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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゼルギュム国シリーズ

公爵家の双子( 兄)の恐怖

作者: 柳銀竜

これは「公爵子息の復讐」の次男視点です!宜しければそちらも。

 

 俺はラグス。ラグス・フライシス、フライシス家の次男坊!

 フライシス家は、公爵家で武人の名門で、運動能力は高い。


 代々のフライシス家の人間は、騎士団や近衛兵の団長や隊長職を担うほど、屈強な人間ばかり、俺も読み書きや礼儀作法の勉強より、剣術の訓練の方が好きで訓練を初めて直ぐに、模擬試合で爺様相手に時々引き分けに持ち込めるような位強くなった。

 そうすると、段々爺様が面倒な事を言い出す

「レミオス!後継ぎはラグスに変えろ!」

「後継ぎは長男がなるものだ!ラグスは次男だぞ!」

「長男?ハッあの剣も振れぬ軟弱ものか?サッサと養子に出せば良いものを」

「何だと!いくら父上でも言って良い事と、悪い事があるぞ!」

「我が家は、軍人の一族。弱い奴はいらん!」

「貴様がいらんでも、私はいる!私の可愛い可愛い愛し子だ!それにあの子は、真面目で良い子だ!間違っても花瓶を割ったり、壁を破壊したりはしない!」


 朝っぱらから、五月蝿いな・・・いや俺の方が五月蝿かったか・・・・・

 つい今しがた。俺は、隣近所がいたら追い出されるレベルの、騒音を出していた。土煙のわずかに舞う廊下で俺は回りを見渡した。ついさっき割った花瓶の破片が廊下に散らばり、目の前の壁は人一人通れるくらいの穴が開いている。

  さっきまで、庭に作られた訓練場で爺様相手に、俺と双子の弟で模擬試験をしていた。爺様に勢いよく突っ込み。かわされ、そのままの勢いで、壁を破壊して花瓶に突っ込んだ。ズドーン!凄まじい音がして、非番で屋敷にいた父上が、あわて走って来て、俺に説教。(弟は巻き添えて怒られた)爺様は、破壊された壁を見て感動して震えていた。そして最初の台詞にが出てきたわけだ。暫く言い合いをしていると母上と、兄上、レミアが走って来る。三人ともすっごい息切れしていた(あの方向は図書室だな。三人とも本 持ってるし、あれ?図書室って一階になかったか?そんなに離れてないのに、本当に体力無いな三人とも)

「だから、後継ぎって・・クロス・・・あのっそのっ」


 爺様。モゴモゴなってるぞ!兄上が悲しそうに、爺様を見上げているよ。あっ!目をそらした

「おっ俺は訓練にもどる!」

 あっ!逃げた。いっつも思うけど、爺様って養子に出せって父上には怒るけど、兄上には落第だって言わないな。何でだろ?

「ふん!ラグス、壁を修復しておけ。カルス、お前は花瓶を修復しろ。絶対ラグスに触らせるなよ、さすがに粉になったら修復できないからな」


 酷いぞ、父上!そりぁ俺は、握力強いよ。壁を修復するのは早いけど、細かいものは潰しちゃうしさ。

 弟のカルスは、直ぐに花瓶の欠片と、壁の瓦礫を分ける。母上はメイド達に、花瓶の破片をいれるための布を持って来てくれるようたのみ、兄上は花瓶用の接着剤と壁の補修に使う材料を、執事長のセパレートに頼んでいた。何時もの事なので皆テキパキしてる。末っ子のレミアは指示を終えた母上が、連れていった。瓦礫で遊ぶと危ないので

「ラグス。手伝おうか?」

 セパレートが持ってきた、壁を塗る道具を渡しながら、兄のクロスが聞いてきた。本当に優しい!大好きだ!兄上!

