やっと退室
王子様、そんな変な名前信じちゃうんですか?
知らない人の言うことホイホイ信じちゃダメって誰か教えとけよ!!
教育係呼んでこいや、と言いたい気持ちを抑えて今度こそ退室しようとする。
王子「おい、アリス・フシギノクニノ。舞踏会が見たくて仕事抜け出そうとしたんだろう?俺と来れば見せてやろう。どうする?」
なにその破格の申し出?きっと裏があるに違いない。
良い話には裏があるって誰かも言っていた。
私「とても魅力的なお話ですが、やはり仕事に戻ります。頑張って昇格すればどなたかのお付きとして舞踏会に行くことができるかもしれませんし。」
王子「じゃあ、俺付きの侍女になればいいだろう?取り計らってやろうか?」
なあーーーーに言っちゃってんだこのバカ王子?そんなことしたら身元調査されて捕まるっつーの!
今日だけとかなっても「何アノ子?新人なのに生意気!」とか言われて
貴族出身とかの侍女にいじめられて本来の仕事ができなくなんだろうが!
私「なるなら実力でなります。お気遣い感謝いたします。では失礼いたします。」
やっとのことで退室し扉を閉めるとき、王子の笑い声が聞こえた気がした。
予想外なことがありすぎてだいぶ時間をロスしてしまったが、裏ワザを使えばまだ取り戻せる。
ただ問題なのはその裏ワザは、人に見られてはいけないうえにちょっと厄介なのだ。




