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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第5章 森咲杜鷹と雪護喜冬と第2の妄想犯行
35/38

32話 第2の妄想犯行 解決、終幕篇

 

 第2の妄想犯行 解決、終幕篇


【202X 1月1X日 PM16:00】

【ほこやぎビル 4階 ほこやぎ商事 空き会議室】



「森咲君、一つ聞いてもいい?」

「どうしたの? 雪護(ゆきもり)さん」



 中崎杏さんが、ほこやぎ署へ連れて行かれた後、僕は現場に残っていた、八色警視と少しだけ話をした後、喜冬さんと帰ろうとしていた。



「結局、中崎さんの犯行で使われた幸せコインは、何枚使われていたの?」

「何枚使われていたのか? 逆に雪護さんが、中崎さんだったら何枚使ってたの?」

「えっ? どういうこと?」



 喜冬さんに僕が説明した時、八色(やいろ)さんが間に入った。



「雪護さん。同じ様なコインが、複数枚あるのだとしたら、どれがどのコインなのか把握できる?」

「そうですね……目印つければ把握は可能です」

「そうね、目印をつければ、把握はできるわよね? 杜鷹君は、そこから逆算したのでは?」

「そうです、中崎さんはどれがどのコインか、ほぼ把握はしていたと、僕は考えています。

 だから東川(あずまかわ)さんのコインを排水路の中へ隠した……

 しかしでも予想外の事が起きた結果、ほこやぎ寺に行くしか、中崎さんは選択肢が無くなってしまった」

「選択肢が無くなった?」

「そう。それは――」


 中崎さんが、入れ違いが発生している事に気付いていなければ、ほこやぎ寺へ幸せコインの所有者照会に行く必要がない。

 僕があの時、ロッカーにぶつかっていなかったとしたら、あの音声データだけでは中崎さんが、山北さんを落とした事になる可能性が低くなってしまうだろう。



「杜鷹君の読み通りに、中崎さんが照会申請をした。でも中崎さんが持っていた最後の幸せコインの1枚が、ほこやぎ寺で回収されてしまった。

 この計画で、最終的に中崎さんの手元に残るべき、幸せコインは1枚だけ。

 ここまでは大丈夫? 雪護さん」

「はい、続きをお願いします」



 八色さんの話を聴きながら喜冬さんが、白いスマホを操作しているけど、何をしているかは、僕からは見えない。


「では何故、中崎さんが今日、会議室に来なければならないのか、分かる?」

「証拠隠滅の為ですか?」

「そう。今回の事件で、中崎さんが使用したと思われる幸せコインは、中崎さんが、サッシの排水路の雪の中に隠して、ビルメンテナンス業者が、雪を溶かしたビル裏に落としたツアー企画部の東川(あずまかわ)さんの幸せコイン。

