表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/23

第5夜

甘い、甘いです。ここ大事です。2回言いました。

今回はホントに甘いです。書いてる作者本人が悶えるほどです。

なら書くな? そんなの聞こえません。

「あれ、美月んちってここなの?」

「うん。そうだけど」


 陽ちゃんがやけに驚いた顔をして言った。次に、3軒先の角にある家を指差すと、


「俺んち、あそこ」

「ウソ!?」


 めちゃくちゃご近所でした☆


「そっか~、こんなに近いのかぁ。じゃ、俺、明日から毎朝美月のこと迎えに行くよ」

「え、そんなのいいよ。私朝遅いよ?」

「俺が早く行って起こしてやる。んじゃ、明日7時半にな」

「え、ちょっと待って、私無理だってば!」


 私の叫びには軽く手を振っただけで答えて、陽ちゃんは自分の家に入って行った。

 ちなみに私が朝遅いのは本当で、今日も遅刻ギリギリの電車に乗っていた。その電車すら捕まるか怪しかったんだけどね。


「そんな、朝7時半、って私何時に起きればいいのよ……」


 そんな私が普段起きているのは7時。確実に間に合わない。女の子は支度に時間がかかるものです。なら早く起きろって? 無理だから困ってる。


「お母さんに頼んでみよう……」


 お母さんに事情を話すのはちょっと気が引けるけど、この際慣れるまではお母さんに頼むしか他にあるまい。お母さんはたぶん理由聞いたら大はしゃぎして茶化すんだろうな……。

 今から考えるだけで気が滅入る。


 あ、でも起きれたとしても、朝陽ちゃんが来た時点で早起きする理由がバレるのか。どっちにしろ母、大はしゃぎ決定。


「もういいや。諦めよう」


 いくら4月とはいえ、日が落ちるとだいぶ冷えてくる。風邪をひく前に家の中に入ることにした。




「ハァァ。やっぱり茶化された……」


 その日の夜、私はまた町はずれのビルの屋上に来ていた。

 膝を抱えて三角座り。拗ねるポーズの完成。


 案の定、母親に明日早く起こしてほしいこととその理由を伝えると、


「きゃー、何、美月にもとうとう春到来!? お母さん嬉しいわぁ!」


 と、このテンションである。若々しいのはいいんだけど、もう少し大人になってほしい。


 ハァァ、ともう何度目になるのか分からないため息をついていると、背後のドアからギイっとドアが開く音がした。


「やっぱりここにいたか。女の子が夜に一人で歩くのは危ない、って言っただろう」


 昨日と同じくそこには陽ちゃんがいた。


「って、どうしたんだよ。拗ねてんのか?」


 私のポーズを見て陽ちゃんが聞いてきた。原因は貴方だよ!! とか言えるわけもなく、私はまた一つため息をついた。


「何だよ、俺なんかしたか?」

「したといえばした。してないといえばしてない」

「何だよ、それ」


 陽ちゃんが苦笑しながら私に近づくと、隣に腰を下ろした。と同時に、自分が着ていた上着を私に差し出した。


「着てろよ。寒いだろ。女の子が体冷やしちゃいけないもんな」

「いいよ。それじゃあ陽ちゃんが風邪ひいちゃう」

「だったら今度からはちゃんと着てくること。今はとりあえず着とけ」


 と半ば強引に私に上着をかけた。まだ陽ちゃんの体温が残ってて温かかった。


「……ありがと」

「おう。俺は丈夫だからそうそう風邪なんか引かねえよ」

「そんなにちっちゃいのに?」


 私が悪戯っぽく聞くと、陽ちゃんはにやりと笑って私にかけた上着に手を伸ばした。


「そんなこと言うなら俺も一緒に入るぞ」

「え、ちょっと待って。近い、近いって!」


 私が一人あわあわしているのを見て気がすんだのか、陽ちゃんは上着から手をパッと離して笑った。

 陽ちゃんの笑いが収まると、私たちはそのまま二人で並んで月を見上げた。やっぱり昨日が満月だったらしく、今日の月は少しだけ欠けている。


 そんな月をしばらく眺めていると、陽ちゃんが唐突に話しかけてきた。


「そういえばさ、美月って毎日ここから月眺めてるのか?」

「うん。もう6年になるかな。私、月を眺めるのが好きなの。観察ってほどじゃなくて、ただ単にぼーっと眺めるのが好き。もう日課みたいなもんだよ」

「そっか」


 それからは特に会話らしい会話もなく、二人でただぼーっと月を眺めていた。

 しばらくして、隣の陽ちゃんが小さく震えているのに気がついた。


「あ、ごめん、上着借りっぱなしだったから寒いよね。これ返すから早く帰ろう」

「いや、寒さは別に平気だけど、そろそろ美月の親御さんが心配するよな。うん、帰ろう」


 私が差し出した上着を着たとき、陽ちゃんが小さく、温かい、と呟いて微笑んだのは見なかったことにした。


「どうした、美月? 顔真っ赤だぞ」

「別に!?」


 ちょっと声が裏返ったのはご愛嬌だ。

 陽ちゃんが変な奴、と小さく笑いながら私の手を握った。寒いから、と言い訳して陽ちゃんはそのまま歩き出す。

 一歩ごとに私の心拍数も上がっていった。


体調不良と課題が重なって更新遅くなりました。

はい、もう元気です。大丈夫です。こんな甘いもの書いてても平気です。


なんかもう、いろいろフラグが立ってます。察しのいい方はもう気がついてるとは思いますが、美月はああでこうなります。

え、分からない? 作者はネタばれしない主義です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