宣戦布告 ラブラ目線
風邪でダウンしていました。
私に親友が出来た‼
悪役令嬢だと思ってたカーディナルだ。
カーディナル………可愛い。
マジで可愛い。
ツインテールを可愛いと思ったのなんて電脳世界の電子アイドルだけだと思ってたけどカーディナル可愛い。
「ダンスパーティーの衣装どうしようかな~。」
私は庶民だ。
ヒロインのラブラは攻略対象の誰かと仲良くなってドレスをプレゼントしてもうけど、私は誰とも仲良くなれてない。
むしろカーディナルとだけ仲良くなっている。
「ラブラさんには水色のドレスとかが似合いそうですわ。そろそろ作り始めないと不味いですわね。」
「いやいや、庶民の私が贅沢なんて出来ないよ。レンタルだよ。」
カーディナルはニコニコしながら言った。
「私の知り合いに作ってもらいましょう‼大丈夫です。彼には恩を売っているので無料で作らせますわ!」
「恩を売る?」
「彼にとっては私は金脈なので。」
「金脈?」
「まぁまぁ、気にしないで行きましょう‼」
どうやら、好感度が一番高いのはカーディナルで間違いないらしい。
「お?カーディナル、珍しいなお前から会いに来るなんて。」
「レクトル、お願いがありまして……」
「ダンパのドレスだろ?アクセサリーまで準備万端。俺に任せとけばカーディナルがダサいなんて事にはならねえから安心しな。」
「私のは当たり前なんですが、こちらのラブラちゃんにもドレスとアクセサリーの手配をして欲しいのです。」
カーディナルが連れて来てくれたのは攻略対象者のレクトル リドライの店だった。
「おお?王族様かい?」
「違いますわ。」
レクトルは私をマジマジと見詰めると言った。
「可愛子ちゃんだな。」
「そうなんですの!可愛いが服を着て歩いているような方なのですの!幸せな事に私の親友になってくださった天使様なんですの!」
「お前、父親と兄貴に似てきたな………良いぜ!カーディナルの頼みじゃ断れないだろ?パールイエローのドレスにスカイブルーの宝石なんてどうだ?」
「水色のドレスにゴールドのアクセサリーは駄目ですか?」
「たしか王子か水色と濃い青いのタキシードだったと思ったな。王子に合わせるか?」
「「止めてください‼」」
私とカーディナルは思わずハモった。
レクトルはハハハっと笑うと言った。
「お前らマジで仲良しなんだな。じゃあ、パールイエローで決まりだな。カーディナル、スカイブルーの宝石はそっちで用意してくれ。在庫がない。」
カーディナルは少し首を傾げてから言った。
「スカイブルーの宝石はココル姫にあげてしまって私も在庫がないですわ………ブラウド様に聞いてみましょうか。………では、ちょっと用立ててきますわ。」
カーディナルの言った名前ってたしか、王様の弟でラスボスじゃ無いですか?
王族なのに髪の毛と瞳の色が黒いからって迫害されて王族を憎んで国を乗っ取ろうとする最後に処刑されちゃう悪役だよね。
ヒロインの髪の毛と瞳の色にコンプレックス刺激されて拉致監禁しちゃうヤバイ人だよね?
イケメンなのに勿体無いって騒がれていた人だよね?
カーディナルに連れていかれた所は日当たりの良さそうな綺麗なお屋敷だった。
そこに綺麗な黒髪黒目の女の人が現れた。
「カーディナルちゃん?あれ?誰その子‼王族?旦那様の隠し子?」
「バネッサ様、ガルド様が泣いてしまいますよ。ラブラちゃんは私の親友ですわ。偶然王族の色をお持ちですが隠し子とかでは無いです。ブラウド様は今日は居ますか?」
「また、ブラウドに会いに来たの?研究終わったんじゃないの?」
「今日は別のお願いがありまして。」
「直ぐに会えるように言うわ。」
バネッサ様って言われた人が手にもっていた鈴を鳴らすとメイドさんが出てきて直ぐに下がっていった。
バネッサ様って人が案内してくれた応接室で待っていると、ゲームの中で病んでいた、ブラウド様が現れた。
「ナル?どうしました?」
「実は、スカイブルーの宝石が欲しいのです。」
え?この人におねだりするの!?
しかも、ナルてっ?………カーディナルの最後のナル?えっ?どう言う関係?
「スカイブルーの宝石ですか?ありますよ。どれぐらい欲しいですか?」
「あればあるだけ下さい‼」
ご、強欲ではないかい?カーディナル~。
「あるだけですか?結構な数がありますが………何に使うんですか?」
「親友を着飾るためにですわ!こちら、私の親友のラブラちゃんですの!」
ブラウド様は私を見ると柔らかく笑って言った。
「ナルの親友に会わせていただけるとは、美しい人ですね………王族の色をお持ちで?」
「ブラウド様、ラブラちゃんの色は偶然なんですの!」
「父がどこぞでウッカリでは無く?」
「じゃ無いです。ブラウド様、ラブラちゃんは私と同い年です。って事はバネッサ様とラブラブの時に他の女性なんて考えないでしょ?」
「同じ理由で兄上って事もあり得ませんね。………失礼しました。自分はブラウドと申します。」
「ラブラです!よろしくお願いします‼」
ブラウド様はやっぱりニコニコと笑って居る。
ブラウド様って全てに絶望して感情が表に出ない系男子だったんじゃなかったけ?
