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アイトワ

作者: shian-file

愛って何?

愛ってどういうこと?

愛するって何?

好きと違うの?

どう違うの?


アイトハ?

  :

  :

物語の中にある、不思議な感情こころ

世界を救う力を秘めてたり、運命さへ変える事が出来る不思議なもの。

愛と言われるその気持ち。

好きと似ているものだけど、何かが違う。

どう違うのかよく解らないが、一つ分かる事がある。

好きでは世界を救えない。だけど、愛だと世界を救う事が出来る。

どうしたら、愛を知る事が出来るのだろうか。

僕はそんな事を今日も思い、本を読む。

本の中には一杯、愛の事を書いてあるから今日こそは答えが見つかると思い読み耽る。

だけども、未だに解っていない。

僕の周りに居る者たちに尋ねて見た事もあったが、知っている者は誰一人居なかった。

ただ、「罪」だと言う人もいた。

聞いた当時は何の事だか分からなかったが、本を読んでいくうちに「罪」と言われた事を知った。

男の人と女の人が、神の果実を食べた事だと知った。

それをやれば愛という事が知る事が出来るのかと思い、僕は食べてみたが何も解らなかった。

ただ、美味しい果実だという事を知り、好きになった。

でも好きを知っても、愛を知れなければ試した価値は無かったと言える。

どうしたら知れるのだろうか。

愛という事が書いてある本があるのだから、愛を知っている人が何処かには居るはずだ。

愛を知る人を僕は探しに行くと決める。

「主よ、何処へ行くつもりで」

「愛と云うものを探しに行くよ」

「そんなものどうやって探すのですか?」

「愛を知っている人を探して、教えてもらう」

「主はいつも唐突ですな」

呆れる周りの声に僕は何も言わず出掛ける。

出会う者、出会う者に「愛とは何ですか?」と訊くも、首を傾げるだけで誰一人、知っていると言う者は居なかった。

そんな事を訊き歩いているうち、いつの間にか元の場所にもう戻って来ていた。

今日も愛を知る事が出来ない、日がな一日を過ごした。

何処に行けば、愛を知る事が出来るのだろう。

僕の世界は狭いのだろうか。だから、愛を知っている人に合う事が出来ないのだろうか?

そう考え、神の果実を一つ取り噛り付く。

「なぁ、僕の世界は狭いのかな?だから、愛を知る人に会えないのか」

「そんな事は無いと思います」

「じゃぁ、なんで会えない。此処とは別の世界でもあるのか」

今僕が居る世界で会えないなら、どこか別の世界があり、そこに愛を知る人たちが居るのだろうか。

そんな憶測で適当な事を言うと、思わぬ答えが返って来た。

「確かにありますが」

「本当に!それは何処に」

「下にあります」

僕は下を見てみるが、何も見えない。

だが、別の世界があるのならば行けば、愛を知る事が出来るかもしれない。

此処からは見えない世界。行って見たい。そんな気持ちが溢れて来る。

「どんな所だ」

「罪人の世界だと聞いております」

「行った事ないのか?」

「私は行った事ないですが、行った事のある者などがそう言ってました」

行く前に知っているなら聞こうかと思ったが、知らないなら自分の目で確かめてみるだけだ。

居ても立っても居られなくなり、早速下にあるというもう一つの世界へと行こうとする。

「主よ、まさか罪人の世界に行く気ですか」

「そうだ。早速行くぞ」

そうして僕は、僕の居た小さな世界を飛びした。

飛び出した一歩は大きく、僕は知らない世界に居た。

多くの人が住み、家畜を育て、交流し、営む大きな世界。

この大きく、人が多くいる世界なら『愛』が見つかる『愛』を知っている人に出会える様な気がした。

そう感じながら、僕は大地を踏みしめ歩き出す。


出会う人たちに『愛』を知っているかを尋ねていくと、「好きな事」や「大切な事」、「愛おしい事」など答えはバラバラだった。

『愛』とは色々な感情のことを言うのだろうか、喜びや怒り、悲しみ楽しいと言った様な一つの感情とは違うのだろうか。『愛』とは複雑な感情で、単純なものではないのかもしれない。

