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★冒険者になろう2

 どうしても説明が多くなってしまいますね。

 なんとか早く戦闘シーンに行ってくれませんかね。

 

 僕は身体が弱い。種族的なことではなく、病気のせいだ。


「ご主人様は目的のようなものがあるのでしょうか?」

「そうだね。ニホンに戻るのが目標になるのかな……ああ、病気によく効く薬とかってあるの?」

「ご主人様は病気なのですか?」

「そう生活に困るような病気じゃなくてね。アトピーとゼンソクって言うんだけど知らないかな。やっぱり異世界にはないんだろうね。えっと、アトピーは身体が痒くなりやすくて、ゼンソクは呼吸困難に陥りやすいの」


 喘息のせいで激しい運動ができなかった。おかげで筋肉もつかない。施設から禄に出れなかったのだ。

 花粉症も持っているし鼻詰まりになりやすくてさらに困る。鼻呼吸ができないと辛いし、さらに喘息が出ることも多い。

 喘息で呼吸が苦しくなると専用の呼吸器が必要なのだけど、この世界には持ってきていない。代わりに風の精霊たちに酸素だけ集めてもらっている。酸素さえあればなんとか落ち着くのだ。風の精霊サマサマです。


「それは……」

「だからね。あんまり激しく動いたりしたことないし、できないんだ。ほら僕の身体に筋肉がすくないでしょう。これらの原因は光化学スモッグとかいわれてるね」

「コウカガクスモック?」

「ま、悪い空気ってことだよ。この辺は空気が綺麗だから大丈夫だと思うけどね。だから、治療できるような薬があったらな、と思ったんだけどないかな?」


 うーんと思案するスローウナ。そんな顔も可愛い。

 魔法で治療できたらいいのだけど、ちょっと無理らしい。病気は魔法では無理なんだって。魔法にも限界があるってことだよね。


「あの、噂ですがエリクサーというのを聞いたことがあります。なんでも万能薬ということでめったに市場に出回ることがなく私もまだ見たことはありませんが」


 エリクサーね。よくあるゲームアイテムだよね。HPとMPが完全回復できるやつ。


「市場に出まわるのがないの?」

「ええ、昔は割と数多くのものがあったそうですが、今では薬師が減ったそうで需要に追いついていないとか。材料も珍しいものばかりで。大体貴族や王族が素早く買い上げるようです」

「じゃあ、お金だけでなく材料と薬師さんを探さなければならないんだ。うんこれが僕の目標かな」

「ではまずは帝都にこのまま向かいましょう。そこで情報収集と生活費を工面しなければなりません」


 あー……まだお金はいっぱいあるんだけどね。スローウナは自身を買ったお金で路銀がなくなったと思っているのだろ。まあ、お決まりの冒険者ギルドで社会的立場を固めとくのがいいだろうな。あったらだけど。

 あと仲間も欲しい。日本人がいたらなお良い。


「ところでご主人様。ニホンというのは?」

「うーんと……スローウナには言ってもいいかな。僕はね、異世界から来たんだよ」

「いせかい?」

「うん。僕の世界は魔法がなくて科学が発達していたんだよ」

「えっ、魔法がなくて困らないんですか?」

「全然。自動で動く馬車とかがあるぐらいだからね。生活に困ったことはないね。あと魔獣もいないし。だからニホンに帰りたいとも思うんだけど、それはそのうちね……」

「はい」


 僕らは帝都に向かって歩き出した。

 そんなに遠くなかったようでそんなには時間はかからなかった。城壁が遠くからは見えなかったが、それは戦争のためだって。簡単に見つからないようにするんだって。遠距離大魔法攻撃があるからだそうでいろいろ魔法がかかっているんだ。

 

「兄ちゃん、身分証明証持ってるかい?」

「も、持ってないです」

「じゃあ、この紙に記入してくれ」


 これって日本語でいいのかな。スローウナに小声で確認すると、それでいいと太鼓判を押された。新しく言語を学ばなくてよかった。通信教育の英語でも辛かったから……。

 特に書くこともないのな。名前ぐらいである。本当にそれでいいのか。王様のお膝元だよね。

 あ、田舎の青年が来たりするのかな。田舎になるほど身分証明が難しくなるんだろう。


「仕事についていないならギルドに入るといいぞ」

「ありがとうございます。ええ、そうするつもりです」

「綺麗な姉ちゃんがいるんだから、男なら守るんだぞ」

「ええ……」


 どちらかと言うと僕が守ってもらう側なんだが。他力本願ではないのだけどね。ちゃんと戦闘では援護するつもりだよ。

 

「まずは宿屋を取りましょう。お金が足りるかわかりませんから」

「え……っと、お金はね、結構あったりするんだけど……」

「どのぐらいです?」

「うんとね、スローウナがあと五人ぐらい買えるぐらい……」

「十分なるじゃないですか。何のために冒険者になるのやら、わかりません」


 それは社会的信用を得るためです。

 

「では、とりあえず宿をとって生活用品を買いに行きましょう」

「はい」


 【健やかな宿】というところにお金を払って纏まった日にち宿を取る。それから道具屋で日用品セットというのがあったのでそれを購入。何でもセットで買う人が多いんだそうだ。冒険者とかが。

 それから服を見繕う。古着屋で4日分の衣服を買う。ニホンの服はとっても目立つ。ここに着くまでに視線が僕らに集中していたのだ。

 僕は魔法使いらしく黒のローブを着こむ。全身黒になったが、流行とかわからないのでなんとかなるだろう。それに筋肉とかがなく貧相なので隠せるのはうれしい。道で見かける冒険者らしき人たちは総じて筋肉質なのであった。


