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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第6章 近未来装置と第3の妄想犯行
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33話 確定存在 小蒼ちゃん 前編

 第6章 近未来装置と第3の妄想犯行


 確定存在小蒼ちゃん 前編


【202X 1月20日 PM13:00】

【まほらぎ市 ハイツまほらぎ】


 森咲杜鷹(もりさき もりたか)である僕の自宅で、僕の大切な人である雪護喜冬(ゆきもりきふゆ)さんと妄想犯行計画、トリック研究会についての情報共有を行っている。



「いい? 杜鷹君。トリック研究会は、確かに犯人側の視点で考えるサークルだったよ。でも萬屋赤葉事件帳のオリジナルトリックと妄想犯行計画の暗落(やみらく)の妄想犯行は、全く違う視点から組まれていたトリック…………第一、あんな、個人情報入りのICチップコインと近未来的な高性能ペアリングスピーカーが登場するなんて、予想できるわけないじゃない」

「うん、確かに……第1の妄想犯行も高性能換気システムが鍵だったんだよね……SFに出てくる様な網膜スキャンがなぜかあってさ、びっくりしたんだよ」



 第1の妄想犯行は、K.S換気システムと臭い干物がトリックを暴く鍵で、第2の妄想犯行は、新年の幸せコインと会議室のペアリングスピーカーが、トリックを暴く鍵であった。



「うん、だからね、杜鷹君。私が書いたトリック研究会で書いた萬屋赤葉のメモ集は役に立たないの……そもそも探偵に暴かれないトリックを考えるなんて、ただのサークル内の遊びだよ」

「うーん、確かにね……。小蒼(こそう)ちゃんに聞いてみるか」



【KokuSouS起動中………………】

【ようこそ、森咲杜鷹!】



 ピロロロ〜ロロ〜! ピロロ〜ロ〜!



 ――なんで屋台が来てるんだよ……ラーメン?



『うんうん、美味しい……あっ! 何、杜鷹? 小蒼はただ今、食事中、後にして!』

「なんで、ラーメン食べてるの、小蒼ちゃん?」

『ふっ――なんで? ラーメンを食べるのに理由がいる?』

「いいや、いらないよ。でもまほやぎプラネタリウム内に屋台のラーメン……美味しそうだね」

『ふっ――うん、美味しい。だから後にして!』

「杜鷹君、後にしよう……ごめんね、小蒼さん」

『ふっ――なんで喜冬がいるの? まっ、いいけど』



 1時間後…………



 僕と喜冬さんは、KokuSouSの3Dデスクトップ画面内で、美味しそうにラーメンを何杯も啜る小蒼ちゃんの姿をずっと眺めていた。



 ――満腹中枢、どうなってるんだろ…………



『ふっ――お腹いっぱい、ご馳走でした……

 あっ、まだ見てたの? 何が聞きたいの、聞いてどうするの?』

「小蒼ちゃん、あのさ、あの子の用意した妄想犯行なんだけどさ……」

『ふっ――あの子の妄想犯行は、暴かれる側の妄想犯行計画ゲームルール内で、トリック構築をしているからルール違反じゃないよ、でっ? 何が聞きたいの?』

「小蒼さん、あの子が使用するあの近未来

 設備は、暴かれる側の妄想犯行計画の標準仕様なの?」

『ふっ――それを聞いて、2人はどうするの? ……強いて言うなら、杜鷹がSF映画が好きだったからでは? 杜鷹の想いが核の中心で、その周りを貴方達の世界の人が捨てた幾つもの想いが集まって、妄想犯行計画がその想いに反応して近未来な装置があるだけ……それをあの子が使ってるだけ。 ていうか、杜鷹の絶望の未来からハッピーエンドの未来を掴む想いの契約から妄想犯行計画が生まれたこと、忘れてない?』

「忘れる訳ないじゃないか。僕が忘れてたら、小蒼ちゃんと今、話もしてないだろ?」

『ふっ――確かにね……忘れる……あの子は理解しているのかな? ――ふっ』

「あの子が忘れる? どういうこと、小蒼さん?」

『ふっ――あなた達が、妄想犯行計画でゲームオーバーしたら、ほこやぎ町から排除されて、杜鷹と喜冬という存在の1秒1秒を、絶望の未来へ到達するまで1秒168秒になる様に、時計の針を回す代償が待ってる。でも逆にあの子にもちゃんと代償があるし、あなた達が妄想犯行計画をゲームクリアしたらあの子の代償が分かるかもね』



 ――あの子にも代償が……いや、それよりも。



「時計の針を回すって、どういうことだよ! 小蒼ちゃん」

『ふっ――簡単に言えば、杜鷹達がいつも見てる萬屋赤葉の事件帳の動画のシークバー、アレだよ。つまり、杜鷹達の瞳が映す景色、人の動きが168倍早送りされる、タイムスリップみたいなモノ』

