拒否権なんかありません。
母「ここは…秘密の部屋よ。」
私「うん、だろうね。入り口は女子トイレじゃないし、蛇語や仕掛けもなかったけど。」
母「何言ってるの、ウチのトイレは男女兼用じゃない。」
私「ゴメン、こっちの話だから気にしないで。」
思わず言ってしまった言葉に、母が不審そうな顔をした。
私「何の為の秘密の部屋なの?ナイフやら銃やら危なそうなものがいっぱいだし、この金属の針金みたいな小道具は何?」
母「あー、それピッキングセットとかいろいろ。」
私「はっ⁈何の為にそんなのあるのさ?」
母「これが銃でナイフでしょ?それからカツラにメイク用品、メガネ、変装用の服、ワイヤー、その他諸々。」
私「銃やナイフやらは見ればわかる…って変装用?」
母「隠し通せるとは思ってなかったけど、こんなに早くみつかるとはねー。」
そういいながら、母は溜息をついた。だがその表情はなんだか楽しそうである。ふと、寒気がはしった。途方もないことに巻き込まれる気がしてならない。すでに片脚突っ込んでるけど。
私「あはは…じゃあ僕行くね。見なかったことにするよ、秘密の部屋なんだし。秘密にしよう。」
そういいながら、後ろを向き部屋を出ようと…できなかった。肩にポンと置かれた母の手がそれを許さなかった。
私「あー、母さん?手を退かしてくれないと、部屋から出れないなぁ…なんて、あははー」
母「あら、出ていく必要ないわよー。この部屋を見つけた貴方には全てを知る権利があるの。」
私「…………拒否け「ないわ」はい。」
かくして私は、なかば強制的に話を聞くこととなったのであった。