「大丈夫だ!すぐ終わるし、俺の罰だしな!」

「まあそうだね。頑張ってね」

 兄上は図書室に戻っていった。


 俺は三十分位で、壁の修復を終えて床に座る、さすがに疲れた。カルスを見るとカルスも、修復が終わり変なところが無いか確認中だった。真面目な奴だ

「上手いな、カルス」

 キレイに出来上がりバラバラになった面影もない。カルスの持っている花瓶を触ろうとする。すぐさまカルスが、手の届かない位置に花瓶を避難させた

「さ・わ・る・な!」

「ひでぇ」

「修復したばかりで、破壊されてたまるか!ラグ兄上の手は信用に値しない!」

 そう言い放つと、花瓶の糊を乾かすため、日当たりの言い部屋へ、花瓶を持って行った。


 そして俺は暇になったので、訓練場にでも行こうとしたら。ガシッと頭を掴まれた

「おい!貴様、家庭教師の課題1つも、やって無いではないか!いくら軍人でも執務作業あるんだぞ!」

  クソッ!セパレートチクりやがったな!痛い!父上!頭潰れる!

 そのままラグスは、自室に連れていかれ、鬼の形相の父の監視の元、夕食の時間までミッチリ書き取りをさせられた。つっ疲れた・・・・・

  毎日訓練して、無理矢理勉強して、訓練して、楽しく日々を過ごしていった



  俺が4歳の時のこと。王様が兄上を(王子の側近として城に上げてくれ)言ってきた。

 皆 大反対(暴れん坊の王子の話は有名だった)王様が父上に頼みこんで(側近候補)としてなら、と 言う事になった。候補なら通いでいいし直ぐに辞めれる。



 次の日から、兄上は朝早く城に向かい夕方、疲れきって帰ってくる。ある日の深夜、トイレに行った帰り スコップと重そうな大きな袋を持った兄上を見つけた。気になって後をつけると、兄上は歩いて城に向かい裏門の警備の隙をつき忍び込んでいた(俺は三メートルの壁を飛び越えた)そして、訓練場の様な所で穴を掘っていたひたすらひたすら、怖いくらいの無表情で掘り進める兄上は(三時間位だったかな)堀続け穴から這い出てから、袋の中身を穴に撒いた(中身は鋭く削った木の杭だった。何でそんな危険物撒いてんだ・・・・・)草むらから編み目状の木枠を取りだし(前もって隠してたんだな・・・結構時間かかるぞ?あれ作るの)それを穴にはめる。草で覆い土を撒いてならし、乾いた土を撒いて落とし穴を完成させた。最後に掘って出た土を、城の池に落として 始末し、楽しそうな顔で帰っていった。

 えらいもん見た。何だあれ!


 翌日。城で事件が起きた。王子が落とし穴に落ちたのだ、城に忍び込んで遊んでいた俺は、その場面を偶然目撃した(けして、落とし穴がどうなるか気なった訳じゃないよ。そのあと、騎士団長に見つかり追い回されたけどね)兄上は昨日の穴を避けて歩き(凄く自然な動きだ)真っ直ぐ走る王子がズボッと音をたてて落ちた。直ぐ真下には鋭い杭がある。すぐさま、俺を追い回していた騎士団長が慌てて穴に飛び込み、王子を掴み放り投げ穴から助ける。結構高く投げられて、受け止めようと側近は頑張るが、結局位置を間違い王子は地面と挨拶した。側近の悲鳴がこだまする。穴に落ちた騎士団長は、腰の剣を抜いて土壁を刺し落下を止める。騎士団長は足で杭を蹴りスペースを開けて足を降ろした。結構深くて、騎士団長がまったく見えない

 側近の兄ちゃん(たしか、カルだっけ)が側支えのお姉さん達に、負傷した王子を任せると穴に向かい、兄上と一緒に心配そうな顔で穴を覗いて見ている(兄上・・・芝居上手いな。欠片も心配してないだろうに・・・)

「騎士団長!大丈夫ですか!」

「大丈夫ですか?」

 二人が声をかけると騎士団長が二人に怒鳴る

「お前ら!梯子かロープ、あと大人呼んで来い!急げ!」

 二人が人を呼びに走る(兄上・・・遅いな)そして、俺もソロ~と穴を覗いた

「騎士団長?」

  睨まれた!俺は直ぐ離れる。ちょっとだけ、騎士団長の顔が怖かった。ちょっとだけだぞ!

