階段主VS冬夜
大変遅くなりました。
「おい、冬夜こっち来い」
本の事なんて一切気にせずウルフは光洞窟へ入っていた。
「どうしたんだい?」
冬夜は聞き返しながら洞窟へと入った。
「ヒカリゴケだ、これが洞窟の入口の方にあるってことは分かるだろ?」
その時、冬夜の顔が少し歪み嫌そうな顔をして言った...
「ダンジョン...だ...」
「ダンジョン!?わぁ〜やった〜ダンジョンなんてはじめてだよ!」
冬夜とは裏腹にリーフは喜んでいた。
「当たりだ、じゃあここのダンジョンで特訓するぞ...冬夜、どうかしたか?」
ウルフが冬夜に目を向けると明らかに目が死んでいた。
冬夜はよっぽどダンジョンに入りたくないのだろう。
「ごめん、なんか凄い嫌な感じがして...」
冬夜は何故かこの光洞窟に嫌な感じがあるらしく、体があまり受け付けないらしい。
「そうか、でもよ、クリスタとの待ち合わせまでまだ数時間あるぜ?」
言われてみればそうだ、結局試合も見ず、あのマスクの男を見てからいてもたってもいられなくなってここに来たんだったな...行くしかないかな...
「それもそうだね、行こうか...」
嫌々ながらも冬夜は復讐の事を思い出すと無表情になり、遠くを見渡す目をしていた...
「じゃあ僕は〜冬夜の中に入って見てるね〜」
リーフは緊張感を忘れさせるようにゆるりとした口調で言った。
「分かったよ...」
洞窟の奥、ダンジョンへと進む階段を2人は探している。
ダンジョンの一回層へ行くには階段を降りて行き、階段主と言う魔物を倒してから出ないといけない。
階段主とは階層主と違い絶対に倒さなければいけない魔物だ、階層主はレベルが上がればその階をただ通り過ぎるだけで、もっと下の階へと行きたい人達は倒さない事も出来る。
階段主はどの階層にも出現し、階層の壁を開ける鍵にもなるので倒さなければいけない。
「ウルフ、あったよ階段」
「おっ、そうかなら行こうぜ、あとよ、スキル取得もう1つ出来たと思ったけど取得しとけよ?」
あぁそうか、と、冬夜は思い出したようにコードパッドを見て、これだっ!と言うふうにスキルを一瞬で取得した。
「おうおう、行動がはえーな...ところで何を取得したんだ?」
冬夜の行動が早すぎてウルフも少し動揺していた。
「それは僕が使ってから見てよ」
冬夜は忍者と侍 両方の役職があるため、ウルフはどちらの役職で冬夜がスキルを選んだのかも分からない。
「まぁ、お前が選びそうなのに検討はいつてるけどな」
「そうなのかい?」
「まあな、お前なら侍の像線斬岩斬なんての選びそうだしな」
ビクッと冬夜は震えた...
「やっぱりな」
「ウルフにはなんでもお見通しか...」
驚かせてやろうとでも思っていた冬夜は見事にウルフに言い当てられたらしい。
冬夜がスキルを取得した後、2人は階段を降りて行った。
「おい、冬夜この先に多分居るぜ」
それは、階段主の事だろうと理解した冬夜はウルフを手に構えた。
だが、重そうにしている冬夜を見てウルフは...
「少し浮いてやろうか?」
と、聞くと苦しそうに冬夜はうんうんと必死に頷いた。
ウルフが軽くなると冬夜でっかい氷に包まれたウルフを片手で肩に持ち、階段を進んだ。
「ヴォォォォォ!!!」
階段主が目の前に見えた。体長は6メートル程の石の様な魔物だ。冬夜は様子を伺いながら真後ろに来た。
少し小さめの闘技場のような場所に、岩の柱が何本も立っているのを利用し、クイックを使い、慎重に柱の陰に隠れながら来たのだ。
冬夜は先に変わり身の術を使っておき、後ろから一撃を入れた。
「アイスブレード!」
するとウルフの氷った刀身がさらに氷で長くなり、大きい剣になる。
剣は一撃を与えると、砕け、元に戻る。
「グギャァァァ」
階段主の声が響き渡った。
「冬夜来るぞ!」
地面から1メートル程の太さの土の蛇がうねうねと何体も出てきたて冬夜に襲いかかる。
だが、冬夜が剣を振るうと三日月型の氷の弾丸が飛ぶ。
「やっぱりリーフの力がウルフにも伝道していく見たいだ」
冬夜がこれなら行けると言った風に更に剣を振る。
蛇は全て消えた。
「この蛇はアイツの術のせいだ、さっさと倒せ」
ウルフが言った。
魔物に突っ込む...何度も切りつけるが岩の体はダメージが入っているようには見えない。
「アイスブレード!」「アイスブレード!」「アイスブレード!」
魔物はビクともしないまま冬夜に襲いかかる、巨体を動かしグルグルと岩の体を回転した。
すると、高速で移動しながら冬夜へ突進する。
「やべぇぞ冬夜これはお前が食らったら死ぬぞ」
「アイスウォール!」
氷の壁を作るも即座に破壊される...このままだと一撃で死んでしまうと考えた冬夜は...
「バウンドレイン!」
その攻撃をエネルギーに変えて倒そうと思ったが...
「ダメだ!冬夜!アイスゲート!」
ウルフが言うとゲートを使い、魔物から一番遠い場所へ来た。
冬夜は何が起こったか一瞬把握出来ていなかった。
「悪い、肝心な説明を忘れてた...バウンドレインは盾が破壊されると倍のダメージをくらい、その日は使えなくなるんだ、だから今使っていたら確実に壊されて危なかったんだ...済まない」
ウルフが説明すると冬夜は分かったと言ってまた、突進してくる魔物をクイックで避けた。
そして、今度は先程覚えた像線斬岩斬を使った。
だが、クイックを使う冬夜を追いかけ、魔物もそれに同じくらいのスピードで広い広間を追いかける。
このままじゃヤバいと思った冬夜は勢いのまま、壁を駆け抜ける。
すると、魔物はそのまま壁に激突し、壁を深く削りながら回転が止まって行く。
よし、今だ!
冬夜は│像線斬岩斬を仕掛ける。
まだ使ったことが無く、どういうものなのかもよく分からないまま使ったので、ぎこちない動きだったが、魔物には効果的中だ。
冬夜は技の名前から想像して攻撃を行ったが、あっていたようだ。
これは、剣術の遠距離攻撃と捉えるべきだろう...
冬夜が剣を振るう度に光の斬撃が魔物へと斬り掛かる。
剣がなぞった空中の部分から斬撃が飛んで行くのだ。
「お、冬夜効いてる見たいだぜ、これなら俺はもっと軽くなった方がいいな」
「うん、このまま押し切る!」
剣は軽すぎると相手への攻撃の力が弱くなるが、この場合軽い方がいいと思い、ウルフは軽くなった。
一層攻撃が早くなった冬夜の斬撃に魔物は押し切られ、敗れた。
「まさか、第1層の階段主であそこまで強い敵が出てくるなんて思いもしなかった...」
息を切らしながら冬夜は膝に手を付き、言った。
「よし、扉が開いた事だろうし行くぞ!」
「ちょ、ちょっと休ま...」
「お前、復讐したいんだろ?魔族は今の1000倍以上強いんだぜ...最弱魔族でもな...」
そんな絶望的な言葉を受け、冬夜は...
「そうだね、行こうか!」
心に火がついたようだった...
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回も張り切って書きますので読んでいただけると嬉しいです。




