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一番古い隠し部屋
ロスした時間を取り戻すために、足早に先ほどとは違う隠し小部屋に向かう。
舞踏会の会場への行き来が少ししにくくなるので当初の予定を変更して、
必要最低限の荷物以外は置いていくことにする。
後日また取りに来よう。その時に王子にあいさつでもするかな。
廊下の奥の物置部屋に入り、壁の装飾をずらすと横に壁がずれて小さな入口が現れる。
部屋の中は埃だらけでなんだか息苦しい。
確かここって教えてもらった中でも一番古い部屋で母さんもあんまり来なかったから
めちゃくちゃ埃たまってるかもって言ってたっけ・・・。
しょうがなく気休め程度にしか開かない小さな窓を開けて空気の入れ替えを試みるが
息苦しさや埃っぽさはたいして変わらなかった。
あきらめて窓に背を向けてスカートに手を突っこむ。
ガーターベルトのボックスから様々な道具やら煙幕やら簡易の罠などを取り出しながら、
独り言のように囁く。
私「いるんでしょ?」
「ああ、お前がいるところには面白いことがたくさん起こるからな。」
ふりかえれば誰もいないはずの窓際にはいつのまにか一人の男が立っていた。




