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第8話:狼少女、大好きなジグルドの役に立つため修行に明け暮れる

 静かな森の中に、鋭い風切り音がいくつも鳴っては消えていく。

 少女が一人、剣士の姿をした強力なゴーレムと戦っていた。

 ゴーレムは土と岩から造られたとは思えないほど機敏で、"狼人族"譲りの素早い立ち回りにもしっかりついてくる。

 重い一撃を、少女はマチェットで懸命に受け止めた。


(長期戦では力で押されてしまう。うまく隙をついて、弱点のコアに致命傷を与えないと……!)


 下半身に膂力を集め剣を振り払い、強烈な蹴りを喰らわす。

 ゴーレムがバランスを崩し、揺れた瞬間。

 胸部のコアを狙ってマチェットを突き出したが、頑強な腕で防がれてしまった。


(やっぱり……ジグ様のゴーレムは強い! 私ももっと強くならないと!)


 渾身の一撃が防がれてもめげることなく、さらなる連撃を喰らわす。

 コレットはジグルドの生成した剣士ゴーレム相手に、厳しい修行の日々を送っていた。

 

(一族のみんなを、お父さんとお母さんを見つけ出すために、少しでも強くならないと……!)


 "狼人族"の所在は未だ不明だ。

 散り散りになった仲間と家族を見つけ出すこと。

 彼女が強くなるためのモチベーションだった。

 そして、彼女を突き動かす原動力は他にもある。

 

(ジグ様の隣にいても恥ずかしくないくらい強くなりたい! 私を救ってくれたジグ様のお役に立ちたい!)


 奴隷商人から救ってくれたおかげで、今の自分がある。

 ジグルドと出会わなければ、"狼人族"を捜すどころか生きていたかもわからない。

 そう感謝するコレットの戦いを、当のジグルドは木陰でのんびりと眺めていた。


 ――年寄りにこの時間帯の日光は堪えるからの~。若者が苦しむ様を見ながら休ませてもらうか~。

 

 と、ジグルドが思えば……


(別の場所にいてもいいのに、目を離さないでいてくれるなんて、私を大事に思う気持ちが伝わってくる……)


 と、コレットは勘違いする。


(ジグ様はいつも私を第一に考えてくださる。この剣士ゴーレムの自動的に強くなる機能だって、私を鍛えるために備えてくださったのだから)


 コレットが思うように、剣士ゴーレムは相手の動きを受けて、自動的にアップデートする機能を持つ。

 実のところ、ジグルドは新しいゴーレムを造るのが面倒なのでそのような機能を持たせたのだが、終ぞコレットが知ることはなかった。


(大好きなジグ様を思うと、自然と力が湧いてくる……)


 今一度マチェットを強く握り直し、地面が砕けるほどの勢いで駆けた。


「<貫き一閃>!」

『……!』


 腕ごとコアを貫かれ、剣士ゴーレムは動きを止める。

 ガラガラと崩れ落ち、石や土の塊に姿を変えた。

 戦闘が終わったところで、ジグルドはパチパチと大仰に拍手する。


「よくやったぞ、コレット。日に日に力を増しておるな。この調子で精進しなさい(そして、奴隷としてもっと強くなるがいい。ククッ、そのうち用心棒にできるかもしれん)」

「ジグ様……精一杯頑張ります……!」


 軽く息切れするコレットに、ジグルドは収納空間から柔らかいタオルを取り出す。


「ほれ、タオルじゃ。風邪をひくぞ、早く汗を拭け」

「! ありがとうございます!」


(体調にも気を遣ってくださるなんて……。タオルにはジグ様の匂いがほんのり……これが優しさの匂い)


 風邪をひいたら、奴隷としての能力が落ちる。

 何なら、自分に感染りそうで嫌だからタオルを渡したのだが、コレットはここでも好意的に勘違いした。


「ククッ、15分ほど休んだら旅を再開じゃ。ワシに遅れるでないぞ(この運動量に対して、たった15分の休み。辛くて仕方がないじゃろうなぁ)」

「はいっ!(15分も休ませてくださるなんて。またジグ様の優しさに甘えてしまう……)」


 このくらいの疲労は、"狼人族"の身体能力では5分も休めば充分だ。


(ジグ様と一緒にいられるなんて、それだけで本当に幸せ……)


 両者の思惑すれ違う休憩は終わり、旅は再開。

 今日もコレットは、大好きなジグルドの隣を歩く。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


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