 しばらくするとロープを持った警備隊長と父上が走ってきた(父上が何で貴様がいるって顔で睨んできたコェー)警備隊長がロープを穴に投げ入れて、外に出ている部分を掴むその後ろで父上もロープを掴み足に力を入れた。警備隊長が騎士団長に叫ぶ

「グリード!掴まれ!」

 ロープを騎士団長が掴んだ。

「引いてくれ!」

 騎士団長が言うと警備隊長と父上が引く。しばらくして騎士団長が這い出てきた。一仕事終えた大人二人は穴を不思議そうにみてる

「しかし、何でこんな所に落とし穴があるんだ?」

「王宮に・・・・堂々と・・・昨日までは無かったものが!突然?何故だ!警備兵士は何をしていた!」

「侵入経路を調べなければな。それと、カルテルド。ここは王族の訓練場だ。警備は厳重、使う前にも危険がないか確認したはずだ。どの兵士が確認したか分かるか?」

「ああ、控えがある」

「では、確認するぞ。グリード。すまないが、穴を埋めておいてくれないか?」

「ああ、分かった。レミオス、カルテルドお前達のガキ共、使っていいか?」

「ああ」

「その馬鹿は思いっきりこき使ってくれ!ラグス!帰ったら説教だ!」

 父上は俺を睨み付けると、警備隊長と一緒に兵の警備室に向かった(カルテルドって名前だったのか。騎士団長グリードは知ってるけどな。因みに父上はレミオスだ)

「お前ら!穴埋めるぞ!スコップを持ってこい」

 側近のカルは直ぐにスコップを取りに走る。俺も行こうと、兄上の横を通った時グリードが兄上はの耳元で囁いた

「王子を殺す気か?俺がいなかったら死んでたぞ?」

 兄上がグリードの耳元で囁いた 「貴方が此処に来るのは予測ずみですよ?」

 グリードがニッッと笑う

「認めるのか?」

「証拠ありませんよね?」

 兄上はニコッと笑う

「何で予測できる?」

 兄上は、固まってる俺を見て慈悲深い聖人のような顔で笑う。怖い・・・

「ラグス?見てたでしょ?昨夜。君なら結果を知りたいって思うよね?君が忍び込むと、騎士団長がくるでしょ?後はタイミングを計るだけ・・・でも証拠は無いし、私は普段好い人で通っているから騎士団長の話聞いてくれるかな?どう思いますか?騎士団長」

 騎士団長グリードは、楽しそうに笑う。何か好敵手見つけた騎士みたいだな。

「皆てめえの味方だろうさ!特にお前の親父のレミオス!上に言うだけ無駄さ。それにリリアが泣くのは嫌だしな。端から報告なんざしねぇよ。殺りてぇなら手伝ってやろうか?って話だよ」

 リリア。俺達の母上の名であり、騎士団長の妹の名前だ。実は騎士団長は俺達の伯父さんなのだ

「いりませんよ。死んだらマズイし、他に王子がいないから継承権来そうで嫌です」

 うち、そうえば公爵家だったな。しかも、王家に一番近い。

「そうか、分かったよ。なら穴を埋めるぞ!カル!グスグズするなよ!」

 走ってきたカルにグリードは怒鳴る。俺と兄上も土を運んで夕方には終わり屋敷に帰った。ハー・・・説教か・・・帰りたくないな・・・・・


 俺はその日、しこたま怒られそれ以来城には行かなくなった。何週間かして。城である、事件が起った兄上が王子に殴られたてしまったんだ!

