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イチャイチャ

遅くてごめんなさい。

 ヤードとエルさんは本当に仲良しになった。

 私とお兄様が家に帰ると家のロングソファーに背中合わせに座って本を読んでいる事がよく見られるようになった。


「お帰りなさい姉様!」


 ヤードは大抵私にしかお帰りを言わない。

 エルさんはお兄様を見るとパァーっと明るい笑顔を向けると言うのがほとんどでお兄様は筆談でエルさんと今日1日をどうやって過ごしたかを確認する。

 一所懸命に今日あった事を書き記すエルさんをお兄様は蕩けそうな笑顔で見守っている。

 『胸焼けしそうだ』ってヤードが呟いていたのは聞こえなかったことにする。




 そんなある日の事だった。

 

「ヤード!遊ぼう~………!!」

「あっ、ココル」


 ヤードとエルさんご背中合わせに座る姿を見たココル姫がフリーズ。

 気にしないヤード。


「……えっ?誰?」

「……あ~………俺の新しi」

「嫌!!言わないで!!」


 ココル姫は激しく勘違いして走って行ってしまった。

 オロオロするエルさんに首をかしげるヤード。

 私はため息をついて言った。


「ヤード、ココル姫はエルさんがヤードの新しい恋人だと思ってしまったみたいだわ。追いかけなくて良いの?」

「はぁ?あいつ………」


 ヤードが深いため息をついた。

 オロオロするエルさんが可愛い。


「姉様ちょっと行ってきます」

「ちゃんと誤解をとかないとね」

「あいつ単純だしポジティブだから大丈夫ですよ」


 ヤードはニコッと笑って走って行った。

 エルさんは慌てて私の所に来ると筆談で言った。


『あの人はヤード様の好きな人ですか?』

「はい」

『私のせいでヤード様は誤解されてしまいましたよね?』

「大丈夫ですわ」


 私はエルさんの手を引いて窓の所まで案内した。

 その窓の外でヤードがココル姫の腕を掴んでいるのが見えた。


「ココル。待てよ」

「ヤードは……ヤードは……」

「エル姉様は俺の新しい姉様だ。勘違いすんな」

「はぁ?」

「エル姉様は兄様の恋人だ」


 横にいるエルさんは真っ赤な顔で首をブンブン横にふっている。

 可愛いな~。


「ヤードの恋人じゃ無いの?」

「俺が好きなのは…」


 ココル姫は期待一杯の顔でヤードを見つめている。


「俺が好きなのは、姉様とカエルだってお前も知ってるだろ?」

「………」


 エルさんが私の袖を引っ張りながら何故そこでココル姫の名前を出さないのかプンプンしている。

 可愛い。


「ほら、俺が美味いお茶淹れてやるからこっちに来い。エル姉様にも紹介してやる。………まだ膨れてるのか?不細工になるぞ」

「ヤードは、私の事好き?」

「………まあな」

「どれぐらい?」

「それ言ってお前凹まないか?」

「………じゃあいい」


 ヤードは満足そうにココル姫の手を恋人繋ぎにして屋敷の中に向かって歩きだした。

 納得いかない顔のエルさんに私はゆっくり笑いかけた。


「あれがあの二人の愛情表現ですわ。外野が口出ししなくてもあの二人はラブラブですから気にしなくて大丈夫です」


 エルさんは渋々と言った感じに頷いてくれた。




 暫くしてヤードがココル姫を連れて帰ってきた。


「私はこの国の第一皇女のココルと言います。以後お見知りおきください。」


 ココル姫が淑女の礼をするとエルさんも動きだけで淑女の礼をとった。


「エル姉様は声が今、出ないからな」

「そうなの?………ヤードは酷いことを言ってない?口は悪いけどとっても優しい人だから好きになっちゃ駄目よ‼」

「エル姉様は兄様が大好きだから変な心配するな」


 エルさんは耳まで真っ赤になってしまっていた。

 可愛い。


「………私は彼女の事をなんて呼べばいい?」

「エル姉様だろ?」

「解った!よろしくエルお姉様!」


 ヤードが言うのは解るけど、ココル姫が姉様呼びするのは正解か?

 気にするのは止めよう。

 ココル姫が良いなら良いや!

 エルさんは紙に何やら書いてココル姫に手渡した。


『私はココル様に姉様と呼ばれるには身分が低すぎます。お止めください』

「えっ?でもバート兄様の恋人でしょ?お姉様だってお姉様って呼んでいるんだからエルお姉様で大丈夫!私は気にしないわ!」


 ニッコリ笑うココル姫も可愛い。

 私はオロオロするエルさんとニコニコ笑うココル姫を見ながら微笑ましく思った。

 それから、ココル姫とヤードはエルさんをまじてえ遊ぶことが多くなった。

 ヤードとエルさんがカエルを鷲掴みにしてココル姫を追いかけているのを見て、止めてあげて欲しいと思ったのは内緒だ。

 ヤードは別として、エルさんもカエルが掴めるのは凄いと思った。

 『田舎貴族ですか』っと笑顔で書いてくれたが、普通田舎貴族でも素手で鷲掴みはしないよ。

 ヤードはココル姫にもカエルを掴めるようにしようと頑張って泣かれていた。

 それでも頑張って掴んでいたのは、私も掴めるからだろう。

 ごめん。私も掴める。

 エルさんはココル姫とヤードにお揃いのカエルのぬいぐるみを作ってプレゼントしていた。

 

「エルお姉様!ありがとうございます‼大事にします‼」

「可愛い‼ヤードとお揃いも嬉しい‼」

「なんだ、嬉しいのか。いらないなら俺が両方もらうのに」

「嬉しいもん!これは私の!」


 ヤードはココル姫の手からカエルのぬいぐるみを取り上げると、抱き締めて軽くキスをしてココル姫に返していた。

 ココル姫が真っ赤になって膝から崩れていた。

 ヤード、恐ろしい子。

 私は目の前で繰り広げられるイチャイチャに赤面するエルさんを見ながらニヤニヤしてしまうのだった。


 


スランプ長すぎですね。

ごめんなさい。

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