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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第17章 バーベナ ── 分かち合う幸せ、家族のカタチ
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第99話「あなたに会えて、幸せです」

律が生まれてから2年。

結衣と涼也のもとに、新しい命がやってきた。

兄となる律のまなざしに、家族の絆の深まりがにじみ出す。

春の風がやわらかく吹き抜ける病室。

結衣は、腕の中で眠る小さな赤ちゃんをそっと見つめていた。


「こんにちは、私たちの赤ちゃん……会いたかったよ」


涼也は結衣の隣に座り、赤ちゃんのほっぺにそっと指を伸ばす。


「……女の子だって、分かってたけど、実際にこうして会えると、ほんとに不思議な感じだね」


「うん……りっくんのときとまた違う気持ち。なんだろう……この子には、この子の物語が始まったんだって思うと、胸がいっぱいになる」


そんな二人のやりとりを見守るように、病室のドアが開いた。


「ママー!」


駆け寄ってきたのは、2歳になった律。

涼也が抱き上げると、律は興味津々で赤ちゃんを覗き込んだ。


「これ……ちいさい」


「うん。りっくんの妹だよ。かわいいね」


律は少し不思議そうに赤ちゃんを見つめた後、自分のほっぺをつんと触った。


「ぼくも ちいさかった?」


「そうだよ。パパとママにとって、大切な宝物だったんだよ。今もね」


結衣が微笑みながら言うと、律は照れたように笑った。


「じゃあ、ぼくがまもる!」


涼也と結衣は顔を見合わせ、笑みを交わした。


「頼もしいお兄ちゃんだね」


「うん。きっと優しいお兄ちゃんになってくれる」


その夜、家族四人となった新しい日々の始まりに、病室の窓から やさしい月明かりが差し込んでいた。


赤ちゃんの寝息、小さな手。

律の笑顔、涼也の温もり。

その全てが、結衣にとってかけがえのない「今」だった。


「あなたに会えて、幸せです」


結衣の心の声は、まだ名前もない小さな命にそっと届いていた。


静かな病室で、涼也がそっと尋ねた。


「……ねぇ、名前、どうしようか」


結衣は、赤ちゃんの寝顔を見つめたまま、ふわりと笑った。


「実はね、決めてたの。麻衣って……呼びたいなって。涼ちゃんがよければだけど」


「いいに決まってる。素敵な名前だな! 麻衣……」


涼也は、その名前を繰り返し、微笑んだ。


小さな命に込められた、新たな願い。

こうして、『麻衣』という名前が、この子に贈られた。

お忙しい中、今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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