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悪女の悪あがき。2回目!~今度は親友の破滅フラグをへし折りたい~  作者: 杏仁堂ふーこ


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16.バック・グラウンド・ノイズ ~やばい、怒らせた~

 ロゼリアから追い出されるように執務室を出た四人――。

 ほぼ同時に大きなため息をついた。

 メロはその場に膝をついて崩れ落ちる。そんなメロを見てユウリはもう一度ため息をついた。

 少しの沈黙のあと、メロが声を震わせた。


「お、怒らせちゃった……会いに行く相手が元カレ二人にあんなヤバいガキなんて、嫌に決まってるじゃん……!」


 ユウリはもちろん、他の三人も最後の最後でロゼリアが苛立ったことに気付いている。

 六狼会へ行くことをやめないだろうことにも、気付いていた。

 ユウリはロゼリアが三日間の眠りから目覚めたあの日、ひどく焦ったロゼリアの顔を間近で見ている。

 一分一秒を争うような――。

 六狼会に拘る理由が何かあるのでは、と思ってしまってもしょうがない。


(……でも、あの調子だとまた何も教えてくれないんだろうな……。

 こっちの気持ちなんてお構い無しで、どんどん進んでいっちゃう……)


 三度目となるため息をついてしまった。

 その様子を見たジェイルがじっとユウリを見つめる。


「……真瀬。お前、何か心当たりがあるんじゃないか? 途中で何か言いかけだろう?」

「えっ?! あ、いや……」


 しどろもどろになるユウリを見て、アリスも横からずいっと迫ってきた。


「ユウリくん、何か知ってるなら教えて下さい!」

「べ、別に知ってるってわけじゃないよ……。ただ――」


 一度言葉を切る。

 ジェイル、アリス、そして膝をついているメロの視線が集中する。思わせぶりな言い方になってしまったことに気付き、慌てて両手を胸の前で左右に揺らした。


「ほ、本当に知ってるとかじゃないんです。

 今のロゼリア様の感じだと、周りが何を言っても聞いてくれないだろうなって感じただけで……。

 こうなったら僕たちができることって黙ってついてくくらいかなって……」


 そう言うとメロがゆっくりと立ち上がり、膝と手を軽く払う。


「確かにな。下手なこと言うと、”じゃあいい!”ってキレそうで怖い。キレると長いし根に持つから厄介なんだよな、お嬢は」


 やれやれとため息をつくメロ。ジェイルとアリスが「そうなのか」と言いたげな顔をしている。

 ――ユウリとメロは幼少時からロゼリアを知っている。

 行動パターンが読める時と読めない時があり、今は前者だ。

 ただ、どうして六狼会に拘るのかは全くわからない。


「……今できることはないということか」

「はい、何もしない方がいいと思います。拒絶されるのを覚悟して意見するのもありだとは思いますけど……」

「まぁ、ほぼキレられて終わるんじゃね? なんかすげー焦ってる気がするし」


 「だよね」とユウリはメロに同調した。

 ジェイルは渋い顔をして考え込んでいる。ロゼリアの安全を任されている身なのでよくわからない行動はして欲しくないのだろう。ユウリだって同じ気持ちだ。しかし、それでロゼリアに拒絶されては元も子もない。

 アリスは不満そうに口を尖らせている。


「なんだかなー……何かお困りなら言って欲しいです……なんでも言うこと聞くのに……」


 最初は拗ねた口調だったのが、最後には寂しそうなぼやきになった。

 ユウリの目には小さな子供のようで少し微笑ましく感じる。


「ひょっとしたら――去年急に行動を改めたみたいに、何か思惑があるのかもしれないね」

「……ユウリくん。去年傍でロゼリアさまを見てて、どう感じてたんですか?」

「それはもうずっと不思議だったよ、急にどうしたんだろうって」


 去年の夏――ロゼリアが突然変わった。

 一切の悪事から手を引き、自ら悪を裁くまでになったのだ。

 理由はわからない。でも、彼女が何かを焦って怖がっていたことには気付いていた。

 そんな去年と同じ気配を感じるのだ。

 だから、あの兄弟三人と会うことに不満はあれど、強く止めたいとも思わない。

 他の三人はどうだか知らないが、少なくともユウリは何も言わずについていくつもりだった。


 そんな感慨に耽っていると、何故かメロに脛を蹴られた。


「痛っ!?」

「おまえのその知ったような顔がムカつく! おれだってあいつらに会うのが気に入らないだけで、お嬢が何か考えてるっぽいのは気付いてるし!」

「べ、別に知ったような顔なんて……」


 そんな顔をしたつもりはない。慌てて否定しながら頬を押さえる。

 が、ジェイルとアリスがジト目でユウリを見つめてきた。


「いや、自分だけはわかってると言う顔をしていた」

「はい、ジェイルさんの言う通りです。……ユウリくん、そういうとこあるよね」

「えぇっ?!」


 フォローをしたつもりなのにこの責められよう。ユウリは立つ瀬を失くしてしまった。

 オロオロしていると、ジェイルがふっと笑う。


「真瀬のおかげで少し落ち着けた」

「……それって、僕で鬱憤を晴らしたってことですか……?」

「どうだろうな」


 ジェイルがしれっと言い放ち、メロとアリスがぷっ笑う。


 ――ロゼリアが変わって、みんなよく笑うようになった。他の使用人たちもロゼリアにビクビクしていたのが嘘のように楽しそうに働いている。

 彼女がしたこと全ては許せないが、「まぁいいか」と思う程度には絆されている。

 惚れた欲目かもしれないけれど。

お読みいただきありがとうございました。ユウリ視点でした。

次の更新は土曜日のお昼頃の予定です。

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