「シークバー? 人の動き? タイムスリップ? 説明になっていないよ、小蒼ちゃん!」

『杜鷹達の視界に今、再生ボタンとか見える? 見えないよね?』

「再生ボタンとか? 見えないよ、見えるわけないじゃないか」

『ふっ――視界に右の矢印が2つ見えてきたら、それが代償という事を覚えておいてね』

「さらっと言ってくれたけど……今、僕と喜冬さんがその状態になっていないなら、僕たちは今の時点でゲームオーバーにはなっていない、そういうことだろ、小蒼ちゃん?」

『ふっ――正解』

「だから、暴く側である僕と喜冬さん、暴かれる側であるあの子、どちらかが未来を掴む為の町、それが妄想犯行計画 ほこやぎ町か……」

『ふっ――そう言うこと。だから現実世界であの子がトリックを構築して、ステージ解放をするまで、次のステージは解放されない。私はただ、あなた達がルール違反をしていないかこのプラネタリウムで見てるだけ、それと喜冬は、次のステージではルール2通りに探偵ヘルプとして事件に介入はできないから』



 妄想犯行計画のゲームルール2の探偵ヘルプは、萬屋赤葉などの探偵を呼出ができる機能だ。

 一つの妄想犯行につき、暴く側である探偵側の探偵ヘルプとしてのサポートは1人。

 でも犯人を暴く権利があるのは、探偵である僕だけだ。

 僕が事件を解決して、ステージクリアをすると、その妄想犯行に参加した探偵ヘルプは、次の妄想犯行を僕がクリアするまで、お休みになる。

 第1の妄想犯行では、赤葉さんが探偵ヘルプで、第2の妄想犯行では、喜冬さんが探偵ヘルプだった。

 次の妄想犯行では、赤葉さんが探偵ヘルプになるはずだ……



「うん、分かってるよ、小蒼さん。でも現実世界で杜鷹君のサポートするぐらいなら良いのでは?」

『ふっ――喜冬は相変わらず賢いね……でも境界線をうっかり越えない様に気をつけてね、2人とも…………あっ、すいません、まほやぎ味噌ラーメン、お願いします』



 また小蒼ちゃんは、ラーメンを啜り始めた。



「杜鷹君と次の妄想犯行の探偵ヘルプは、赤葉さんということね。妄想犯行計画にログインして、記録局で1日過ごして、ログアウトの繰り返しをしている私たちだけれど、あの子が次の妄想犯行のステージ解放をいつするのかは、あの子ではない私たちには分からないから待つだけ……」



 ピンポン! ピンポン!



「ん、誰だろう? はーい!」



 こんな休日に誰だろうか。

 僕は、インターホンを鳴らした相手に対応するべく、玄関へと向かった。



「あっ、すいまーせん、こんな休日の昼間に……起こしちゃいましたか?」

「いいえ、何か御用ですか?」

「お兄さん、太陽光発電って、興味ありますか?」

「あ、そういう類のお話は、お断りしてますので、他をあたってください」

「いい話なのに……また興味があったらご連絡くださいね!」



 諦めた太陽光発電のセールスマンは、僕に太陽光発電のセールスチラシを強引に渡して帰ってしまった。



「どうしたの、杜鷹君? あー、そのセールスの会社。私の家にも来たよ、怖かったから出なかったけど……」

「そうなんだ、はぁ、出なければ良かったよ」

「あっ、もうこんな時間。私、帰るから、また向こうで会いましょ、杜鷹君」

「うん、また向こうで、喜冬さん」



 喜冬さんは、妄想犯行計画の舞台であるほこやぎ町へログインする為に帰って行った。

 僕は、どうしても確かめなければならない事があって、KokuSouSPCの前に座った。



「さてと……ふぅ……あのさ小蒼ちゃん、あと僕の脳は、どれぐらい耐えられるんだ?」

『ふっ――なんのこと? 脳への負担のこと? だからそれは心配いらないって、いつも言ってるよね?』

「そうかな? 第一、五感転送も含めて脳の意識をどうやってほこやぎ町へ飛ばしているのか、まだ説明してもらっていない」

『ふっ――説明? 幾つもの世界を渡る刻想器は、無限大にある世界を渡る存在。命あるモノが選択をする限り、刻想器はいる。だから大丈夫』

「だから大丈夫って、説明になってな…………ん? それって、SFモノでよくあるパラレルワールド物の定番設定じゃないか」

『ふっ――正解。非確定存在刻想器……なら、今画面の向こうで杜鷹が見ている私は何?』



 僕の目の前にいるACアダプターが無い、KokuSouSという如何にも高級そうなゲーミングノートの3Dデスクトップ画面の中にいる少女は……



「僕と刻想契約した者……小蒼だ」

『ふっ――正解、だから私は日本、まほらぎ市にKokuSouSという一台の機械の器、確定存在――願いを叶えるのでは無く、ヒトの想いを叶えるモノ、かつて刻想器だった一柱、小蒼としてあなたの側にいるの』



33話 確定存在小蒼ちゃん 前編 完。

34話へつづく!

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