おまけ 婚約者様
イチャイチャします。
その日、目の前のブラウド様は真剣に私の話を聞いてくれていた。
新生活に現れたヒロイン君の話だ。
「レンバーラ君は何かにつけて人に体当たりしてくる男の子で………」
ブラウド様は私から視線を反らし顔を両手で覆ってしまった。
「ブラウド様?大丈夫ですか?」
「………はい」
「大丈夫な感じがしないですけど?」
ブラウド様、少し挙動不審です。
「体調が悪いのなら私はそろそろ、おいとまいたしますが?」
「体調は大丈夫なので、行かないで下さい」
「………」
何で挙動不審?
「じゃあ何で?挙動不審なんですか?」
ブラウド様は顔を両手で覆ったまま呟いた。
「………ナルの話に出てくる男に………嫉妬してます」
「へ?」
し、嫉妬?見ればブラウド様の耳が真っ赤だ。
「ナルと一緒に学園生活をおくる全男子生徒についつい嫉妬してしまうんです………俺はナルと一緒に学習生活をおくる事は出来ませんから」
私は向かい合わせに座っていたブラウド様の横に移動して言った。
「私と一緒の学園生活なんて対した事はないですよ。私はブラウド様と同じ時代に学園生活おくってなくて良かったって思っているのですよ」
「何故?」
「私とブラウド様が同じ時代に学園生活おくっていたら、確実に学園の実験室に二人で引きこもって出てこないって思いませんか?」
「………確かに」
「それにしても、何で突然嫉妬なんて…」
「だって、名前……」
「名前?」
ブラウド様は横に居る私の手を掴むと言った。
「ナル、俺の事その、"様"呼びするから」
「………だって、失礼でしょ?」
「失礼なわけない!だって、俺逹婚約してるんだし………ナルは特別だし」
顔から手をはなしたブラウド様の顔は真っ赤だ。
可愛い!!
「ブラウド」
「………」
「カーディナル、ブラウローズじゃなくてナルとして言いたい事があります」
「………はい」
「だ、だ、だ」
「だ?」
「だ………大好きなの、ブラウドが……大好き」
ブラウド様は私の顔をマジマジと見つめた。
まさかのドン引き?
そう思った瞬間ブラウド様は湯気が出そうなほど真っ赤になった。
捕まれている手まで真っ赤に染まっている。
何、可愛いんだけど!
「な、ナル………俺も………いや、愛してる」
「………て、照れちゃうから!」
「ナルが先に………真っ赤になったナルが可愛すぎて辛い」
ブラウド様は怨めしそうに私を見つめた。
「ナル、抱き締めて良いですか?」
「ぅえ………あ、はい」
ブラウド様は立ち上がり私の手を引いて私も立たさせて抱き締めた。
ブラウド様の息が首筋を撫でる。
「ナル………とりあえず、人に体当たりしてくる男には近寄らないで」
「私は体当たりされたこと無いです。運動神経良い方なので」
「俺が体当たりしたら?」
「受け止めます!」
ブラウド様はクスクス笑った。
「下心ありでも?」
「ブラウド様が相手ならわざと胸を押し付けて意識してもらいます」
「………今、ナルの胸を意識しちゃいそうなんですが」
「じゃあ、押し付けないと」
私はブラウド様に胸を押し付けた。
ブラウド様がびくっと体を震わせた。
「嫌でした?」
「あ、いやなわけ、あの、ご馳走さまです」
「何ですかそれ?」
「いや、幸せすぎて………」
「ブラウド様、私の全てはブラウド様のものなんだから好きにしていいですよ」
「………」
ブラウド様が私を強く抱き締めた。
ガサゴソ、ゲフンゲフン
天井裏から物音が響いた。
「うちの優秀な諜報部員が止めに入ったのでここまでらしいです」
「残念?」
「残念です」
「良かった残念に思ってもらえて」
私は更にブラウド様にギュウギュウと抱きついた。
最近ブラウド様は私に会う時大抵私を抱き締める。
何時からかそれが当たり前になり、ブラウド様に抱き締められる事が嬉しくて安心出来ることになった。
今みたいに抱き締められたりしたら、少し前なら失神していただろう。
「ナル愛してます」
「私もです」
「次に会うときは諜報部員は下がらせましょうね」
「次に会うときは結婚後なんですか?寂しいです」
「………」
「………大好きです」
「………はい……我慢します」
ブラウド様は項垂れて私の肩に額をのせた。
「ナル、俺以外のヤツとイチャイチャしたら駄目ですよ」
「しませんよ」
「ラブラさんとはするでしょ?」
ラブラちゃん?
何故ラブラちゃん?
「ラブラちゃんも駄目なんですか?」
「たまに、ラブラさんが羨ましくて仕方なくなるときがあります」
「ラブラちゃんとは抱き締めあったりしませんよ」
ブラウド様は深くため息をついた。
「嫉妬深くてすみません」
ブラウド様はそう言って私の頭を撫でてくれた。
「ブラウド様、監禁したいって思ったことありますか?」
「ありませんよ………いや、たぶん出来る気がしないからなのかな?ナルの運動神経良いですもんね。閉じ込めるなら、腕の中が確実で良いかな?」
どうしよう嬉しい。
「でも、何でいきなり監禁なんですか?」
「レンバーラ君が……」
ブラウド様はヤンデレで監禁癖があるってレンバーラ君が言っていたって言って良いのか?
「ナルの口から俺以外の男の名前が出るのが気に入らない」
「へ?」
「キスして喋れなくして良いですか?」
「え?いや、それは…」
ブラウド様、天井裏からバタバタ音がしています。
私は近寄ってくるブラウド様のお顔を両手で押さえつけて抵抗をした。
嫌じゃ無いけど、天井裏で見られているから!
人前でするのは駄目だよ!
「ぶ、ブラウド様!け、結婚したら!結婚したらめちゃめちゃしましょ!だから、今は……」
ブラウド様は満足そうにニヤリと笑ったのが手にある感触で解った。
漸く離れてくれたブラウド様はニッコリと笑って言った。
「結婚したらですね。絶対に忘すれないので結婚したら覚悟してくださいね」
「わ、私、何やら早まったこと言いましたか?」
「いいえ。ああそれとナル、学園を卒業したら結婚しましょう。ナルの頭なら飛び級も出来るでしょうから俺はナルの覚悟が決まるのを待ています」
「へ?あ、あの」
「ナルの決心がつくのを今か遅しと待ってますよ。まあ、俺はナルが10歳の時から片想いしているから、実際いくらでも待てるんですけどね」
「………10歳ってはじめて会った頃」
「君は10歳って言うような10歳じゃ無かったですから。歳上と話しているように感じたことも何度もあるんですよ」
ブラウド様、鋭いです!
私、生まれる前40代でしたから………
「ナル、君は俺のものです。逃がしませんよ」
「………逃げません。ブラウド様は私だけのものですからね。浮気したら許さないから!」
「俺は大丈夫です。人と会わないので。むしろナルの方が浮気しないでくださいよ」
「しません!」
私が口を尖らせて文句を言うとブラウド様はクスクス笑った。
あれから、私は飛び級を視野に入れた学園生活をおくることになったわけだが………ブラウド様との新婚生活を考えただけで赤面してしまうのは私のトップシークレットだ。
今までは対したイチャイチャをさせていなかったのでこんな感じに………
ヒロイン対決も書こうかな?




