒せ...それが条件だ...」


冬夜はうん、と頷くと魔法を唱えた。


「ソード・オブ・キングダム」


怖いながらも精神を保っての詠唱に少し喜んだ冬夜だったが...


「おい小僧、喜んでる場合か...この魔法、お前にはオーバースペックだ。安定させなければ自我を失うぞ!」


そう言われ冬夜は精神を安定させ、手に現れた氷の刀を制御した。


「これで、行くよ!」


そう言って冬夜は壁に刀で斬り掛かる。すると、壁はまるでバターを熱したナイフで切るようにスルッと亀裂が入り、そこから崩れ、穴が少し空いた。


この斬れ味には冬夜も目を丸くした...なんせ、斬る感触すらほとんど感じず、抵抗と言う概念がこの刀に無いのかと思うほどだったからだ...


「ウルフはこの前この刀を持ち暴走した僕をずっと...」


冬夜はウルフの強さが尋常ではないと言う事を今気がついた。




そして、今開いた穴から敵が居る奥の部屋を覗く。すると、真っ赤に光る炎のクリスタルが大きい部屋の真ん中にドンマリと存在感が増してあった。


あれが...階層主...いきなり階層主なんてレベルが高いな、増してや戦闘直後なのに...ま、当たって砕け...ちゃダメだった、物理的には砕けちゃいけないんだった...


冬夜は部屋へ足を踏み込んだ。


石で出来た壁と床、所々にはコケが生えている。

少しだけ神秘的な部屋だ。


「あの炎のクリスタルが、敵か...なら、抵抗のない今のうちに...」


クイックで一気に炎のクリスタルと距離を詰める。


そして、斬撃をクリスタルに入れようと足を踏み込んだ瞬間...クリスタルの後ろに冬夜が現れた。


変わり身の術だ...


「あれ、でも...背後はとっ...」


その瞬間冬夜が50メートル程離れた部屋の壁に体を殴打する。


一体何が...いてて...


「よし、もういち...」


ガンッ!!っと冬夜の頭が壁に打ち付けられ、壁に凹凸が出来る。



「一体...何が...」


「貴様か、我が眠りを覚ました不届き者は」


目の前を見ると先程のクリスタルが変形したと思われる真っ赤な兵器的なゴーレムがいた。


冬夜は場合を把握出来ず黙っていた...


「貴様が、我が眠りを覚ましたのならここで撃破する!」


冬夜は撃破という言葉を聞き、ハッと我に戻る。


「クイック!」


その瞬間壁を蹴り、目の前のゴーレムへ刀を立て、一瞬でゴーレムの腹部を貫き一旦距離を置い...


そのとき、またしも壁に冬夜の頭が打ち付けられた。


「どうし...て...」


「どうしてとは...愚かな事を、力の差があり過ぎる。で、納得するかな?」


兵器とは思えない優雅な口ぶりでゴーレムが言った。


絶望的なこの状況を冬夜は理解し、逃げに徹し、グランドタイガーとの事は一旦忘れることにした。


「ごめんウルフ、アイスゲート」


死んでは元も子も無いと思いウルフに禁止されたアイスゲートを使った。

すると、先程入って来た穴の前に出た...が...

半透明で緑色の何かが行く手を遮る。


「馬鹿な事を、一度入れば出ることは出来んぞ」




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