思い出
翼は皆で喋っていた時のことを思い出す……
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(高校・放課後)
夕日が差し込む屋上に、5人の影が伸びていた。
風は心地よくて、誰もが少しだけ時間を忘れて笑っていた。
佐藤龍「はいはい!次、美乃な!“付き合うなら誰がいいか選手権”!さぁどうぞー!」
加瀬美乃「は!?またそれ?もうやだよ〜!」
窪田千紘「……いいから、言いなよ。私が見届けてあげる」
美乃「千紘まで乗っかる!?」
五木田賢治「まぁ、お前は正直に言うタイプじゃん。
ちなみに俺は、お前を選んでおく。将来安定しそうだから」
美乃「なんかすっごい打算的!!」
(全員:笑)
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鳥越翼「……なんか、こういうの、ずっと続く気がしてたな……」
(その呟きに、一瞬だけ空気が和らぐ)
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龍「お前さ、ほんとに“普通の幸せ”好きだよな」
千紘「うん。でも、翼くんのそういうとこ、嫌いじゃないよ」
美乃「あ〜〜千紘が珍しくデレた!録音すればよかった〜〜!」
賢治「録音より、録画のが使えるぞ。証拠として」
千紘「……どんな裁判を想定してるのよ」
(再び笑い)
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屋上のフェンスにもたれながら、
5人は缶ジュースを持って、だらだらと喋っていた。
将来の夢、受験の話、好きな教科、嫌いな先生、くだらない噂。
そんな何気ない会話のひとつひとつが、
まるで宝物みたいにキラキラしていて。
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ふと、翼が夕焼けを見つめながら呟いた。
翼「……俺、このメンバー、好きだな。
こんなに安心できる人たちって、今までいなかったから……」
(全員が、ふっと静かになる)
千紘「……うん、私も」
龍「そりゃあ、俺もだな」
美乃「このメンバーなら、卒業してもずっとつながってられそうな気がする」
賢治「ま、俺たち、バカだけど……案外いいコンビかもな」
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(翼、少し俯いて)
翼(心の声)
「俺は――
この空気を、
この関係を、
この“仲間”を――
ずっと大事にしよう




