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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第5章 森咲杜鷹と雪護喜冬と第2の妄想犯行
33/38

30話 第2の妄想犯行 解決篇 Part.1

 

 第2の妄想犯行 解決篇 Part.1


【202X 1月1X日 PM12:20】

【ほこやぎ商事 空き会議室 転落現場】

【残解決時間 93時間40分】


「あれ? 無い、無い……確かに会議室で……」


 ああ、どこにいったの? 会議室にあったはず。

 あれ……あれ……ない、ない、20分前からずっと探してるのに……どこに行ってしまったの?



「やっぱり、来ましたね。待ってましたよ」


 はっ! 男の人の声が聞こえたと同時に会議室の電気が点いた。



 パチン!



 お昼休憩に入った直後、20分もの間、会議室で何かを必死になって探しているその人へ、僕は声をかけた。

 というよりもこの人が会議室へ来て、それを探している様子を会議室の扉の小窓から見ながら、この人へ声をかけるタイミングを僕はずっと待っていたのだ。



「山北さんを転落事故に見せかけて殺めたあなたは、今日この会議室にあれを回収しにくるはずだと、推測し、あなたをずっと待っていたのです」

「え? なんのことですか……警察でもない一般人であるあなたにそこまで言われる覚えはないのですけど……名誉毀損で訴えますよ」

「そうですか……では八色さん、お願いします」



 僕の合図と共に喜冬さん、八色さん、明堂さんが会議室に入ってきた。



「あなたは確か…………萬屋さん? でも今日の朝礼で、山北さんの事案の調査は終わった、と聴きましたが……」

「はい、今回の事案の責任者、警視である私、萬屋八色からほこやぎ商事の上層部の方々に協力していただきました。それと私は、彼から今回の事案に関する彼の考えを明堂警部と共に聞いています。

 しかし私達警察官へあなたが犯人だと彼が名指しした以上、彼にはあなたを名指しした理由を説明する義務がある。彼の考えがもし事実無根の考えであるとあなたが判断したのであれば、私は彼を名誉毀損の現行犯で手錠をかけます」

「……あなたがそこまで言うなら、分かったわ、話を聞いてあげる」



 殺めた人が話を聞くという言葉を聞いた小蒼ちゃんが、僕の脳内に直接語りかけてきた。


『この人が犯人だという推理と証拠、杜鷹は持ってるの?』


『もちろんさ、小蒼ちゃん!』


『じゃあ、探索は終わりね』


 その言葉と同時に僕の視界に映る、虫眼鏡の帽子を被ったアイコンが帽子を被った吹き出しマークへ変更された。



 『はい、杜鷹の推理を話してよ』

 『もちろんさ! 小蒼ちゃん』



 あの子の2つ目のトリックを暴く為、あの子が組み立てトリックであるこの第2の妄想犯行について、僕の考えを話させていただく。



 【202X 1月1X日 PM15:00】

 【ほこやぎビル 入口】

 【残解決時間139時間】



 僕と八色さんは今、ほこやぎビルの入口にいる。


「じゃあ、杜鷹君と雪護さんは白葉のお弁当を届けに来たの?」

「そうです、僕たちがここに来て、すぐに白葉さんがエレベーターから降りてきたのでお弁当を渡しました」

「そこまでは不可解な点はないわね」

「はい、そこまでは、です」

「そうね……悲鳴が聞こえたのは、その後?」

「そうです、悲鳴が聞こえたのは渡して、すぐでした」

「そう……じゃあなぜ杜鷹君は、ビル裏だと分かったの?」



 悲鳴が聞こえた方角が、なぜビル裏だと分かったのか?

 それは悲鳴が聞こえた、あの時間はオフィス等会社の昼休憩前の時間であり、それを裏付ける様に人の通りが少なかった。

 悲鳴を聞いて、振り返る人はいたが、自分たちの周辺から聞こえた悲鳴や人通りが多くなる昼休憩中だったら、すぐに人集りができるはずだ。

 しかしあの時の悲鳴はかなり大きかったはずなのに誰、1人としてビル裏へ行く事はなかった……

 つまり視界から得た情報と耳から得た情報が噛み合っていないと……気のせいだと思ってしまう可能性が高いのだ……



「つまり、杜鷹君は白葉にお弁当を渡した時も視界で情報を集めてたの?……ふ」

「え? 何かおかしいこと言いました?」

「いいえ、杜鷹君に人間観察趣味があったなんて……意外ね、だから西坂さんのあの犯行も解けたわけね」

「まあ……そう言う理解で大丈夫です……」

「確かに周辺の防犯カメラを確認してもらったわ、君の言う通り、ほこやぎビルの方を向いた人は、いたけどすぐに去って行った事は確認できてる」



 ――確かに人間観察は偶にしてるけど、八色さんほどではないよ……



「まあいいわ、じゃあ次、ビル裏へ行きましょうか?」

「はい、分かりました」



【ほこやぎビル ビル裏 転落現場】


 僕と八色さんは山北さんが転落した現場へ来ている、次に八色さんへ説明すべきことは、僕と喜冬さんが封鎖エリアのシートの中で見つけた東川さんの幸せコインの件だ。


「では杜鷹君、コインの謎を教えてもらえる?」

「はい、幸せコインは……」


 なぜあの時、僕が見つけた幸せコインが、鑑識さんの報告に無かったのか?

