で、目的は?
疲れた……死んでんのに疲れるのか。
それはもう絵に描いた様にギャン泣きしたからね(苦笑)
【で……デュアルゴ様は何でウチに目を付けたのさ?ウチなんて何の取り柄もないしがないシングルマザーの保険屋おばちゃんだよ?】
「其方……自分をその様に卑下するでない。」
【そのさぁ〜そのお主とか其方ってやめてくんない?ウチには『ちひろ』って名前があるの!『佐藤ちひろ』!!】
「ではこれからはちひろと呼ぶ。ちひろよ、其方は不思議には思わなかったか?何故何処に居ても目を付けられるのか。」
【あぁー、目立たない様にしてるのに何でかなぁ〜とは思っていたよ。】
「それはな、ちひろが持って生まれた加護の力の一旦なのだがあちらの世界では全ての力を引き出せず、中途半端な作用で何と言うか……悪目立ちと言う感じになってしまった様だな。」
【???】
「そもそもちひろはこちらに産まれる筈であったのだが……あちらで保険屋の知識を学んで戻って来て欲しいなぁ〜って思ってなぁ〜ちひろの世界の神に預けたのだよ!私が加護を与えてな!!」
「ほら、ちひろさん、めちゃくちゃ忙しい時に寝ながら勉強会出てても試験満点合格してトントン拍子に保険屋さん入ったじゃん?あれ我が手貸したからね(笑)」
「だがちひろの才能は我も驚く程で、水鏡で様子見てた所にたまたまアルマが来ちゃって……《もう大丈夫そうですねー、お連れしまーす》って飛び出して行っちゃって。いやー参った参ったハハハ」
ゴゴゴゴゴゴ(怒)
【って事は何かい?ウチはアンタ等の都合で産まれて死んで今度はこっちで保険屋でもやれと?】
「落ち着いて!!落ち着け!!なんか我よりすんごい覇気出ちゃってる!!!」
《ひぃぃぃお許しください、お許しくださいぃぃぃい》
【小さい頃から必要以上に人の感情とか読み取れたりするのもアンタ等の仕業か?】
「仕業って……我、良かれと思って加護与えただけなのに……グスン」
【正常に作用しない加護など呪縛でしかないわ!!!】
「更に出ちゃってる!何か出ちゃってる!!!」
《キューーーッ》バタッ
ウチの怒りで精霊アルマが気絶した。
ワ〇ピースのシ〇ンクスになった気分だ。
「話を!話を聞いてくれ!!頼む!!!」
【……】
「我が作ったこの世界から人類が消えるのを止めて欲しいのだ!!」
【……人類が消える?】
「我が創りしこの世界、人が死にすぎて人口が減る一方なのに対し、基本的な保護の方法が確立されておらぬ。」
「魔物と呼ばれる動物達も我が創り出したのだが……独自に進化を遂げ始め人を喰い知能を得るものまで出てくる始末。その者達は魔族や魔人に進化し更に人類を苦しめているのだ。」
【アンタが創ったならアンタが消せば?】
「我が手を出せば……等しく皆消える……」
「魔物だけでは無く、人類も精霊も植物も……」
【ウチには関係ないね。アンタ等のせいでウチの人生めちゃくちゃにされて……それだけでは飽き足らずまだ何かしろとか調子良すぎて笑っちゃう!!】
「そうだな……だが、これだけは見てくれ。ちひろが産まれる筈だった、本物の両親になる予定だった夫婦だ。」
水鏡を覗き込む……
「我がねじ曲げた。それによってこの夫婦には子が産まれ無かった……。マクナシア大国の公爵家の者達だ。」
【……本当の両親……】
「この者達は人類の中でも本当に優秀で人格者なのだ。本来ならちひろが天授を全うして帰って来る予定だったので会わせる事は叶わない事だったのだが……本当に双方には我の至らなさ故多大なる迷惑を掛けた。だから……この機会にちひろ、其方をこの者達の所にと。」
【ってかこの夫婦、どう見てもウチ位の年齢じゃん?どういう事?】
「この世界の時間軸はちひろの居た世界より緩やかなのだ。故に寿命はちひろの世界の2倍程だ。まぁ……色々あって早死が多いのだが……。」
この創造神……バカだバカだとは思って居たけど……本当にバカだ。
まぁそれなら辻褄は合うか……
ウチが仮に80で天授を全うしたならその頃この夫婦は子供は難しい歳頃になるって事なのかな?
幾ら長命でも自然の摂理には抗えないって事なのだろう。
セコい手使いやがる……
本当の両親かぁ……
ウチの両親だと思っていた人達は……簡単にウチを捨てた人達だったからな……
「どう…だろうか……?我にチャンスを貰えぬだろうか?!」
【この夫婦の元に産まれ直して、成長したら保険屋やれって事?】
「最初はちひろに保険を広めて貰う事が目的だったのだが……それは二の次で良い。」
「まずはこの夫婦の元に産まれ、この世界を知り決めて欲しい。」
「この世界を大切に思えたなら……その時改めて考えて欲しい。」
【だぁーーーッ、保険屋やれって言われてもウチが出来るのは、プランを作成する事と保険の重要性を解く事だよ?契約書作ったり保険料の算出とか出来ないよ?!】
「それで良い!良いのだ!!ちひろに与えし我の加護はカリスマなのだ!!!保険屋を立ち上げるにあたり必要な人材は自ずと集まる!!!」
ハァ……めちゃくちゃ嬉しそうに親指立ててるんじゃないよ。
【簡単に言うけどさ、保険約款とかどうすんのさ?この場合は払われる払われないとかめっちゃ細かく書かれてるじゃん?紙とか印刷技術とかある訳?】
「その辺りは大丈夫だ!!ちひろにはスキルとしてビジョンを授ける!!ちひろの頭の中に思い浮かべた事をおデコを相手のおデコに付けるだけで流し込める!!!」
「このビジョンには色々なパターンがあって、相手が思い出したい時に何時でも思い出したり出来る物もあるのだ!!」
あぁーそれならまぁ出来なくは無いか。
それにいきなり完璧な保険なんて出来ないしね……
時代が変わればニーズも変わるのが保険の面白い所だ。
「それで…ちひろさん……転生して頂けますでしょうか……?」
【状態異常無効化と健康な身体、将来ボンキュッボンの美人、文武両道、一生金に困らない、イケメン性格良し浮気しない一途のマッチョと結婚、子供は二人以上が約束されるなら良いよ。】
「うわぁあああ、欲望ダダ漏れの脅迫」
【あぁん?(怒)】
「……じゃないですよねぇ〜、当然の条件ですよねぇ〜((汗))」
【あと、今世では女の子も産みたいし、動物に好かれるも追加で!!!】
「他にありますか〜?ハァ……」
コイツ……一発殴っても良いかな?
【最後に……両親に愛されたい。】
「分かりました。そこは我が手を貸さなくても保証しますがね。」
「ちひろにとってこの世界が素晴らしい場所になる事を願っていますよ。」
そう言うとデュアルゴは神様らしい神々しい笑みを私に向けると同時に、私は深い眠りについた。