この世界の人達に訊いていけば、いずれバラバラ答えは一つになると思い僕は歩き続ける。

小さな町に着くと、多くの人で賑わい過ごしていた。

その中でも、僕は色々な人に尋ねていくと一人の少女にぶつかってしまった。

少女は尻餅をつき、近くには神の果実に似た赤い果実が入ったバスケットが引っ繰り返っていた。

「すまない。大丈夫か」

僕は手を差し伸べると、少女は手を取り立ち上がる。

「ありがとう、私は大丈夫。貴方は大丈夫?」

「あぁ」

彼女は赤い果実が入ったバスケットを取ると、中に入っていた果実を一つ渡す。

「お詫びに一つ」

「ありがとう」

お礼を言い受け取り、早速噛り付く。

その味は、いつも食べている神の果実同じ味だった。

「これは神の果実か?」

彼女はそういう僕を少し不思議そうに見ると、クスッと笑った。

「変な事言うのね。それは林檎よ」

「林檎」

「林檎も知らないなんてどこから来たの?」

そう訊かれて、僕は空を指差す。

「愛を知るために降りて来た」

「そうなんだ」

「君は、愛が何かを知ってる」

少女は少しの間うーんと、唸るように考える。

「愛か…知ってるけど、よく解らないの」

「そうか。僕も色々な人に聞いているが、解らないんだ」

「だったら、一緒に愛を探さない?」

「一緒に?」

「一人で探すより二人で探した方が見つかるかもしれないよ。それに、私も愛が何か知りたい」

唐突に言う少女の提案に、僕は少し戸惑うが、このまま一人で探し続けるよりも、少女の言う通り二人の方が見つかるかもしれない。

そう思い、僕は少女の手を取っていた。

「じゃあ、一緒に行こう」

「うん」

そうして、取った手を繋ぎ僕たちは二人で歩き出した。

『愛』を知っていそうな人たちに訊いては理解できず、また別の人に訊いて行く。

昨日も今日も、尋ね聞くが解らない日々が続く。明日もきっと解らない同じ日が続くのだろう。

それでも、僕たちは共に『愛』を知るために歩き続けた。


『愛』について訊いた答えが同じ事ばかりになる頃には、僕たちはどれだけの時を過ごしただろうか。

少女の名前がイアという事を知ったくらいだろうか。

主とだけ呼ばれていた僕に、アルという名前をイアが付けてくれたくらいだろうか。

僕の世界で、この綺麗な世界を罪人の世界と呼ばれていた理由を知ったくらいだろうか。

この世界が、ただ綺麗な優しいだけの世界じゃないと知ったくらいだろうか。

イアの事が気になりだした頃くらいだろうか。

イアが大人になったくらいだろう。

それ位の時を共に過ごしてきた僕たちは、互いの事を知り掛け替えのないものになっていた。

だけど、僕は『愛』だけは未だに理解できていなかった。

林檎の木の木陰で、僕たちは座り休んでいた。

「イアは愛が何か知れた」

「多分だけど、愛と呼べるものが解った気がする」

「本当!?どんなもの」

「好きな事。大切な事。愛おしい事」

イアの答えは、今まで尋ね聞いてきた答えと同じだった。

僕は解らず首を傾げると、少し間を置いて、イアは言葉を続けた。

「そして、近くに合って気付かないもの」

その言葉に、僕はますます『愛』と言うものが解らなくなった。

ずっと共に居るがイアに近くで『愛』を見た事が無い。

「アルは、まだ愛に気付いてないんだよ」

「気付く?」

「アルにヒント。愛とは、永久なの」

「永久?」

イアのいう事をオウム返しの様に繰り返すと、僕の肩にイアが寄りかかり寝ていた。

そんなイアの顔を見ると、無意識に頬に手をやり、そっと撫でていた。

一緒に『愛』を探し出してから、ほとんど成長していない僕に対して、子供だったイアはずいぶんと綺麗な女性に成長している。

