来客は大物でした。
トイレから戻る途中、あのバカをどう説得すべきか考えていると来客を知らせるチャイムがあった。あの気まずい雰囲気に戻りたくなかったから「僕が出るー!」とリビングに向かって明るく叫んだ。
私「はーい、どちら様でしょうか?」
扉を開けると、黒いローブとかかぶっちゃった明らかになんか怪しい格好をした人達が居た。
私「えっと、どちら様でしょう。父のギルドの方たちですか?」
いくら怪しくてもまずは礼儀正しくしようと思って聞いてみた。第一印象は大事だよ。
すると、4人いるうちの手前の1人が前に出てきた。不審者Aと呼ぶことにしよう。
A「アーロン殿はいらっしゃいますか?お話があるのです。」
私「兄さんの知り合いの方ですか?兄は今、両親と家族会議中なんですが。」
A「すぐにお話したいことがあるのです。ご両親も一緒のほうがよろしいでしょう。中に入って構いませんか?」
なんか怪しいけど、めちゃくちゃ礼儀正しいし。まあいっか!変な動きしたら叩き潰されるだろうし、父さんと母さんに。
私「はい、どうぞ。」
無邪気な子供のふりをしながら、にっこり笑って言った。中に入ったのは3人。あとの1人は見張りかなぁ?
おそらく、見た目の怪しさと行動や話し方の礼儀正しさが合ってないこと、また、4人いるうちの3人が真ん中の1人を守るように周囲を警戒していたことから、どっかの貴族がおしのびで兄を訪ねてきたんだろう。
中に入らなくてもわかるほど、暗い雰囲気のリビングに不審者ABCを連れて入る。
私「兄さんにお客さんだよー。」
兄「え?誰?」
すると不審者AとBがローブを脱いで、Cの後ろに下がった。
C「俺がわからないとは悲しいな。三年間ずっと一緒にいたのに薄情な奴だ。」
と言って最後にCがローブを脱いだ。
兄「は?え?オーランド⁉」
ん?オーランド?なんか聞いたことある名前だな…。誰だっけ?
父「王子!何故こんなところに⁉」
王子?ああ、兄さんの学友の王子様………って、エェェエェ!?
なんと、不審者Cはこの国の王子様であらせられました。不審者Aは執事のセバスチャンさんで、不審者Bと外にいる見張りの不審者Dは護衛の方だそうです。
執事!セバスチャン!キタコレー!!と心の中で叫んだのは内緒です。
ちょくちょく話に出てた王子様が登場です。




