第4夜
あまあまです。
初々しいです。
見てると若干いらいらします。
そんなものでよろしい方のみ、先にお進みください(笑
私にこんなモノもかけたんだなぁ……
「「うま~」」
口の中でとろける甘ーいアイス。これにときめかない女子高生がいないわけがない!
そんなこんなで駅前のアイスクリームショップにやってきた私たち5人は、甘いものが苦手だという陽ちゃん以外は全員手にカップに入ったアイスクリームを持っていた。
「しっかしよ、女子ってよくこんなんで腹もつな。俺、1コじゃたんねー」
「つか、女子はもとよりお前もよくそんな甘いもん食えるな」
1人甘いものが食べられない陽ちゃんはアイスコーヒーを片手に呆れ顔だ。
「だって俺、食いもんだったら基本何でも平気だもん」
「お前なぁ……」
陽ちゃんは大知君に関してはもう何か諦めたらしく、凜太郎君のほうへと顔を向けた。
「凜、お前は甘いもん平気なのか?」
「僕、こう見えても甘党だよ? ここのメニューは全部制覇した」
「「「ウソっ!」」」
ゆかりちゃん以外の全員の声がそろった。ゆかりちゃんは顔色一つ変えず幸せそうにアイスを頬張っている。
「ゆかりちゃんは知ってたの?」
「知ってるも何も、アイス全制覇に付き合ったのはあたしよ。たぶん凜ちゃんはあたし以上に甘いモノ好きよ」
意外だなぁ。凜太郎君って、結構クールなイメージだから勝手に甘いものは苦手だと思ってた。
「何、僕が甘いもの好きじゃいけない?」
「いや、そういうわけじゃないけど……、意外だなーって。凜君の意外な一面発見、みたいな」
とたんに怪訝な顔になる凜太郎君。私、何かまずいこと言ったかな。
私が1人あわあわしていると、凜太郎君がまた口を開いた。
「凜君って……」
「あ、ごめなさい。嫌だった? みんな凜とか、凜ちゃんって呼んでるから、私もいいかなって思って……。嫌だったら止めます」
「別に嫌じゃないけど。急だったからびっくりしただけ」
「じゃあ、凜君って呼ばせてもらうね」
私は嬉しくなって思わず顔がにやけた。それに気がついた大知君がすかさず割り込んでくる。
「あー、凜だけずるい! ねえ、美月ちゃん、俺のことは大ちゃんって呼んでよ」
「うん。分かった。大ちゃん、だね」
「じゃ、俺もー」
「って、陽ちゃんはもう陽ちゃんって呼んでるでしょ」
あ、そっか。といって頭を掻いた陽ちゃんに全員が笑った。特に大ちゃんとゆかりちゃんは遠慮なしに爆笑している。
「美月」
「え?」
「君が僕のこと凜君って呼ぶなら、僕も美月って呼ぶ。いい?」
「もちろん!」
今日1日で何だかみんなとすっごく仲良くなれたような気がする。私は人と話すのが苦手だから、こんなに人との会話で笑ったりしたのは初めてかもしれない。
それもみんな、この優しくて楽しい4人のおかげだよね。
私は久々の楽しい会話を楽しんだ。
でも、放課後って短いもので、あっという間に外が暗くなってきた。
「うわ、もうこんな時間。そろそろ帰んないとまずいわね」
「ま、俺たち男組は別にいいけど、女の子はな。美月、家どこ? 送ってくよ」
「え、そんな。いいよ。家、そんなに遠くないし」
「ん~、でも、女の子が1人は心配だから、ね」
陽ちゃんの申し出に少々腰が引けながらも、お願いすることにした。
「じゃ、あたしのことは大ちゃんと凜ちゃんが送ってね」
「げ、俺はゆかりかよ」
「………………」
「大ちゃん、げって何よ、げって。それに凜ちゃん、何故黙る?」
帰る時も賑やかな3人を見送って、私と陽ちゃんも歩き出す。
「じゃ、俺たちも行こっか」
そう言って駅の方へと歩き出す陽ちゃん。
私が通う美華突高校は、東西南北にある中学校のちょっと北よりにある。
最寄り駅もどちらかと言えば北よりにあるから、私は通学には電車を使っていた。
「あれ、陽ちゃんも電車通? 北中出身じゃなかったっけ?」
「俺、中学卒業した時に南中よりのところに引っ越したんだよ」
「へぇ。どこらへん?」
陽平君が答えた住所は意外と私の家から近かった。
「家、すぐ近くじゃん。もしかしたら朝とか会うかもね」
「俺、朝迎えに行くよ。美月一人だと寝坊とかしてそう」
「な! そんなことないもん! 私、遅刻したことないもん」
「ホントか~?」
陽ちゃんがニヤニヤしながら言った。からかってるんだな。むぅ。
そんなこんなしているうちに駅に着き、ちょうど来た電車に2人一緒に乗り込んだ。
寄り道したので帰る時間が中途半端だったのか、席は結構開いていた。私たちはドアのすぐ近くの席に並んで座った。
「そういえばさ、すごく今さらなんだけど、俺美月にちゃんと自己紹介してなかったよな」
「あ、そう言えばそうかも。最初会った時も結局あだ名とかしか言ってなかったし」
「悪い悪い。んと、じゃあ改めまして。俺の名前は井上陽平。8月生まれでO型。好きなモノはバスケかな」
「私は如月美月。10月生まれのAB型。好きなことは月を見ること。これからもよろしくね、陽ちゃん」
改めて自己紹介して何だか照れくさくなった。そのまま目を合わせることができなくなったので顔を俯かせる。
下を向いているといろいろ考えてしまうのがヒトの性というもので、そういえば私、こんなに至近距離で男の子と喋ったの、初めてかも……。
なんてことを考えているうちに、だんだんと顔が熱くなってきた。やばい、これは顔も赤くなってるかもしれない。
私の顔、見られちゃったかな、と思って陽ちゃんの様子をちらりとうかがうと、陽ちゃんも視線をそらしていた。その頬が少しだけ赤くなっていたように見えたのは気のせいだろうか。
「まあ、その、何だ。これからよろしくな、美月」
「こ、こちらこそ」
そんな若い2人の初々しい挨拶を、たまたま同じ電車に乗り合わせた乗客たちが微笑ましげに見ていたことに最後まで本人たちが気づくことはなかった。
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次回は夜のお話です。またまた月が綺麗です。