 山北さんを窓際へ誘導する際に使用した結果、転落直後の山北さんの所持品から見つかった、ほこやぎ商事の社員さんと見ず知らずの人の2枚の幸せコイン。

 あとから回収する為に、中崎さんがわざと備品ロッカーに隠した自分以外のはずだった幸せのコイン。

 それと中崎さんが、犯行後から昨日まで持っていた自分の物だと思い込んでいた幸せコイン。

 合計5枚の幸せコインよ…………でも本来なら5枚目ね幸せコインは、存在してはいけないの」

「存在してはいけない5枚目のコインですか?」

「ええ、そうよ。だから昨日、中崎さんがほこやぎ寺へ行く理由になった幸せコイン。

 でも、照会した幸せコインの持ち主は、中崎さんでは無い、幸せコイン。

 その幸せコインを警察が照会した結果、山北さんが幸せコインの持ち主であり、存在してはいけない5枚目のコインの正体。

 個人情報入りの幸せコインを、赤の他人の照会者である中崎さんへ、そのまま返すとは考えらない。

 その時、中崎さんは、あのロッカーに隠したのが、自身の幸せコインだと気付いたから、回収するタイミングを伺っていたと……杜鷹君は考えた」



 この結果から推理できる事は……

 会議室から山北さんが転落させられるどこかのタイミングで、山北さんは幸せコインを落とした。

 それが存在しないはずの5枚目の幸せコインで、中崎さんは恐らく回収して、あとから回収できる様に、備品ロッカーに隠した。

 ほこやぎ町の住人の多くは、明堂警部と同じ様に、ほこやぎ寺の新年の幸せコインを持っている。

 幸せコインが会議室に落ちていても不思議ではない。

 手元に残った1枚の幸せコインを、中崎さんはほこやぎ寺に持って行き、照会申請を行った。

 それが本当に中崎さんの幸せコインであれば、中崎さんに返却され、中崎さんの手元には、1枚コインだけが残る。

 そうすれば、ロッカーの中のコインを回収する必要がなくなる。

 でも中崎さんの思い通りにはならなかった。



 だから僕は、八色さんに頼み事をした。

 事件から2日後の今日の朝礼で、調査が終わったという嘘の情報をほこやぎ商事全体で、情報共有をしてもらことで、お昼過ぎに空き会議室に、ロッカーの中のコインの持ち主が現れるはずと、僕は考えた。

 僕の考え通り、今日の12時頃に中崎杏さんが現れ、会議室に入って行った。

 そこから約20分、中崎さんは電気も点けず、ロッカーにあるはずの隠した幸せコインを探していたのだ。



「…………という訳なんだ、雪護さん。八色さん、ありがとうございます」

「いいえ、雪護さんは分かっていたのでは? 後から私宛に報告書を送るのが、萬屋記録局の仕事であると」



 ――え? それは局長の赤葉さんの仕事では?



「もしかして森咲君、今回の事件、依頼じゃないから報告書はいらないと思ってた? そんな訳ないじゃない、ですよね? 八色警視」

「流石ですね、雪護さん…………じゃ、そう言う訳だから。杜鷹君、私は、あなたの報告書を待ってるからね」

「嘘だ……嘘だぁぁぁ」



 ログアウトしたい…………いやでも僕は、逃げない、今の僕は、ほこやぎ町在住、萬屋記録局局員で五感の仮想探偵である森咲杜鷹(もりさき もりたか)なのだから!



【202X 1月1X日 PM18:00】

【ほこやぎ町 萬屋記録局前】



「嘘っ……嘘っ……」

「杜鷹君、そんなに落ち込まなくても良いじゃない…………

 でも杜鷹君は、あんな感じで1人で24時間以上、あの子の第1の妄想犯行を暴いたんだね」

「臭い干物のトリックだったけどね、でも今回は喜冬さんのサポートがあったから助かったよ」

「どういたしまして、じゃあ報告書を頑張ろう、杜鷹君!」

「よし行こう!」



 僕は今から、仮想の五感探偵から仮想の五感職員として、萬屋八色警視への報告書を書くために、萬屋記録局の扉を開けた。

 しかし記録局の中は、何故か真っ暗だった。

 まだ赤葉さんは帰っていないはず…………どこに行ったのだろう。



「森咲君、赤葉さん達、どこに行ったんだろうね」

「今日の朝、赤葉さんは遅くまでいるって、言っていた様な…………」



 バーン! バーン! バーン!



 ――クラッカー? でもどうして?



 記録局の中で、突然鳴り響いたクラッカーと共に電気が点き、僕たちの目の前には赤葉さん、白葉さんがいた。


「杜鷹、喜冬、おかえりー! 待ってたわ! ようこそ歓迎会、今からやるよ!」


 呆然と立つ僕と喜冬さんに、現実世界の僕達が本来知っている萬屋赤葉ではない、萬屋赤葉である女の子。

 この女の子とその姉の女性は、歓迎会パーティーをする為に、僕達を待っていたのだ。

 これが今の僕たち、森咲杜鷹(もりさきもりたか)雪護喜冬(ゆきもりきふゆ)の瞳が映す、もう一つの現実世界。


 妄想犯行計画ほこやぎ町だ!


 32話 第2の妄想犯行 解決、終幕篇 完。


 第5章 森咲杜鷹と雪護喜冬と第2の妄想犯行 終章


 次章 第6章 近未来装置と第3の妄想犯行

 33話へつづく!

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