暴露
経過時間:12時間
密室に閉じ込められてから、半日が過ぎた。
時計はない。外の光もない。
ただ、天井のスピーカーが機械的に“時間の経過”を告げていた。
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「皆さん、ごきげんよう。
少しずつ真実に近づいていますか?」
「さて、本日から順番に――“皆さんの過去”を紹介していきます」
「最初は、鳥越翼さん」
一瞬、空気が止まった。
翼「……えっ……?」
「あなたは――実は、極貧家庭に育ち、
中学時代、空腹のあまり万引き――いえ、“盗み”を繰り返していた。
高校では補導歴もある。」
静寂が落ちる。
龍「……マジかよ……」
美乃「……翼くん……?」
翼「……それは……本当だ。でも……」
千紘「……そんなの、昔のことでしょ……?」
賢治「お前…………貧乏なのは知ってたが……」
「続いて、窪田千紘さん」
「あなたは高校時代、同じクラスの女子数人から
いじめを受けていました。
机に落書き、私物の破壊、SNSでの中傷……
あなたはそれを、3年間もうけていた」
千紘「……っ!」
美乃「……千紘……」
龍「マジかよ……誰も知らなかった……のか?」
千紘「……怖かった……誰にも言えなかった……」
翼「……気づいてあげられなくて、ごめん」
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「五木田賢治さん」
「あなたは実は、皆より1歳年上。
高校入学直後に1年間留年していた事実を、
“恥ずかしい”という理由で隠していましたね」
賢治「……別に、犯罪でもなんでもないだろ」
龍「え、お前1個上だったの!?マジで?」
美乃「えっ、でも誕生日……」
賢治「誤魔化してた……それが何だよ」
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「加瀬美乃さん」
「あなたは――
千紘さんがいじめられていたことに、気づいていましたね。
でも、“巻き込まれたくなかった”。
そうして見て見ぬふりをして、無関係を装い続けた」
美乃「……違う……私は……!」
千紘「…………」
美乃「怖かったのよ……!ほんとは……何回も、声かけようと……!」
千紘「……でも、かけなかった……じゃん!」
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「最後に、佐藤龍さん」
「あなたは、高校卒業後――
女性にお金を払って、卑劣な行為を繰り返していましたね。
その中には、お金に困っている子にも手を出していたようですね?」
龍「は……?……なんで……おい、誰がそんなこと……」
賢治「それ、本当かよ……」
美乃「嘘だって言ってよ……龍……」
龍「ふざけんな……!誰が……そんなこと言ったんだよ……っ!」
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部屋の空気は、明確に――重くなった。
目を合わせない者。
怒りで震える者。
ひとり、うつむいたままの者。
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翼「……こんなの、やめようよ」
千紘「……え?」
翼「言われたことが本当かどうかなんて、関係ない。
だって俺たち、今まで普通に友達だっただろ?
楽しかったろ?信じてたろ?」
美乃「……翼くん……でも……」
龍「俺は……違うって……言ってんだよ……!」
賢治「これが“試されてる”ってことだろ。
お互いを信じられるかどうか……」
千紘「……私、信じたい……でも……怖い……」
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「以上が、本日の“ヒント”です。
明日も、お楽しみに――」