特例
兄さんの空気読めない発言が炸裂します。
兄「え?お前、全寮制だって言ってたじゃん。」
兄さんがぽかーんとした顔で王子に聞いた。
王子「お前が『寮生活なんてヤダ』だの『3年も耐えられない』だの『クロードがいなきゃ無理』だの言うから、俺がわざわざ父と学長に相談したんだよ。
そしたら案外簡単にOKされてな。俺は警備上の都合で、お前は家の仕事の都合で、特例として寮生活免除になった。」
兄「お前の警備上の都合はわかるけど、俺の家の仕事の都合って、なんだよ?」
王子「そのことなんだが、特例を認める条件として、お前にはこれから入学までの間に、最低でもギルドランクを二つ名がつくSランクまで上げてもらう。
二つ名がつくと、依頼や仕事が増えるだろう?だからそれを理由に自宅からの通学を許可することにしたわけだ。」
王子…兄さんに甘過ぎるよ。わざわざ特例つくっちゃうとか、どんだけ身近に置いときたいんだ…。
父「ウチの息子のために、すみません。でも、そんなに簡単に特例をつくってもいいんでしょうか?」
王子「ああ、かまわない。それだけ貴方の息子は期待されてるってことさ。」
皆が納得する解決策も見つかって、リビングの雰囲気が明るくなった。
母「王子様、ありがとうございます。アーロンもちゃんと御礼言いなさい。」
兄「ありがたいけど、仕事ふえたら忙しくなってクロードといる時間減っちゃうよなー…。」
リビングの空気が凍りついた。こんだけしてもらってて、まだ言うか、このブラコンがっ!私と兄さんをみる皆の視線が痛いだろうがっ!
この空気をどうしようか悩んでいると、セバスチャンさんに口パクで『なんとかしてください!』と懇願された。
なんとかってなんだよ⁉この空気だよ?無理、ちょー無理!いや、むしろここは空気を読まずに無邪気な八歳って感じで、バカ兄貴を説得するべきなのか?
そうだよ、やるっきゃないよ。あのバカにこんだけしてくれた王子様の為にも、ここは私が腹をくくって…うん、わたしは出来る!あの母さんとの地獄の特訓を思い出せ!無邪気な八歳になりきるんだ。I CAN DO IT !
私「ねぇ兄さん…王子様が兄さんの為にお家から通っていいよって言ってくれたんだから、学校行こうよ?」
兄「でもな、クロード…お兄ちゃんといる時間減っちゃうんだぞ?」
私「学校行って勉強するのは大切なことだよ。Sランクだって兄さんがなれると王子様が信頼してるから、言ってくれたんだろうし。」
兄「うん…。」
よし、いい感じに揺れている。あと一押しで、きっと堕ちる!
私「学校行って、Sランクのお仕事も頑張るお兄ちゃんは、かっこいいんだろうなぁ…。」
兄「うん、俺学校行くわ!」
オチターー!やったー!すんごい大変な一仕事を終えた感じ。まぁ、でもよかった。
私の素晴らしい演技と説得により、リビングの雰囲気がまた明るくなった。こうして、初の家族会議は幕を閉じたのである。
次回、家族会議終了直後のお話。