しかも、丁寧な敬語だし。
もっと、俺様な感じじゃなかったけ?
「今、持ってきますね。」
そう言ってブラウド様は部屋を出ていった。
「カーディナル、ブラウド様と付き合ってるの?」
カーディナルは優雅に御茶を飲んでいたのだがかなりの勢いでむせていた。
「大丈夫?」
「ぶ、ブラウド…様と私……げっふ、がお付き合いなんておそれ多いですわ!」
ああ、カーディナル可愛い。
「でも、好きなんでしょ?」
「好きと言うか尊敬ですわ!」
「カーディナルが狙うって言うなら私は応援するよ。」
「……ラブラちゃん、ブラウド様に失礼だわ。」
カーディナルはたぶん、ブラウド様の事を尊敬以上に考えないようにしているのだろう。
これは煽ればくっつくかも知れない。
「ラブラちゃん、意地悪言わないで。」
「うん。もう言わない‼カーディナル大好き。メッチャ可愛い。」
「可愛いのはラブラちゃんだよ。」
カーディナルは顔を真っ赤にしてそう言った。
鼻血が出るかと思ったヤベエよ!
マジ可愛い‼
暫くすると、かなり大きな箱を抱えてブラウド様が戻ってきた。
「この中に入ってるはずです。好きなものをどうぞ。」
ブラウド様が持ってきた箱の中には数えきれないほど、色々な色の宝石がいっぱいいっぱい入っていた。
「な、なんで?」
「魔力のある薬草を調合するとたまに宝石が出来るんです。私が持っている在庫は皆差し上げてしまったので………次に出来たらラブラちゃんに差し上げますね。」
「えっ………ありがとう。」
「あ、そうだ、私のバックの中にクッキーがあったはずです。ちょっと持ってきますね。お茶も淹れてきます。ラブラちゃんは宝石を選んでいてください。」
カーディナルはさっきメイドさんに預けた鞄を取りに行ってしまった。
この危ない人と二人っきりにしないで~‼
「ラブラさんとお呼びしても宜しいですか?」
「………はい。」
「ナルがあんなに幸せそうに笑うのは信頼している証拠です。なら、自分とも仲良くしていただけたら嬉しいです。」
「ブラウド様はカーディナルが好きなのね。」
ブラウド様が選んでいた宝石を落としそうになって慌てていた。
何、この人可愛い。
「そんな解りやすい反応普通する?」
「からかわないで下さい。ナルは甥の婚約者ですよ。」
「カーディナルは王子には容赦のない物言いをするわ。」
「それだけ信頼しているんですよ。自分と一緒に居るときはあんなに気安く話したりはしないですから。」
「標準装備でアホ王子って呼ぶのに?」
「ナルは初めてジェイスとあった時からアホ王子呼ばわりでしたよ。」
「えっ?そうなの?………それってどうなの?」
「格好よかったですよ。」
はっきり言ってブラウド様の話している姿は愛しい人の話をしている様にしか見えない。
「………カーディナルを幸せにする気があるなら私はブラウド様を応援しても良いよ。」
カーディナルもブラウド様には恋愛感情かはハッキリしないけど特別な感情を持ってるみたいだし、この人は敵にしない方が良い。
「ナルを幸せにするのはジェイスだよ。」
ブラウド様の顔は本当に困った様な顔だった。
この人は王子の事も好きなのかも知れない。
「王子を裏切りたくない?」
「………そう言った理由ではないですよ。」
「私は、カーディナルを幸せに出来るのは貴方だと思う。考えといてよ。」
「駄目です。それは考えません。」
ブラウド様はニコッと笑った。
完璧に諦めてるってこと?
「言っとくけど、カーディナルがナルなんて呼ばせてるの貴方だけだからね!それがどれだけ特別な事か、気が付いてる。」
「期待すると後が辛いですから。」
ああ、完璧にカーディナルの事を好きだって自覚した上で幸せにするために諦めてるって事ね。
「馬鹿じゃ無いの?カーディナルを幸せにする気が無いなら貴方は私の敵だから。」
「えっ?」
そこにカーディナルがノックと共に戻ってきた。
「カーディナル!」
「はい。なんでしょう?」
「カーディナルは私とブラウド様どっちが好きなの?」
カーディナルは目を真ん丸にして驚いた。
「あ、あの……」
「私もカーディナルの事をナルって呼びたい‼」
カーディナルは今度は蕩けそうな可愛い笑顔を作った。
「う、嬉しいです‼ラブラちゃんに愛称で呼んで貰えるなんて幸せです!」
ブラウド様の方を見ると何とも言えない複雑そうな顔をしていた。
「ナルは私が幸せにするからご心配無く‼」
こうして、私はこのヤバイと言われていた人に思いっきり喧嘩を売ったのだった。
皆様も風邪には十分お気をつけください。