 直ぐに兄上は帰って来たが、俺は心配でたまらなかった。

 だって全然目を覚まさない。夕方やっと目を覚まして、直ぐに母上に部屋を追い出された。騒がしくしたからかな・・・・・・一緒に追い出された父上とカイスに目を向けたる

「なあ。父上、俺は王子を殴りに行ってくる。カイスはどうする?」

 カイスは頷く

「私も行きます」

 父上は俺達の頭に軽く拳をのせ微かに笑った

「早まるな。先ずは話し合いだ。陛下に未来永劫 側近から外してもらえるよう頼もう」

「駄目だって言われたらどうすんだ?」

 父上は物騒な笑顔を見せる

「その時は、反逆だ!皆殺しにしてくれる」

 ワーオ。父上おっかねぇ 俺はワクワクしながら(荒事大好き)三人一緒に馬車で王宮に向かった。

 結果からいくと。お願いは聞いてもらえた。失禁しそうな勢いで王様がビビり・・・・・・俺も怖かった。

 だって騎士団長の叔父上も王様にキレてたから。王子にいたってはマジで失禁してたし、カルは必死で王子を連れて部屋から逃ていた。俺達は位置的に動けないのに・・・・・ずりい・・・俺も逃げたい・・・・・



 それから12年。王子の婚約者だった末っ子のレミアが逃げた。

 王子達は必死で探したが見つからないらしい。俺達家族は、普通に手紙をやり取りしてる(魔術で作る紙で鳥に変身して飛んでくる。返信も同じ種類の紙を使う)

 手紙を読むと毎日楽しいと書いてあった良かったな。執務室で和んでいると気の弱そうなオッサンが半泣きで駆け込んできた

「ラグス!報告書無くした!どうしよう!」

 俺はため息を吐いた。俺は15で騎士団に入り、数ヵ月前中隊副隊長に昇進した。そして、このオッサンは上司。つまり隊長様だ

「此処にある!あと俺の目が確かなら提出日は昨日だぞ」

 ピラピラ紙を振りながらオッサンを見ると、みるみる青ざめた

「え!?マジか・・・・・きっ昨日!ヤバイ!怒られる!」

 俺はガシッと腕を捕まれた

「一緒に来てくれ!頼む!」

 そのまま連行された。この国では王宮は働くものによって建物が別れている。中心は王族の居住区。その回りに文官達が仕事をする建物があり、その宿舎。食堂(貴族出身はここで食べるメチャクチャ高い)更にその回りに騎士団の訓練場と宿舎と食堂(平民出身の文官はここで食べる。値段が安いから)がある。更に隊長格には一人に一つ執務室がある。兵の報告書、軽費の計算、出勤日日数。意外と隊長格には座り仕事が多い。父上は正しかった。勉強しててよかった。俺の上司ポンコツだし

 文官棟について、オッサンが半泣きで駆け込んできた理由が分かった。兄上に提出するヤツだったか・・・・帰っていいか・・・・・・(兄上は外交官の補佐官をしていて、他国に連れていく護衛騎士、他国から人が来た時の警備の指示も出す。近々隣国に行くのでその時の護衛騎士の書類だろうと思う)

 そうこう考えてるうちに、ドアの前まできてしまった。深呼吸してオッサンがノックする コンコン

「失礼します。書類お持ちいたしました」

「随分。遅かったですね。夜勤明けなのですか?太陽が昇り沈み再び昇るまでが1日ですよ?知らなかったなんてね〜」

(略)てめぇ!おせえよ!お前の1日まだ終わってねぇの?餓鬼でもしってるぜ!

 起こってる・・・・・・逃げていいか?ああ。分かったよ・・・泣なよ・・・

「もっ申し訳ありません!」

 兄上はニッコリ笑い、俺の方を向いた

「ラグス。私は中隊長に話がありますので退室してください」

「はい。失礼しました」

 すがる目を振り切り俺はドアを閉めた。扉の向こうで、昨日1日の行動を細かく 何を食べたか 何回トイレに行き 妻に何を言って どんな自慢話をして・・・・・・・何処で仕入れてんだそんな話、恐い!怖いよ・・・・・・こんな調子でこの国、掌握されてるんだろうな・・・・・・・

 兄上は全ての人間に恐れられている

 恐ろしい・・・・・・

 歴史に名を残しそうだな・・・・



どうでしたか?人によっては、物足りない恐怖だったかもしれません。笑顔で毒舌が一番怖いかな?と私は勝手に思ってます。だって、嫌いな人に笑いかけて罠にはめる。やられた方は回避不能でしょ?気づかないし・・・誰が!と思うのも恐怖な気がします。次は双子の弟の話を投稿します。よかったら読んでください。

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