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第20夜

凜君のターン!

 なんだかんだと楽しかった週末も過ぎ去り、また月曜日がやってきた。授業の様子は、まあ、あれだ。特に言うべきこともないので割愛。べ、別に寝てたわけじゃないんだから!!


「つーわけだ。もう乱入してる奴がいるらしいが、正式には今日から仮入部だ。怪我とかしないようにな。特に運動部の奴らは。俺がめんどいから」


 めんどいのはあんたか!! と全力で突っ込みたくなったが、まあそこは何とか抑える。ここは学校だ。その学校であの教師は何をやっているのだとさらに突っ込みたくなったが、思考を止めることでやり過ごす。


「んじゃ、さよなら~。あ、バスケ部は体育館でやってるからな」


 さりげなく自分の部活アピールしてから教室出て行きやがった。とりあえず帰りのSHRが終わったので、教室他クラスの生徒たちがなだれ込んでくる。


「美月終わったー?」

「だから何故貴方達はそんなに早いのー!?」

「この学校では大地さんはまだ長いほうだと思うよ?」


 ……私が卒業した学校では断トツの早さだと思うんだけどな。この学校ではその感覚は通用しないようです。


「美月ちゃんは帰宅部にするって言ってたけど、今日はどうするの? 一応部活見て回る? それともこのまま帰る?」

「うーん、ゆかりちゃんたちがバスケとかやってるのも見たいけど、入るつもりもない人が冷やかしで見に行くのもな……。今日は帰るよ」

「そっか。じゃあ、凜」

「? 何故そこで僕が呼ばれる?」

「ゆかりちゃんのこと送って行きなさい」

「僕が? まあいいけど」


 あっさり? 凜君のことだから断られると思ってた。そういうとこ結構クールだし。


「何? 一応僕も男の子だから女の子を家に送ることくらい常識だと思ってるよ」

「心を読まれた……? え、えと、あ、ありがとう、ね」


 凜君は心を読むプロでしょうか。あまりの的中ぶりにちょっと動揺してしまった。


「よし。そうと決まればさっさと行くわよ! バスケがあたしを待っている~♪」


 そういうなり、鼻歌を歌いながらゆかりちゃんは陽ちゃんと大ちゃんを引きずりながら教室を出て行った。取り残された私たち二人は生温かい目でそれを見守っている。


「それじゃ、僕たちも帰ろうか」

「う、うん」


 今さらだけど、凜君と二人っきりになるのって初めてかも。ゆかりちゃんは女の子同士だし、陽ちゃんは家近いし、大ちゃんは部活見学のときとか二人きりになったこともあった。


(けど、この顔と二人きりは反則だろう―――!?)


 凜君はかわいい。初めて会った時も思ったが、かっこいいとかわいいを持ち合わせた人だと思う。要するに、きれいなので一緒にいるこちらが照れてくる。


「何? 僕の顔に何かついてる?」

「べ、別に……」


 一緒にいると照れるとか言っておきながらガン見していたようだ。そりゃ、訝しがられるわ。

 今電車に隣り合わせて乗っているわけなのだが、なんだか申し訳ない。というのも、


「凜君、通学に電車使ってないよね。ごめんね、私のために……」

「別にいいよ、そんなこと。電車で下校、っていうのもやってみたかったし」


 ……やってみたかったで片付ける凜君がかっこよく見えた。見えたじゃなくてかっこいいのか?


「いつも降りてる駅ってここでいいの?」


 凜君が尋ねてくれて私の意識が一気に現実に戻ってくる。……危うく乗り過ごすところだった。


「うん、そう。ありがとう」

「家、どっち?」

「ここまででいいよ。ありがとう」

「折角ここまで来たんだから家まで送るよ」


 うーむ、確かにわざわざ電車に乗ってまでここまで来てくれたのに、すぐに帰すのはなんだか申し訳ない。折角だし、送ってもらおうかな。


「じゃあ、お願いします。えと、こっち」

「……ねえ、美月。どうしたの?」

「ど、どうしたの、って何が?」


 私が若干動揺しながら聞くと、凜君は私をじっと見てから一つため息をついた。そしてそのまま何でもない、というように首を横に振った。


「まあ、いいや。美月、あっち行こう」

「え?」


 急に凜君が私の腕を掴んで歩き出した。凜君って、この辺知らないんだよね? 一体どこに向かってるのよー!?





「こんなとこに公園あったんだ。知らなかった……」

「こんなとこまでなかなか来ないだろうからね」


 それなら何故地元ではない貴方がここを知っているんだ!? と思ったが何となく黙っていた。というか周りに誰もいないのでこの顔とさしで向かい合うとか私を殺す気かー!?


 そんなこんなで私たちは公園の中のベンチの一つに並んで腰かけた。何故こんなことになっている? この公園は私がよく月を見に行く廃ビルに向かう道の途中にあるだけあって、人気が全くと言っていいほど無い。


「それで、美月はどうしてそんなに緊張しいるのかな」

「べ、別に緊張なんて……」

「してるだろ?」

「うー、ちょっとだけ……」

「いつも顔合わせてるのにね」


 凜君は何故か機嫌よく笑っている。凜君の笑い声で私の緊張もほぐれてきた。そんな私の気配を察したのか、凜君がまた口を開いた。


「ここ、陽平が引っ越してきてからバスケの練習に使ってるらしいんだよ」

「……じゃあ、陽ちゃんちも知ってるんだよね。ということは私んちも知ってるんじゃないの」

「………………」


 あからさまに凜君が目を逸らした。こいつ、明らかに黒だ!!


「…………美月が可愛かったから」

「何?」

「何でもない」


 それ以上はいくら問い詰めても教えてくれなかった。もう何なんだ、この人は。

なんかもういろいろとフラグが立ち過ぎてびっくりする。

作者の心情としては、「お、お前もか……!」というような感じです。

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