 その答えは、この冬の環境が関係している。



 チャリン!



「コイン? でもどこから?」

「八色さん、あれですよ、あれを見てください」

「あれは……ビルのメンテナンス業者?」

「そうです! 白葉さんに聞いたらあの時間はいつもビルメンテナンスの業者さんは、窓の清掃業務をしているみたいです。昨日もこのエリアを僕が調査している時も窓清掃をしていたそうです」

「それとコインが何か関係があるの?」

「あれを見てください、ビルの窓の下についてる物を

 」

「あれは、窓下のサッシの排水路?」

「そうです、ビルメンテナンス業者さんは、窓を拭きながら窓のサッシの排水路に積もった雪をお湯で溶かして、窓清掃をしているみたいです」

「なるほどね。なぜ東川さんのコインがサッシ下の排水路にあったの?」

「それは、もし事故と判断されなかった場合に東川さんが殺めた事にする為です」



 ブルーシート内の封鎖区域で僕が幸せコインを見つけて、明堂さんに渡す時、明堂さんは鑑識さんから報告を受けていないと言っていた。

 鑑識さんや他の警察菅の方がいたあの時間に殺めた人が、幸せコインを空き会議室から落としたなら音が鳴ってしまう。

 でも昨日のほこやぎ町は氷点下零度を下回る気温で、雪が降っていた。

 だから雪が積もったサッシの排水路付近に幸せコインを隠しておけば、ビルメナンテンス業者がお湯を溶かしながら窓を拭く際にコインは落ちる。

 まさかそんな場所にコインがあるなんて、誰も思わない可能性が高い。

 雪が積もった地上にコインが落ちても音はならない。



「なるほどね…………K.S換気システムを使ったトリックを自然環境化でコインを運んだ、と杜鷹君は考えている訳ね」

「はい、そう言う事になります」

「分かったわ、でもそれだけでは不十分なのは、あなたが一番分かってるわよね?」

「はい、もちろんです?ここが殺めた人の計画的犯行に辿りづけない1つの原因なのです」

「八色さん、山北さんの所持品の中に幸せコインは入っていましたか?」

「ええ、2枚入っていたわ。2枚目共、山北さんのでは無かった」

「やはり。誰のコインか分かりましたか?」

「明堂君にほこやぎ寺に紹介してもらったら、1枚目はほこやぎ商事の社員さんだった。2枚目は、ほこやぎ商事とは無関係の人だった」

「そう来ましたか…………持ち主の方は?」

「明堂くんが持ち主へ確認したら、2枚目の持ち主はほこやぎ寺の暗闇迷路で、落としたらしいわ」

「分かりました、ありがとうございます」

「ちなみにこのコインは誰のかしら?」

「それは明堂さんから借りた幸せコインです」



【202X 1月1X日 PM14:00】

【ほこやぎ商事 空き会議室 転落現場】

【残解決時間 92時間】


 

「…………と言うことです」



 コインの持ち主で、山北さんを転落事故に見せかけて殺めた人物へ、ここまでの僕の考えを伝えた。



「…………あなたのいいたい事は分かった。でもそれだけでは自分が山北さんを事故に見せかけて、殺めることにはならないと思いますがね」

「そうですか…………あなたが探していたのはこれではないですか?」

「…………なぜあなたがそれを持っているの?」

「あなたがここに来た理由はそうですね…………この幸せコインを探しに来たから……違いますか?」

「…………チッ、なぜ分かった?」

「このコインは、あのロッカーの中にあった物です。あなたが後から回収できる様にする為……」



 そう、このコインの持ち主は山北さんでもなくほこやぎ寺で落とした人のコインでもない。

 このコインの持ち主は山北さんを殺めた人物だ。



「今回の事件の関係者について、白葉さんや八色警視、明堂警部の情報から、山北さんが東川さんに対して行っていた一連の行為と類似点があったのは、あなただけなのです。ほこやぎ商事備品管理部所属の中崎杏さん」

「……チッ、でもまだ私が山北さんが転落した時、会議室にいた証拠にはならないわ」

「いいでしょう。それも今からお話しましょう」

 


 コインだけでは中崎さんがいた転落当時、会議室にいた証拠にはならない。

 中崎杏さんのトリックを暴くには、この会議室に確かにいたと言う事実を中崎さんに伝える必要がある。

 会議室に中崎さんがいた事実を示す1つの目の証拠は、中崎さんが探していたこの幸せコイン。

 このコインの持ち主が中崎杏さんである事は、ほこやぎ寺から照会結果を貰った明堂さんからの報告を聞いた僕は、もう知っている。



「あなたが会議室にいた理由の2つ目は、山北さんが嵌めていたゴーグルです」

「ふ、それが何か? あのゴーグルはツアー企画部に頼まれて、簡単には外れない様に改良したゴーグルよ。私がどうやって山北へ嵌めたと言うのよ」

「中崎さん、僕は嵌めていたゴーグルとしか言っていません。なぜあなたが山北さんが嵌めていたゴーグルが改良されたゴーグルである事を知っているのですか?」

「チッ、私としたことが……ミスったわ」



 中崎さんが今、言った山北さんが嵌めていた改良されたゴーグルが、中崎さんが会議室にいた2つ目の点だ。


 30話 第2の妄想犯行 解決篇 Part.1 完。

 31話へつづく!

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