バカ2人
兄が条件つきだが、王立学校に進学することが決定した。しかも特待生として。きっと才能もあっただろうけど、小さい時から父さんと頑張って修行してきた成果だと思う。修行する理由がちょっと不純だったとしても。
まぁ、とりあえず解決してよかったー。兄さんは将来ギルド継ぐとか言ってたけど、ぶっちゃけ王子様に目をつけられてるから、将来は確実に宮仕えだろうなぁ。騎士団とか、王子の側近とか。
国から目をつけられたら、めちゃくちゃめんどくさい将来が待ってるってことが今回わかったから、これからはもっと目立たないようにしないと。兄さんみたいになったら大変だし。ポジション的には優秀な兄の影に隠れる、不出来で弱っちい弟みたいな感じでいけばいいかな?
そんなことを考えながら、静かに目立たないようにケーキをもぐもぐ食べて1人で和んでいた。
王子「それにしても、お前の弟は可愛いな。名前はクロードだったか?普段しつこく聞かされていたが、てっきり身内の贔屓目かとおもっていた。もしこれが女だったら俺がもらいたいくらいだ。」
確かにそうだよね、生まれてくる性別間違えたよねー…。王子に可愛いって言われるとか照れるなぁ。ちょっと複雑だけど。
兄「……ドは……ん。」
王子「え?」
兄「お前にクロードはやらん!!」
バンっ!!っと机を叩いて兄がいきなり叫んだ。
兄「いくら王子とはいえ、お前にクロードはやらないからな!クロードの夫はこの俺だ‼」
ブ、ブラコンでたーーっ!!
お前は夫じゃなくて兄貴だっつーの!!
王子「だから、もしも女だったらの話だろ?しかもお前は夫じゃなくて兄だろうが。男同士は結婚できないのっ!」
父「いや、もしもの話でも私は…お父さんは許しませんよ。いくら王子でもクロードを嫁には出しません!」
って、父までキターー!!普通兄さんを止めるべきだろうが、このバカ親‼‼もうなんなんだ、このカオス。誰か2人を止めてくれ。
そんな心の叫びを聞いてくれる人もいなくて、ついに私は諦めた。母はニコニコしながら傍観を決めこんでいる。
父と兄は王子に向かって『いかにクロードが可愛いか』を語っている。
ちょっとすごくその話に入りたくなかった私は、セバスチャンさんに美味しい紅茶の入れ方を教えてもらった。
孤立無援状態となった王子は、しばらくの間バカ2人の話を延々と聞かされるはめになったのだった。




