王子様? ラブラ目線
遅くなりました。
ナルが光る草を追いかけて行っちゃってから、私はホールに戻った。
「おい!庶民!カーディナルはどうした?」
「光る草取りに行っちゃった!」
「あのバカ」
王子様が突然話しかけてきて驚いた。
私、乙女ゲーの攻略で一番好きだったのが王子ルートだったせいもあって王子と会話するのは苦手だ。
顔滅茶苦茶好み。
声滅茶苦茶好み!
バカ王子のはずが今や誰からも一目おかれる素敵王子様だ。
「庶民どうした?」
「いえ………さっきナルと踊っていたの素敵でしたよ」
「そ、そうか?………………お前も踊るか?」
王子の突然の申し出に私は焦って言った。
「いやいやいやいや、私、踊れないから!」
「大丈夫だ!俺が上手に振り回してやる」
「ふ、振り回すの?」
王子はニカッと笑うと私の手を掴んでホールの真ん中に歩いて行った。
周りの女子の視線が痛い。
「おい?どうした?俺の顔に良い男でも付いてるか?」
ついつい王子の顔を見ていたら、そんなことを言われた。
「王子様は良い顔してます」
「お前、良く解ってるな!カーディナルにも言っておいて良いぞ」
「言いませんよ」
王子はムッとした顔でダンスを始めた。
………王子ダンス上手いな。
「どうだ?」
「楽しいです‼」
「そうかそうか!なら機会があったらまた踊ってやる。」
私は気になっていた事を王子に聞いてみる事にした。
「王子様はナルが好きなんですか?」
「そりゃあ……まあな……」
何故か歯切れの悪い言い方の王子に首をかしげてみる。
「カーディナルは、たぶん叔父上が好きだ………叔父上もな」
なに!
王子知ってたの?
私の驚いた顔に王子が苦笑いを浮かべた。
「カーディナルは叔父上の話をしている時はいつも幸せそうな顔をするからな………嫌でも解る………叔父上もカーディナルが好きなの解りやすすぎなのに俺を気にしている………俺はどうするべきだろうな?」
その瞬間、私は王子の足を踏んでしまった。
「おい」
「いや、わざとじゃないから怒らないで下さい」
「怒ってない」
「嘘だ~」
「お前は俺の話をちゃんと聞いてくれただろ?そう言う奴には怒らん」
私はそんな王子を見ながらまた足を踏んでしまった。
「踏みすぎだ」
「わざとじゃないです」
私は思わず笑っていた。
「王子様って親しみやすいんですね」
「初めて言われたぞ」
「友達になれそう」
「良いぞ。お前、名前なんだったけ?」
「ラブラ」
「おし、ラブラは今から俺の友だ」
何故か王子と私は友達になる事になった。
それから一時間ぐらいしてナルが帰ってくると王子は正論を振りかざしてナルに説教を始めた。
ナルが不貞腐れたような顔をしたもんだから、説教が長引いたのは仕方がないと思う。
ダンスパーティーが終わって、何時もの日常が帰ってきた?
何故かお昼ご飯を食べる時、王子が私の隣に座った。
「アホ王子、何故ラブラちゃんの横に座るんですか?」
「友達になったからだ!」
「………ラブラちゃん本気ですの?」
「う、うん。王子様イケメンだし友達になれそうだって思っちゃったんだよね!いいでしょ?」
「………ラブラちゃんが良いなら………」
王子は満足そうにニカッと笑った。
その笑い方可愛いぞ王子!
思わず王子を見つめてしまった。
「ラブラ?俺の顔に良い男でも付いてるか?」
王子は何故か私の顔をのぞきこんだ。
顔近い!
思わず顔に熱が集まった。
「おい!大丈夫か?熱か?医務室!」
王子は素早い動きで私をお姫様抱っこした。
「ヒャー!」
「カーディナル!ラブラを医務室に連れていってくる‼」
「ナル!助けて!」
ナルは私を見るとニッコリ笑って手を振った。
「お気をつけて~‼」
「ナル!」
「私は全然気にしませんわ‼むしろバッチコイ!」
「何で‼ナル~」
私はそのまま王子に医務室に運ばれた。
その日を境に私は王子に過保護に扱われるようになり、ナルを喜ばせ他の女子生徒に敵視されるようになったのは言うまでもない。
こうなってしまった………




