襲撃1
しばらくすると楽隊の演奏が止んだので私はそろりそろりと移動しはじめた。
いよいよだ。大広間が完全に静まるとき、少し人のひらけたところで動きをとめた。
人々がかしずくなか、近衛兵とともに陛下と王妃、第一王子と第一王女、第二王女がにこやかに、
そして最後にさっきまで一緒にいた第二王子が完全に感情を消した顔で入ってきた。
王「面を上げよ。今日はよく集まってくれた。皆、楽しんでくれ。」
陛下がそう言い終えた瞬間、魔力で操られた細身のナイフが飛び出した。
魔力でスピードと威力が増してあったがそれは近衛兵がきっちり叩き落とした。
大広間は騒然となりそこかしこで悲鳴が上がる。
私は騒ぎに乗じて、ナイフを投げた男に背後から近づきぶつかったフリをしながら
さりげなく身体が麻痺する毒薬を塗った針を刺す。
次に近くにいた犯行グループの仲間だと思われる男二人にも同じように。
三匹完了。さっき目を付けたのはこの三人をいれて八人。
残り五人だがどうも気に食わない。
なぜなら王族を狙うくらいだから緻密な作戦を立てたはずだ。
なのに、さっきのナイフじゃあまりにもお粗末すぎる。
私の考えが正しければさっきのは陽動で本命の暗殺者はあとの五人だと思ったほうが良い。
さて、次の獲物は・・・。
後の五人を探すと、風が耳元で居場所を囁いて教えてくれる。
次の行動に移される前に動きを封じていく。




