表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

最初のゲーム「嘘発見ゲーム」



経過時間:3日目 朝

壊れ始めた信頼の中、運営が次に提示したのは――言葉の矛盾で犯人をあぶり出すゲームだった。



---


(部屋、朝。誰も口をきかないまま、沈黙が続いている)


「「3日目の朝です。

 本日から、“嘘発見ゲーム”を開始します」」


「「ルールは単純です。

 ・運営から出される“お題”に、順番に答えてもらいます


 ・必ず真実を答えること

 ・ただし――“犯人だけは嘘しか答えられません”

 ・3つの質問終了時、全員で“誰が犯人か”を議論してください

 ・間違えた場合、罰があります」」



---


美乃「嘘しかつけない……? どういうこと?」


賢治「つまり……犯人は、正直なことが言えないってことだな。

 たとえそれが自分にとって都合が悪くても、“真実”は言えない」


千紘「うそしかつけない……か」


龍「どうやって見抜くんだよ。そんなの……」



---


「「では、第1のお題です。

 “昨日、あなたは誰を最も疑っていましたか?”」」


【順番:千紘 → 美乃 → 賢治 → 龍 → 翼】



---


千紘「……私は、美乃。

 私へのいじめの件で、嘘をついてるかもしれないと思ったから」


美乃「私は……千紘。

 昨日、妙に感情的で、あの暴露を利用してるように感じたから……」


賢治「……俺は、千紘

 はっきりいって何を考えてるか分からなんからな」


龍「俺は翼。

 ずっと“信じよう”って言ってて、何か企んでるように見えた」


翼「……俺は、誰も疑ってなかった。

 信じたいって思ってたから」



---


「「第2のお題。

 “この中で一番信頼しているのは誰ですか?”」」


【順番:美乃 → 賢治 → 龍 → 翼 → 千紘】



---


美乃「翼くん。今も、少しだけど……信じたい」


賢治「……千紘だな。昨日も冷静だった」


龍「誰も信じちゃいねえけど……強いて言うなら、美乃」


翼「千紘。今は一番、正直に向き合ってる気がするから」


(このタイミングで千紘の顔に、ゆっくりとした「笑み」が浮かぶ)


千紘「ふふ……私も、翼くんかな。

 でもね……“信頼”って、簡単に崩れるものなんだよ……?」


翼(………千紘??)



---


「「第3のお題。

 “この中で“最も自分に都合の悪い情報”を握っていると思う人物は?”」」


【順番:賢治 → 龍 → 翼 → 千紘 → 美乃】



---


賢治「……龍。昨日のゴタゴタで疲れたわ」


龍「賢治。裏切りは一回だけじゃなかったかもしれねぇからな」


翼「……美乃。昔の俺の家のこと、知ってたし……」


千紘「ふふっ……みんな、上手に隠すね。

 でも、私は賢治かな。“何か”をずっと、隠してる気がするから……」


(賢治、ぴくっと眉が動く)


美乃「私は……千紘。なんか、全部お見通しって顔してるの、怖いよ……」



---


沈黙が落ちる。

3つの質問は終わった。


千紘が、静かに立ち上がる。

その口元には、依然として笑みが浮かんでいた。



---


千紘「さて――嘘つきは、誰でしょう?」


(全員、千紘を見る)


千紘「私は、こう思ってる。

 “嘘しかつけない”というルールは、ものすごく不自由。

 それはつまり、“真実を隠す”だけじゃなく、

 “自分が本当に思っていることを、言えない”ってこと」


(千紘、ゆっくりと歩きながら、皆を見渡す)


千紘「例えば、“一番信頼してるのは誰?”という質問で、

 “千紘”って答えた人が2人いた。

 ――賢治さんと翼くん。

 ……それって、“ほんと”?」


賢治「……あぁ?俺は……そう思ったから答えたまでだ」


千紘「でも、“あなたが最も疑っている相手”に、私の名前を出したわよね?」


(その言葉に、賢治の目が細くなる)



---


千紘「矛盾。

 その言葉が、このゲームのカギだよ。

 矛盾こそが、“嘘つき”の証だから」


(千紘、にぃっと笑う)


千紘「面白いね、これ。

 人って、隠してるものが多いほど、矛盾を作りやすい。

 でも、それが一番、バレやすいんだよ?」



---


美乃(小声)「……千紘?」



---


「「それでは、10分間の“話し合い”を開始してください」」


「「この時間が終わったら、“犯人”を指名してもらいます」」



---


(その瞬間、カメラのようなものが「カチッ」と音を立て、部屋の天井から照明が一段階明るくなる)


皆の影が、はっきりと映し出される。

照らされる本性。暴かれる言葉。

そして――その中のひとつだけが、偽りの光を帯びている。



---


(???)

「ちっ……うるせぇ女だ……!

 このまま黙ってりゃ、乗り切れる……乗り切れる……!!」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