「いらっしゃい。なんかようかい?」

「ええ、武具を買いに来ました」

「そりゃ、ここにはそれしかないからね。ヒッヒッヒ」

「そうですね」

「何を買うんだい?」

 

 今まで世間に強いスローウナに任せていたのだが、こればっかり僕の意見が必要なのだ。僕のお金だし、武器には今まで以上にお金がかかるのだ。


「えっと僕はいいとして、スローウナは好きな武器選んでいいよ」

「いいんですか? 遠慮しませんよ」

「ちょっとぐらい遠慮してほしいな。というか僕の奴隷の領分からはみ出してるよね」

「そうですか? スイン」

「ほらそこ。別にいいけどさ」

「冗談ですよご主人様」

「ご主人様じゃなくていいけど」

「そうですか? スイン様」

「ヒッヒッヒ。なにをイチャイチャしているのかね」


 武具屋のドワーフオバちゃんに言われてしまった。そんなイチャイチャしているかな。そうでもないはずなのだけど。


「で、どうするのかい?」

「いい片手剣あります?」

「あるよ。ちょっと待っててね……これこれ」


 そう言って出したのは幾何学模様が剣渕に描かれているものだった。


「魔剣ですか……火ですね」

「よくわかるな。あんたかなりの使い手かい?」

「そうでもないです。ちょっと魔力を流してみますね」

 

 魔力ってどうやって集めるのでしょう?

 スローウナは力を手に集めようとしているが、力が入っているのは目のような気がするんだけど。大丈夫かな。

 心配そうな顔をみた鍛冶屋のオバちゃんがそっと教えてくれる。


「あんたの奴隷はエルフだろう。大丈夫だよ。エルフは魔力が強いからね」

「そうなんですか……」

「あんたエルフについてなんにも知らないのかい。もしかして彼女が美人だから買ったんじゃないのだろうね」

「そ、そんなわけないじゃないですか」

「ヒッヒッヒ。そうかいそうかい」


 絶対信じていない。

 スローウナはなかなか火が付かないけれど、まだまだ頑張っている。

 しばらくして。


「はあ、はあ、はあ。疲れました……ごめんなさい。火が出ませんでした……」

「あんた、本当にエルフかい?」

「はい……」

「なんか事情があるようだねヒッヒッヒ」

「ええ。私は魔法が使えないんです」

「え?」

「そうなのかい」

「一族がそうなんです。魔力はあるのですが、集めることができないんです」


 そのかわり他のエルフや種族に負けないように身体を鍛えたのだ。ほとんどの魔力を筋力強化に使っている。魔法の代わりに瞬間的に筋力を上げるのだ。これなら魔力を細かく動かす魔法ではなく、筋力の上げたいところに魔力を集中できる。魔法効率が悪くても大丈夫なのだと。

 

「つまりは不器用だということだよね」

「ち、違いますスイン様」

「不器用なのかいヒッヒッヒ」


 不貞腐れているスローウナもからいい。

 魔剣に魔力をダダ漏れさせたらいいんじゃないかと思うけど、それはそれで違うんだって。魔剣に流す魔力の回路は狭く細く、いわゆる穴が小さいからスローウナの器用さのせいで入らないのだと。一般人なら誰でも入れれるぐらいの難易度らしいが。


「じゃあ魔剣はダメだね。魔力コーティングしている剣にするかい?」


 そちらは魔力を使わなくて、魔法を切ることができるのだ。


「ええ、そっちにします」

「20万Gだね」

「はいはい買います。あと、スローウナにあう鎧をください」

「革鎧かね?」

「そうですね」

「じゃあそれも」

「全部で25万Gね。予備の武器にナイフを一つずつ付けてやるよ」

「あ、ありがとうございます」


 ナイフの値段は50Gだったりする。

 それからベルトももらって装備する。おお、冒険者らしい。スローウナが。僕はわからないな。魔法使いみたいだし。

 鍛冶屋のオバちゃんにお別れを告げ、今度は冒険者ギルドに行った。



 ここぐらいは僕が受け答えしなければ。僕のことなんだから。……今まではなんだったのかは聞かないこと。


「すみません。登録をしたいのですが」

「はい、こちらの用紙に記入してください」

「っと……これでいいですか?」

「そう……ですね、大丈夫です。あとこの水晶に触れてください……はい、これで終了です。ギルドの説明はいりますか?」

「いえ大丈夫です、私が教えるので」


 スローウナが割って入ると受付のウサギ耳の方が破顔した。


「あら、スローウナじゃない。大丈夫だったの?」

「うん、大丈夫だといえば大丈夫かな。借金奴隷になっちゃったけど、いいご主人様に買ってもらえたから。ほら、こんな武器も買ってもらったんだから」

「それはよかったわね。私なんかもう生活がいっぱいいっぱいだよ。税で給料が減っていくのは気が滅入るわね」

「うん奴隷のほうがいいことも多いって聞くよね。私とか」

「なにいってんのよ。ハズレ引いたら困るじゃない。まあ、スローウナがついているなら大丈夫ね。がんばってランク上げてね、スイン君」

「あ、はい……」


 知り合いだったらしい。

 ウサギ耳の方はハルシュと言う女性。

 ギルドについてはここまでの道中に教えてもらっていた。

 ランクはFから始まってE、D、C、B、AときてS、SSが最高。S以上は国に貢献したレベルの称号だって。これも通り越すとアウトランカーと呼ばれる存在になるらしい。これは勇者をイメージすればいいと。アウトランカーは一世紀に一人出てくると良い方だとも聞いた。

 現在僕はFなのだが難易度はお手伝いぐらい。採取や兎狩りとかそんな感じ。町のお手伝いも。

 何個か依頼をこなしているとギルドからランクアップの試験が言い渡されて、それをクリアーするとランクが上がる。

 よくあるRPGと何ら変わらない。



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