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第17夜

やっと続き書けた。今回は補習後の話。

 ゆかりちゃんが言い出したのは、大ちゃんもやっと補習が終わって、遠峰先生がどこかへ出かけて子供5人でお茶会をしている時だった。


「ねえ、明日何の日か知ってる?」

「明日? 日曜日だけど、何かあるの?」「「「ああ、明日か」」」


 私と男の子3人の言葉がかぶった。私以外の人は把握しているらしい。


「美月ちゃんは知らないと思うけど、実は明日、大兄の誕生日なのよ」

「毎年うちの姉貴がケーキ焼いて、ゆかりんちで誕生日パーティー開くんだよ」

「参加は毎年自由だけど、参加するならなんかプレゼント持ってかなきゃいけないんだ」

「そういや大知は金が無いって言う理由でプレゼント買えないから参加しなかった年があったな」

「うわー! それは言うな!! 大地さんには……」

「大兄ならもう知ってるわよ」


 ゆかりちゃんの最後の一言で大ちゃんが撃沈した。うん、まあ、大ちゃんらしいと言えば大ちゃんらしいな。


「というわけで、今年は美月ちゃんもどうかな、って思って」

「え、私も参加していいの?」

「当然よ。美月ちゃんはあたしたちの大切な友達だもの」


 なんか目にジーンときた。やばい。嬉しくて泣きそう。


「ちょっと美月ちゃん!? 何で泣いてるのよ!?」

「え、私泣いてる?」


 私を見てゆかりちゃんがワタワタしている。男性陣もびっくりして目を丸くしている。

 手を目元にもっていくと、何か冷たいものに触れた。泣いているのは本当らしい。


「別に何でもないの。なんか、友達って、幸せだなって思って」

「なんだ、そんなこと。当たり前でしょ。友達なんだから」


 それって理屈になってない。でも、そう言ってくれるゆかりちゃんがとても嬉しかった。

 また泣きそうになったのでその前に私は退散することにした。




「遠峰先生へのプレゼントか……。どんなものがいいんだろう」


 私はぷらぷらと駅から自宅までの道を歩きながら考えていた。

 そんなとき、私の目にあるものが飛び込んできた。


「あれは……、リストバンド?」


 駅前の店のショーウィンドウに飾られていたのは黒を基調とした肌触りのよさそうなリストバンドだった。思わずその店にふらふらと入ってしまう。


 実際に手に取ってみると、それはふわふわとしていてとても肌触りが良かった。それにデザインがシンプルだから何に合わせてもいいかも。


「よし。値段も手ごろだし、プレゼントはこれにしよう」


 会計を済ませて簡単に包装してもらう。そして手渡されたプレゼントを大事に抱え込むと、私は家路を急いだ。




 次の日。つまり日曜日。私は朝からクローゼットの中の洋服を引っ張り出して悩みに悩んでいた。だって担任の誕生日パーティーだよ!? いったい何を着ていけばいいというのよ!!


「美月! 早くしないと遅れるわよ!!」

「分かってる!! あー、もう! これでいいや!」


 私が手に取ったのは淡い色合いのワンピースだ。これの上に何か着てけばなんとかなるだろう。


 そもそもなぜ私がこんな朝からバタバタしているのかというと、昨夜ゆかりちゃんからのメールでパーティーの準備を手伝って欲しいと頼まれたからだ。

 お母さんにそのことを伝えると、自分のことのように喜びながらいろいろと持ち物の準備を手伝ってくれた。


「行ってきます!!」

「気をつけるのよー」


 なんとか準備を済ませて家を飛び出す。正直電車に間に合うかどうか微妙な時間だ。


「美月! おはよー!」

「陽ちゃん! おはよ! 今急いでんの」

「もしかして次の電車? そんなに待ち合わせ時間って早かったっけ?」

「違う。手伝いに行くだけ。陽ちゃんたちはまだ!」

「ふーん。じゃあ、ついでだから俺も早く行く!」


 そう言うや否や、陽ちゃんは私の手を取って走り出した。流石バスケ部と言うべきか、陽ちゃんに手を引かれて走り出したとたんぐんと速度が上がる。


「ちょっと待って! 速い、速いって!」

「でも早くしないと電車遅れるぞ」

「それも困る……」


 足をからませないように走るのに精いっぱいの私に比べて、陽ちゃんはけろっとした顔をしている。これが運動部とその他の違いだろうか。


 駅に着いたころ、私は肩で息をしていた。確かに電車には間にあったけど! ちなみに陽ちゃんは息ひとつ乱していない。このぐらいでは運動にもならないということだろうか。


「大丈夫か、美月?」

「だ、大丈夫」


 いや、大丈夫じゃない。でもそんなこと言えないじゃないか。陽ちゃんも心配そうな顔で私の顔を覗き込んでいる。


 電車に乗って開いている席に座り、深呼吸しながら乱れた息を整える。陽ちゃんも私の隣に座って私の息が整うのを黙って待っている。


「ごめんね。でもすごく助かった」

「あ、いや。俺こそごめん。何も考えずに思いっきり走っちゃった。美月は女の子なのにな」

「そんなことはどうでもいいの! 私が運動音痴なのが悪いんだし!」

「そうか……?」


 陽ちゃんがしゅんとして項垂れている体勢から上目づかいでこっちを窺っている。その不安そうな視線に思わす心臓がどきりと跳ねる。な、何だ今の。


「ほ、ほら! もう大丈夫だから! ね?」

「ホントに……?」


 まだ不安そうにこっちを見ている陽ちゃんににこっと笑ってみせた。陽ちゃんはやっと安心したように微笑んだ。その笑顔にまたどきりと心臓が跳ねる。な、何なんだいったい!?


「美月?」

「見ないで!!」


 陽ちゃんから顔を背ける。だって顔が赤くなっているはずだから。

 陽ちゃんは不思議そうにしていたけど、それ以上何もいわず、2人で静かに電車に揺られていた。

書いてから思った。主人公格5人を差し置いて大地さんが一番誕生日早いってどうよww

まあ、私はお兄ちゃん好きですから? 何も問題ありませんww

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