冬夜の野望に光は無い
音が響いたあと、冬夜は頬を軽く抑えていた。
「痛いな…」
「痛いな…じゃないわよ!こっちはあなたが魔族と戦って意識を無くしたって聞いてずっと心配してたのに...なのに、意識を戻した瞬間女の子といちゃいちゃするなんて...ありえないわ!」
そう冬夜に言ってきたのはルナだった。
別にいちゃいちゃなんてしてないんだけどな...でも、ここはルナをなだめるしかないよなぁ...
「心配かけたのはごめん...でも、今はただマジックファイトフェスって言う物の説明をしてもらっていただけだよ」
ルナは一旦落ち着くと1週間僕を心配してくれて、溜め込んだ思いを整理したのかいつものルナに戻った。
「ごめんなさい...つい...」
少ししょんぼりした顔でルナは言った。
「ところで、ルナはもうマジックファイトフェスに出る人は決まったのかい?」
「えぇ...もう決まってるわよ…もしかして私と組もうとしてたかしら?」
「い、いやぁ〜そんな事ないよ」
ルナにはお見通しらしいな、その通りだった僕はルナを仲間にしようとしてた...だけどダメか...
「そう、良かったわ、私貴方に頼まれたら断りずらいですもの...貴方と戦いたいのに...」
ルナは僕を倒したいのか?でも、なんでだろうか...
「ダメだよ!冬夜君は僕と一緒に戦うんだから!」
僕とルナが話していると後ろから先程の少女が言ってきた。
「ところで、貴方お名前は?」
ルナが聞いた。
「僕は...クリスタ...多分」
「多分?」
「うん、僕...1年前から記憶が無くて、一人で暮らしてるんだ、クエストをクリアしてお金もある程度は稼いでいるし」
「大変だね、僕で良ければいつでも力になるよ」
変に哀れんだりするのも良くないので僕はそう言った。
「うん、ありがとう...それより、もう1人の仲間探そ!」
「私はこの後友達の試合の準備を手伝ってその後応援だから戻るわ」
友達か...僕も作らないとな...
「分かった」
そう言ってルナは来た方向へ戻って行った。
「で、クリスタ?チームに加える人に心当たりは?」
僕は友達も...と言うかちゃんと学校に来れたのはこれが初めてなので知り合いすらまともに居ないから論外だ、だからクリスタに頼るしかないな...
「うん、1人だけまだチームに入ってない人は居るけど...」
「けど、どうしたんだい?」
「行けばわかるよ...着いてきて」
言われて僕はクリスタに着いて行く、すると、大学の奥へ奥へと行くのだが、そこは暗く、立ち入り禁止となっていた...だが、クリスタは足を止めず、さらに奥へと足を運ぶ。
「こんな所に居るのかい?」
「うん、ここで研究?とか色々しているらしいよ」
なんか、とんでもなさそうな人が出てきそうだな。
「ほら、着いた」
クリスタがそう言うと僕達は紫色に発光する扉の前に居た。
階段を降りて来たが、ここは地下10階程の深さだ。こんな所になぜ居るのだろうか…
コンコンとクリスタはノックをする...返事はない...彼女はそのままドアノブに手を掛け、ひねった。
扉を開くと中には文字の書かれた紙が散らばっていた、よく見るとそれは、多くの国の言葉で研究されたレポートだった。
僕は自分の読めるものを拾って読もうとした...そのとき
「誰だ」
奥の方から男が一人でてきた。
白のフードを被っており、顔には仮面を付けている、だから外見は分からない。
「僕だよ」
透き通った声でクリスタは言った。
「お前か...何をしに来た、あとそいつはなんだ」
僕の方を見て言った。
「この人は冬夜くん、最近噂の魔族を倒した人だよ」
「ほう、細い見た目だがまぁまぁやるようだな」
僕が魔族を倒したって事でいいのかな...
「いや、まぁ...」
「だが、自惚れるな、魔族の一人や二人倒せて当然と思っておいた方がいい」
なんだろう、この人からは、ただならぬオーラを感じる...僕の直感は、コイツを強者と判断したのだろうか。
「分かっています、このくらいじゃ足りない、もっと強くならないと...」
「お前には何か目標...いや、成し遂げなければならないと言う絶対的な野望が見える...」
この人は、何でも見透かしてきそうだ、危ないな...
「あの、ところで、要件なんだけど、僕達のマジックファイトフェスのチームに入ってもらいたくて来たんだけど」
「それは、無理な話だ、私は一人で出場する」
やっぱりそうか、一目見た時から無理そうだとは思っていた。
「そこを何とか...お願い出来ませんか…」
「いくら言っても同じことだ、私の意見は変わらない」
「クリスタ、もう諦めよう、僕達二人でやろう」
「うん...分かった」
僕がそう言うとクリスタは少し俯きながら返事をした。
そして、僕達が試合の会場に戻ろうと部屋を出ようとしたとき男は僕に話してきた。
「冬夜と言ったか...一つ忠告だ、野望、目標、欲を持つのはいいが、お前の青い目には光が感じられない...野望に浸らないよう、せいぜい気を付けろ」
それを聞き、僕達は戻って行った。
次話でやっと試合かと思われます。
戦う描写が下手だと思うんですが良ければまた読みに来てくれると嬉しいです。




