第13夜
クリスマスが近い。だがまだ春だ!!
真冬に春の物語をお楽しみくださいww
はーるがきーたー はーるがきーたー どーこーにー きたー?
「んじゃ、テスト返すぞー」
「「もう!?」」
担任の遠峰先生が教室に入ってくるなりこんなことを言い出したのは、テストがあったその日。もう丸つけ終わらせたのかよ!? そう思ったのは私だけではなかったらしく、クラス全員の声がきれいにハモった。
「だって、授業のときとか返すのめんどいじゃん。今ならぱぱっと返してそのまま帰らせられるから。俺、授業とか時間とられるの嫌だし」
いやいやいや、他のクラスは授業のときに返さなきゃいけないでしょうが。しかしそんなことにはお構いなし。さっさとテストを返し始めた。
「おーい、次、如月ー」
「あ、はい!」
私は如月だから意外と早く順番が回ってくる。ぼーっとしてる間もなく名前が呼ばれる。
「ほい。よく頑張ったな」
そう言って笑顔で返される答案。よかったぁ。お咎めは無しみたい。
自分の答案に視線を落とすと、そこには96の数字。うん。まあまあかな。どこミスったんだろ?
「んじゃ、模範解答配るから全員席につけー。ちなみに今回のクラス平均は68。クラストップは96だ。採点ミスとかあったら持ってこい」
……ん? 今、なんと言った? クラストップ、96? ……私か!?
「みーつきー! どうだったー?」
「うわ、すご!」
そう声がして慌てて顔を上げると、そこには私の手元を覗き込んでいる陽ちゃんとゆかりちゃん。その視線の先には……私の答案!!
「うわ、ちょっと見ないで!!」
「いいじゃん。すごくいい点数でしょ、それ」
「うん……。クラストップだって」
「クラストップ!? 美月ちゃん、勉強できるじゃない」
ゆかりちゃんが大袈裟に驚いて見せる。そりゃ私もクラストップなんて初めてだからびっくりしてるけど。
「そこ、答えこうだよ」
そう言って私の間違えた漢字を書いて見せてくれているのは凜君。その後ろには引きずられてきたのであろう、大ちゃん。たぶん同じように何かしらのテストが返されたのだろう。その顔は蒼を通り越して白い。どんだけ悪かったんだ、この人。
「あ、そこそう書くんだ……。ちなみに凜君は?」
「うーん、この答案見る限り、満点じゃない?」
「流石……」
さらりと満点宣言ですか。流石です。流石としか言いようがありません。陽ちゃんはというと、模範解答を睨みつけて、必死に何やら計算しているようだ。
「あー!! 後2点足りなかった!!」
「な、何が!?」
陽ちゃんがいきなり大きい声出すからびっくりしちゃったじゃないか。しかも何だ、その今にも世界が滅ぶとでも言いたそうな声は。
「基準だよ。大地さんの。今回のテストでは65点以上で合格なんだって。それ未満はお説教」
「へえ、そうなんだ。大変だね」
「大変どころじゃないって。ホントに怖いんだから。特に国語は。……あー、今からもう足が震えてる」
そんなに? 後ろを振り返ると、大ちゃんも同じように自分の身体を抱きかかえて震えている。
「大知、お前も?」
「うん。しかも俺、国語8点も足んない。かなりやばい」
「あんたらいくらしぼられても懲りないからね。大人しく大兄の補習受けてきなさい」
あれ? お説教って補習なの? 遠峰先生教えるの上手だし、そんなに怖がることじゃないと思うんだけど……。
そんな私の疑問が顔に出たのか、ゆかりちゃんが説明してくれた。
「大兄はね、一回目とか、テスト前とかはきちんと丁寧に優しく教えるの。でもね、テストでちゃんと教えたことが出来てなかったり、努力を怠ったりすると、すんごいスパルタになるのよ」
「僕も一回だけ受けたことあるけど、なんて言うのかな、ただ怒鳴り散らすんじゃなくて、そのオーラというか気配というか、がめちゃくちゃ怖い」
凜君が受けたことあるんだ。そこが1番驚きです。
「そうそう。中学の初めてのテストのときね。凜君、あれで懲りて勉強きちんとするようになったんでしょ?」
「うん。もう2度とあんなの受けたくないもん」
怖……。マジで怖。凜君がここまで頭が良くなるきっかけになったって、どんだけ怖いんだよ。
「その時ね、大地さんに言われたんだよ。僕はやればやるだけ伸びるって。大知なんかはただ頭はたかれながら問題解かされまくってたけどね」
凜君が懐かしそうに笑う。その時は怖くても、今となってはいい思い出なのだろう。
「それから少し勉強真面目にやるうようになってから、今みたいになった。もともと僕、勉強嫌いじゃないし。何か一度真剣に向かい合ったら面白くなっちゃって」
結局ただの天才か!!
「大兄に伸びるって言われただけでここまで伸びたんだから、凜ちゃんもすごいわよねぇ」
「同感。ただの天才じゃん」
「別に。好きこそものの上手なれ、ってことじゃない?」
勉強が好きか。私にはとてもじゃないけど無理だな。でもそうやって好きでやれるのって羨ましいと思う。どうせ同じようにやらなきゃいけないなら、好きで楽しいほうがいいに決まってる。
「どうやったら勉強なんて好きになれるのかね……」
「どうって、考えたことないな……。気が付いたら楽しかったし……」
私の独り言のつもりだったのに、凜君が真剣に考え始めてくれた。その横顔が少しかっこよくてドキッとした。あれ、最近の私、ちょっと変だな。
「みつきー。俺、俺どうしよう」
まだ悩んでたのか、2人とも。すっかり忘れてた。
やーまにきーたー さーとにきーたー こーこーにーきたーww




