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僕の隣……… ヤードラル目線

ヤード君目線も書いてみました。

 僕がココルとはじめて会った時の印象は最悪だった。

 我が儘でお姫さまって感じが鼻に付く女の子。

 お姉様が仲良くしてねって言ったから仕方なく一緒にいてやっていた。

 あの日、僕はおもってしまったんだ。

 僕がココルに『傲慢で我が儘な馬鹿女』ってはじめて罵った日。

 目に涙を一杯にして必死に『嫌わないで』って言ったココルに僕は心臓を鷲掴みにされちゃたんだ。

 めげずに僕の所に通うココルが可愛くてついつい甘やかしてしまう。

 プレゼントだってあんなに欲しそうにしているのに、買うのか聞くと決まって言うんだ。


「私は国民の血税で生きてるんたから贅沢なんてしちゃ駄目!ヤードが教えてくれたんだよ」


 ちゃんと学習しているが、僕には甘えてくれているんだって自惚れていいよな?

 僕はココルが欲しそうにしていたものをチェックしておいて後で一人で買いにいくんだ。

 ココルが血税なんて言うから僕だって家のお金を使うわけにはいかなくて、仕方なく姉様のビジネスパートナーのレクトルの所にバイトしに行ったりしているのはココルには内緒だ。

 

「ヤー坊!来てくれて嬉しいぜ!バイトしに来たんだろ?」

「ああ………」

「あ、これ、この書類をまとめて年代別に小計とってグラフにしてくんない?」

「………解った」


 いつもレクトルは僕の顔を見ただけで嬉しそうに指示を出す。

 僕はそれをこなせば良い。


「ほい、バイト代」

「………」

「いやー何時も助かるぜ‼」

「レクトル」

「なんだ?多くてびびったか?」

「たんない」

「………お前そりゃ横暴だろ?」

「この書類整理3日つかう予定だったってさっき聞いた。1日でやったんだからびびるぐらいよこせ」

「………」


 レクトルはアホで優しいと思う。

 ちゃんと良い値をくれるから、信頼はしてるけどね。

 だから、僕は手なんて抜かないでキッチリ言われた仕事をするんだ。

 手に入ったお金でココルへのプレゼントを買うのは何となく充実感がある。

 加えてココルの今にも泣きそうな笑顔が更に満足感を与えてくれる。





 学園に入ってから思った。

 ココルが近寄って来ない。

 今までは顔を見れば抱きついて来たのに、遠巻きに目で追うだけ。

 知らない、知りたくもない女子に囲まれて………側に居てほしいココルがはなれて行くことが怖かった。

 気がつけばダンスパーティーの時期になっていた。


「こないだココル姫がメイドに連れられて来たぞ、緑のドレスが着たかったみたいなのにコバルトブルーのドレスにさせたれてたぞ」

「レクトル、僕に何が言いたいの?」

「………コバルトブルーのネクタイをプレゼントしてやるから機嫌直せって」

「………レクトルはココルと話したの?」

「ああ、カエルのハンカチが欲しいって言うからあげたぞ」


 何でレクトルにプレゼントされてるの?

 イライラする!

 僕はバイト終わりにレクトルに飛び蹴りしてから学園に戻った。




 ダンスパーティー当日。

 今日こそココルと話をする! 

 それなのに、僕の周りを誰だか知らない女の子達が囲む。

 一番最初はココルと踊るって決めてるんだから、邪魔するなよ!

 僕が妨害を受けている間に、ココルの手をとる男の姿が目に入った。

 ふざけんな!

 ココルの隣は僕の場所だ!

 イライラしながら男の手をはなさせた。

 思わず馬鹿女って言っちゃったのは何時もの癖だ。

 男はこりずにココルにダンスを申し込んでいる。

 ココルは慌てて僕の方を見たが、怯えた顔をした。

 そんなにキレた顔をしているってことだろう。

 改めて見るとココルのドレスは僕の一番好きな図鑑でしか見たことのないヤドクガエルにそっくりだった。

 ヤドクガエルみたいだと言えばココルは嬉しそうな顔をした。

 毒ガエルみたいだと言ったのに何で嬉しそうなんだよ。

 ああ、僕がヤドクガエルを一番好きなのをココルは知っているからか。

 まだ僕の事が好きみたいで安心した。

 ココルに嫌か聞くと、嬉しいって言ってくれた。

 やっぱり僕はココルが良い。

 姉様は大好きだけど、ココルに対する好きとは全然違う。

 ココルはずっと僕の側で笑っていたら良いと思う。

 



 ダンスパーティーの会場からココルを連れ出すとココルはポロポロと涙をこぼしていた。

 可愛くて仕方がない。

 僕はココルを泣き止ませるって無理矢理理由をつけてキスをした。

 ココルの涙は止まった。

 ああ、まだキスしたい。

 欲望のままにもう一度キスをした。

 ココルに僕がココルを好きだって解っただろう。

 兄様がエル姉様にするみたいにベタベタに甘やかせるつもりは無いけど、僕が出来る範囲でココルを幸せにしたいと思った。

 僕はココルが涙と化粧でドロドロになった顔を直すと、学園の屋上にココルを連れていった。

 ダンスパーティーに戻るつもりは無い。

 僕はココルを独り占めする事に決めたんだ。

 学園に入ってから喋れなかった分、ココルは一生懸命に僕に話をしてくれた。

 やっぱりココルはこうでないと駄目だ。

 ココルは僕の事を大好きだと可愛い笑顔を向けてくるから知ってると告げると更に可愛く笑う。

 ああ、またキスして良いかな?

 ココルが一生懸命に話をしてくれてるのに、僕はココルにキスする事ばかり考えていたことはココルには秘密だ。

ヤード君もココル姫大好きです。

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