最近では成長していない僕を見て町の人達は気味悪がっている。イアも成長しない僕をどこか変に、気味悪く思っているのではないかと思うと不安になる。

不気味に思われていて、イアが何処かへ行ってしまうと思うと怖くて堪らなくなる。

イアと共に居られるこの時は、大切で手放したくない。

この先もずっと隣に居てくれたら、どれだけ良いか。

「イア」

優しく名を呼びもう一度そっと頬を撫でると、イアの目から涙が一滴だけ零れる。

「アル、何処にもいかないで」

「僕はここに居るよ」

「本当?」

イアは僕の手を握ると目を開ける。

「さっき、アルが私を置いて何処かへ行く夢見たの」

「僕はイアを置いて、何処かへ行くつもりは無いよ」

「でも、アルは空から来た神様だから、愛を知ったら帰っちゃうんでしょ」

「そんなつもりは無い。イアと共に居たいから」

「本当?」

「イアが好きだ。ずっと一緒に居たい。離れたくない」

イアへの思いがいつの間にか口から溢れ出しており、イアが握る手をギュッと強く握り、もう片方の手で抱き寄せていた。

「アル、それがアルがずっと探していた愛だよ」

「これが愛」

イアへの好きと言う気持ち。大切と思うイアの事。愛おしと思うイア。永久に思うこの気持ちが愛。

今までに訊いた『愛』と同じ答え。気持ち。

イアがヒントと言ってくれた愛とは、永久という事が解る。

「愛とは、永久に好きで居る事」

「そう。愛とは、永久(トワ)なの」

そう語る僕たちを、黄昏色に染まる日の光が包む。


僕はいつの間にか、小さな僕の世界に帰って来ていた。

イアも一緒に来たのではないかと、周りを見回すがイアの姿は何処にない。

在るのは、積まれた本に、主と僕呼ぶ僕の世界の者だけ。

イアはどこにも居なく、夢だったのかと思う。

だが、共に過ごした日々と、握った手、抱きしめた体の温もりは体にまだ残っている。

だが、イアはどこにも居ない。イアと共の居た、林檎の木の木陰でもない。

僕は、何がどうなったのか分からなかった。

「なあ、僕は今まで何処に居た?」

と、近くに居た者に尋ねる。

「主はいつも通り、ここに居て読書をしていましたが」

そう返ってきた答えが、腑に落ちなかった。

いつも通り、という事は僕が罪人の世界に行き、イアと会い、愛を知ったのは夢でも見ていたとでもいうのか。

そんな事は無い。イアの温もりがまだあり、イアを思うと溢れて来る気持ちは…。

僕は、もう一度罪人の世界へと行こうとするが、行き方が解らない。

前の様に、一歩踏み出しても行く事の出来ない。

行く事が出来ないなら、行き方を探すのだと、小さな僕の世界を探し回る。

イアの事を思いながら、イアに会いたいと思いながら、探しても探しても見つからずどれだの日々が過ぎただろうか。

イアと会えない日々が辛く、寂しく、苦しかった。

一日だろうか、十日だろうか、百日だろうか。もう一年になるのだろうか。

イアを探すことを止め、イアの事が全て夢か何かだと思うようになった頃。

今まで通り、神の果実を齧りながら読書に耽る日々を過ごしていると、何処からか名前を呼ばれている様な気がした。

此処では誰もが呼ばない、イアが付けてくれた「アル」と言う名前を呼ぶ声。

そんな空耳に呼ばれる様に、僕は声が聞こえる方へと歩いていた。

そこには、懐かしい少女の姿が在った。

初投稿!

ついに書きたかった様なものを一つ書くことが出来ました。

最後まで読んでくれれば最高にありがたいです。

これを機に沢山書いて投稿できるといいなぁと思ってます。

原案をまとめた、ノートと頭の中だけは溢れすぎてるから……

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