執事のお願い
やっと本題に入ろうとしたセバスチャンさんに、大人びてはいるけど、まだ無邪気な八歳という感じで振り向いた。
私「僕にお願いってなんですか?」
執事「先程、アーロン様の進路について家族会議中とおっしゃっていましたね。私達もそのことについてお話があるのです。
今年から新しく王立学校ができるのですが、王子と共にアーロン様にはそこに進学していただきたいのです。
今日はそのことを説得に来たのですが、もしアーロン様が拒んだ場合、弟である貴方に説得を手伝ってほしいのです。」
やっぱスカウトだよねー。将来有望な人材の育成と最初に唾つけとこうって感じか。あとは、王子の警備上、腕の立つ奴を近くに置いときたいってとこかな。
私「僕には、そんな難しそうなこと出来ませんよ。きっと王子様の話なら聞くんじゃないかな?」
執事「いえ、アーロン様は弟である貴方を随分と大切になさっています。きっと貴方の話なら聞くはずです。」
私「でも……兄さんは三年間の寮生活が嫌なんだそうです。」
執事「それについては、奥の手があるので大丈夫でしょう。貴方は、アーロン様がこちらの説得に応じなかった場合、少し手伝ってくれるだけでいいのです。
さぁ、もう戻りましょうか。ティーセットは私がお運びしましょう。」
奥の手ってなんだろう?まぁ、兄さんにはちゃんと進学して、この家をついでもらわないとならないから協力するか。
セバスチャンさんに、ティーセットを運んでもらいながら、リビングに向かった。




