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はじめのはじめ
2XXX年、梅雨。
私は十九歳で死亡した。
死因はすれちがったチンピラに肩をぶつけられ、転んだ先にはトラック。
すごい衝撃にブレーキ音、誰かの悲鳴、真っ赤な視界。
意識が途絶える最期に思ったことは、もし生まれ変わるならチンピラごときに肩をぶつけられても平気なくらいは強い男になりたいなぁ…なんて。
ええ、そんなことを思ってた時がありました。まさか死ぬ間際に願ったことが叶うなんて思ってないし、まさか男になるなんてね…。
死んだと思ったのは一瞬だった。
すぐに真っ暗な眠りから覚めて、誰かが喜んでいるのがわかった。死なずにすんだのかとおもいきや、話している言葉が全くわからない。抱き上げられ、暖かい腕に包まれた時に初めて、このうるさい泣き声は自分の声だと気がついた。
生まれ変わるなら…確かに男になりたいと願いましたがまさか本当になるなんて。
気がついた時には叫びましたとも。「◯◯◯あるーっ‼⁈」まぁ周りにはオギャーとしか聞こえてないさ。
私、転生しました。ただし男に。




