炎天下の下、遭遇したもの
夏が始まったばかりの6月下旬。
学生たちが夏休みを待ち遠しく思っている中、学校の帰り道で、僕はかなりやばい状況に陥ってるらしいものを見つけた。
「あ~・・・リン・・・私はもう駄目、です・・・後を頼んだので、す・・・」
幻想でも見ているのか、地面に倒れ伏し、虚しく空に手を伸ばす女の子。
これは・・・重度の熱中症か何かだろうか・・・
最近注意報も出たという。
しばらく外の日差しを浴びていたのなら、有り得るだろう。
「・・・あの、大丈夫ですか?」
ついそう声を掛けてしまう。
自分で不思議に思った。
いつも面倒事は避けて通る主義なのだ。
すると、声に気付いたらしい彼女は、ボーッ・・・とこちらを見る。
どうやら、意識が朦朧としているようだ。
僕は先程スーパーにて購入したジュースを、彼女の首元に押し当ててみた。
「ひぅっ!?・・・つ、冷たいです・・・」
「あ、差し上げます。それ・・・大丈夫ですか?救急車とか・・・」
「ノーセンキューなのですよ?」
片手で制してくる彼女。
不思議な口調だが、俗に言う美少女だ。
僕のとある親友に言えば、「可愛いならば許される!」と、親指を立てて賞賛しながら言ってくるだろう。
「でも、どこか空調の効いた部屋にいた方がいいですよ・・・」
「・・・知り合いの家に行くです」
そう言って、彼女は冷たいペットボトルを額に押し当てたまま、立ち上がる。
知り合いとは、おそらく先程口にしていた”リン”という人なのだろう。
ならば安心して、僕はこの場を去ることができる。
そう思っていたのだが、彼女はしばらく辺りを見回して、その場にジッと立ち続け始めた。
・・・まさかとは思うけど・・・
「・・・もしかして、道、分かってません・・・?」
「!・・・あなたはエスパーですか!?」
そう驚きを示す彼女に、僕は、やっぱりか・・・と苦笑を浮かべた。
初投稿となります。
全くもって至らぬ点もあると思いますが、これからまだまだ投稿していきたいと思っています。
私の作品を見つけた時に、読んでいただければ幸いです。