復讐劇の幕引き
設定が少しごちゃごちゃかも知れませんが良かったら読んでくださいませ。
「雪で覆われている街というのもロマンがあって良いものだね...」
僕は自分が、街に被せた雪のかかる街を見てそう言った。
「そうね、こんな汚れた理不尽な世界を少しでも綺麗に見せてくれますもの」
青年と真っ白なドレスに身を包んだ白髪の幼女の声が静謐の中で微かに響く。
街には物音一つなく、人影すらない。
「次ので最後だね、力を使いすぎてそろそろ僕も限界だな…...でもこれが終われば僕の復讐劇も幕を閉じることが出来る...それも君のおかげだよ...」
青年がやっとだと言う風に復讐の最後だと言う。
「ええ、まぁそうかもね...あれよ、最後の標的がいるのは...」
少女が指さした先には、結界が何重にも重ねられた城の姿があった。
僕の事を中には絶対入れないつもりだろう。
「今の僕にはこんな結界、意味が無いってアイツも分かっているだろうに...」
「アイシクルブレイク」
呆れたように言いながら青年が氷の刀を前に向けると、結界は凍りつきパラパラと破片を散らして崩れていった。
「ここからは、油断は禁物ですよ」
「うん...大丈夫さ...これで、終わりにしないといけないから...」
青年は刀を杖にしながらゆっくりと進む。
城には騎士がいる様子もなくただ、ただ静かな事だった。
青年が城に足を踏み入れると城が隅々まで凍った。
「この上の階みたいだ...」
そう言うと、青年は階段を上がる。
階段を上がった先には口が裂けそうな程の笑みを浮かべ待ちわびたかのような顔をしている女性が座っている。
「ようやく来たわね、冬夜くん。もう待ちわびちゃったわ、早く貴方の苦痛の顔を見たいと思って、毎日興奮して眠れない日々が続いて貴方が来る前に倒れそうだったわ。でも、その前に来てくれて私、嬉しい!」
女性は、無邪気そうな顔をしながらとんでもないことを言い出した。
「狂ってるわ」
少女がそう言った。
「あら、そちらは冬の神かしら、あなたに要はないの消えてちょうだい」
「私には彼を見届けたい思いがあるので、着いて来たのよ」
「なら、そこでじっとしてなさい」
「言われなくてもそうするつもりよ、私が力を貸さなくても彼はあなたに勝つわ」
少女は、期待でも、願望でもなく、ハッキリと確信してそう言った。
そして、少女と話している女は、俺が殺すべき最後の敵である。デルメス・カヴァリー。最低最悪の魔術師であり、人間の人生を全てを狂わせた24愚者の1人だ。そして僕も、その被害者だ。
「行くぞ、デルメス!」
デルメスの不意をつくかの様に一気に仕掛けた。
「ソニック、ステルス、狂化」
身体強化魔法、復活魔法を使い、一瞬で、デルメスに近づき首を跳ねた。
「あら、名前覚えててくれたのね、嬉しいわ」
そう言いながらデルメスは跳んだ首を手で掴み、元に戻した。
「やはりだめか」
「あら、今のでおしまいかしら?つまんないわねーじゃあ次はこっちの番ね」
嫌な笑みを浮かべこちらをを見てきた。
「プレス!」
「クッ!?」
重力増大魔法のプレスを使われ身動きが取れない。
並の魔力ではここまで重力を強くすることは出来ないが奴はやはり強いな。
「カハッ!」
「アイスゲート」
目指出来る所に穴を開き一瞬で移動する。
「なに!?」
デルメスが驚くが、その瞬間に僕は魔法を展開させていた。
「フリーズ」の魔法を使い彼女を凍らせる。
だが、彼女は体に炎を纏それを防いだ。
「貴方が使う魔法は氷属性なのだなら耐性をしておかないわけないじゃない?」
彼女は僕の通常攻撃魔法が通じないと言う風に言ってきた。
なら...
「僕、今までも戦う相手に聞いてきたんだけど君は僕に封印されるのと、殺されるのどっちがいい?」
「は?何を大口叩いてるのかしら、もしかしてただの脅し?貴方に私は倒せるわけないじゃない、私は全属性の魔法を使えるのよ!」
「ごめんね...」
「何故謝るのかしら?頭のネジでも吹っ飛ばしたのかしら?」
デルメスは僕がおかしくなったのでは無いかというふうに笑いながら言った。
だが、僕はおかしくなんてない、ただ無意味な殺人をしないで済むのかと、少しだけの希望を声に出しただけだ。だけど、その言葉も僕の魔法のように凍った。
「瞬殺させて貰うよ!」
「コールドバインド、クリスタル・キャッスル・オブ・プレス、アイスマイト!!!」
拘束魔法の3連続で、デルメスの動きが止まる。
「最後だよ、本当に殺してしまうよ...」
「最後...に、...封印を受けた...人は...いる...のかしら...」
拘束が強すぎて苦しそうな声でデルメスが言う。
「あぁ1人だけね...」
デルメスの口元が微妙に口角をあげた。
「殺し...なさい...」
「.........」
「瓦解流奥義・龍獄凍・龍王突破」
氷の刀が部屋を埋め尽くすほど現れ、1匹の龍と化した。龍はデルメスの心臓を体で貫いた。
デルメスにはポッカリと胴体に穴が、空いていた。
切られた部分からデルメスの身体は凍りつき、もう元には戻らないだろう。
だが、何か引っかかる、こんなに早く24愚者の1人が負ける事は今までになかった...
「これで、終わり...なのか...」
「そうね...多分...」
ああ、なんていい気分だ、これで...これで僕も自由に...
外に出て僕は、雪の上で倒れた。
「ゆっくり休みなさい...また来世でね...」
そう言うと少女は消えていった。
「ああ、しばらく休ませてもらうよ...」
僕は残りの魔力MPを使い大魔法、『クリスタルオブアヴァロン』を唱え...
楽園へのゲートを開いたのだ。
ゲートを潜るとダイヤモンドダストが降り注ぐ真っ白な世界だ。
「ここで眠りに着こう...そして...未来へ」
転生には時間が掛かるだから、ここへのゲートを開いた。
転生魔法。
「リバース・オブ・ザ・スノー」
そう言うと体が白く染っていき、瓦解して行く。
全て白に染まると、雪のようになった体は繭のようになり、動きを止めた。
ああ、血生臭い人生だったな、記憶には、肉が引き裂ける音、血の臭い、憎しみの感情、ほとんどそれだけだが残っていた。
酷い日々だな、でも次からはきっと...
だけど...他にも大切な何かの記憶が...これは僕の...前世...あぁ過去の記憶だ、復讐を果たす力を僕に与えてくれたあの冬の神クリスタに出会った、素晴らしい日の...ありがとう....
この日僕の長い戦いは終わった...西暦2446年12月25日...
ここまで読んで頂きありがとうございます。
更新ペース遅いかもしれませんが、また読んでくれると嬉しいです。
指摘、質問等あったらコメントでお待ちしております。